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隼人の古代史


隼人の古代史

 古代の日本、南九州に、隼人【はやと】と呼ばれる民族集団がいました。彼らについて、詳しく解説した本です。

 類書は、少ないです。
 隼人について、まとまって読める、貴重な本です(^^)

 日本の古代史に興味がある方なら、一読の価値がありますね。
 南九州にゆかりがある方も、興味深く読めると思います。御先祖さまの話かも知れませんからね(^^)
 今でも、鹿児島県出身者を、薩摩隼人【さつまはやと】と呼ぶことがあるのは、この民族集団に由来します。

 隼人は、大和朝廷を構成する人々とは、文化や風俗が違いました。
 それゆえに、朝廷には、なかなか従いませんでした。いわゆる「まつろわぬ民」です。

 しかし、時代が経るにつれ、大和朝廷の支配に組み込まれてゆきます。
 南九州から、畿内にまで連れて来られ、宮廷の仕事に従事させられた隼人もいました。
 朝廷側から見れば、隼人は蛮族で、征服する相手でしかありません。

 残念ながら、隼人自身は、自分たちの記録を、ほとんど残しませんでした。
 征服した側の、大和朝廷の、偏見まみれの資料でしか、彼らを知ることができません。

 それでも、そのような資料から、彼らを知るのは、意味があると考えます。
 普通の日本史には出てこない、異文化を持つ集団が、古代の日本には、確かに存在しました。その歴史を、無視することはできないでしょう。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

第一章 隼人【はやと】前代の様相
 一 海と火山に囲まれて
 二 縄文と現代の背中合わせ
 三 南九州とヤマト王権
 四 南九州固有の地下式墓
 五 南海産貝の交易をめぐって

第二章 クマソ、その実体は――虚構のなかの反逆者像
 一 『記』・『紀』のクマソ像
 二 『風土記』のなかのクマ・ソ
 三 クマソと襲国【そこく】
 四 クマソは実在したか

第三章 「隼人」の呼称はどこからきたか
 一 ハヤトの呼称をめぐる諸説
 二 四神思想と「隼人」
 三 赤色に彩られたハヤト

第四章 天武・持統朝とハヤト
 一 飛鳥【あすか】に姿をあらわしたハヤト
 二 ハヤト勢力の分断と畿内移動
 三 被征服民ハヤトの苦悩

第五章 律令国家とハヤト二国の成立
 一 朝廷の覓国使【べっこくし】を脅迫
 二 ハヤト支配の手先・大宰府【だざいふ】
 三 薩摩・大隅両国の成立
 四 養老期ハヤトの大抗戦
 五 六年相替【そうたい】の朝貢

第六章 天平期のハヤト支配
 一 ハヤトは宮門を守ったのか
 二 律令政治の浸透と班田の遅滞
 三 「薩摩国正税帳」にみるハヤトの社会
 四 ハヤト国の財政は下国【げこく】以下
 五 藤原広嗣【ふじわらのひろつぐ】の乱とハヤト

第七章 ハヤト国と南島世界
 一 黒潮に乗ってくる南島人
 二 『隋書【ずいしょ】』のなかの南島
 三 南島支配の拠点・種子島
 四 遣唐使船と南島路
 五 薩摩半島と南島交易

第八章 転換期のハヤト
 一 朝貢の停止と稲作の強制
 二 初出土の木簡と条里【じょうり】痕跡
 三 火山と共生してきたハヤト
 四 『延喜式【えんぎしき】』にみる大隅・薩摩
 五 隼人司【はやひとのつかさ】とその役割

第九章 日向【ひむか】神話とハヤト
 一 日向神話と天孫降臨
 二 海幸彦・山幸彦の物語
 三 ウガヤフキアエズ 三山陵

あとがき



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