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【和訳その他】戦史・軍事史

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軍事史(戦史)に関する各種英文情報の日本語訳や紹介、内容要約
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【和訳】独ソ戦:1943年11~12月、第二次キエフ会戦における独軍の反撃(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第3章)

【和訳】独ソ戦:1943年11~12月、第二次キエフ会戦における独軍の反撃(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第3章)

はじめにこのnote記事は、米陸軍の戦史資料『ロシア軍の突破に対するドイツ軍の防御戦術』(米陸軍軍事史センター、1951年)の第2部第3章を日本語に翻訳したものです。

この戦史資料は、序文によると、「ドイツ軍報告シリーズ」の一つとして編まれたもので、著者はドイツ国防軍(第二次世界大戦時のドイツ軍)の将官と参謀本部勤務将校とのことです。著者陣の名前は伏されていますが、筆頭著者に関しては、その経歴が

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【和訳】独ソ戦:1944年4月、独第1装甲軍の救出(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第2章)

【和訳】独ソ戦:1944年4月、独第1装甲軍の救出(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第2章)

はじめにこのnote記事は、米陸軍の戦史資料『ロシア軍の突破に対するドイツ軍の防御戦術』(米陸軍軍事史センター、1951年)の第2部第2章を日本語に翻訳したものです。

この戦史資料は、序文によると、「ドイツ軍報告シリーズ」の一つとして編まれたもので、著者はドイツ国防軍(第二次世界大戦時のドイツ軍)の将官と参謀本部勤務将校とのことです。著者陣の名前は伏されていますが、筆頭著者に関しては、その経歴が

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【和訳】独ソ戦:1943年3月、ラウス軍団の“後手からの一撃”(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第1章)

【和訳】独ソ戦:1943年3月、ラウス軍団の“後手からの一撃”(米陸軍資料“GERMAN DEFENSE TACTICS against RUSSIAN BREAKTROUGHS”第2部第1章)

はじめにこのnote記事は、米陸軍の戦史資料『ロシア軍の突破に対するドイツ軍の防御戦術』(米陸軍軍事史センター、1951年)の第2部第1章を日本語に翻訳したものです。

この戦史資料は、序文によると、「ドイツ軍報告シリーズ」の一つとして編まれたもので、著者はドイツ国防軍(第二次世界大戦時のドイツ軍)の将官と参謀本部勤務将校とのことです。著者陣の名前は伏されていますが、筆頭著者に関しては、その経歴が

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【SNS投稿和訳】冷戦後期のソ連軍ドクトリン解説(John Helin氏)

【SNS投稿和訳】冷戦後期のソ連軍ドクトリン解説(John Helin氏)

この記事は、上記のX連続投稿(日本時間2023年11月7日19:20投稿)の日本語訳です。投稿者のジョン・ヘリン氏は、フィンランドのOSINTチームであるBlack Bird Groupのメンバーで、ウクライナでの戦争の理解を深める意図で、ソ連の軍事ドクトリンの解説をしています。なお、本記事中の画像は、ジョン・ヘリン氏の投稿から転載して使用しています。

冷戦後期のソ連軍ドクトリン日本語訳

ウク

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【SNS投稿和訳】進展が「遅い」攻勢は失敗なのか?(Paul Poast氏)

【SNS投稿和訳】進展が「遅い」攻勢は失敗なのか?(Paul Poast氏)

上記のXでの連続投稿(日本時間9月2日20:30〜20:41)で、シカゴ大学のポール・ポースト氏は、第二次世界大戦のノルマンディ以降の西部戦線を例に、「遅い」と思われている攻勢が必ずしも「失敗」した攻勢になるとは限らないことを説明しています。以下にその連続投稿の日本語訳を示していきます。なお、添付画像は一部を除き、ポースト氏の投稿からの転載になります。

日本語訳:

最終的な成功に関して、公衆の

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【論考紹介】 “ロシア民間軍事会社について、フリードリヒ大王の軍隊が教えてくれること” (WHAT FREDERICK THE GREAT’S ARMY CAN TELL US ABOUT RUSSIA’S PRIVATE MILITARY COMPANY, by @KKriegeBlog, WOTR, 27.03.2023)

【論考紹介】 “ロシア民間軍事会社について、フリードリヒ大王の軍隊が教えてくれること” (WHAT FREDERICK THE GREAT’S ARMY CAN TELL US ABOUT RUSSIA’S PRIVATE MILITARY COMPANY, by @KKriegeBlog, WOTR, 27.03.2023)

ロシアのPMCであるワグネルを西側の識者は、“傭兵団”・“懲罰大隊”という言葉で語ることがあるが、そのどちらも歴史的文脈を考えると、ワグネルの立場やその戦闘スタイルとマッチしない。

その強みも弱みも含めてワグネルを理解するためには、18世紀フリードリヒ大王時代の“フライコーア(義勇軍団)”を参照することが、その理解の一助になる。

18世紀のフライコーアは、大貴族や資産家が出資して設立した私設軍

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【論考紹介】“市街戦プロジェクト 事例研究4: スエズ市の戦い” (Urban Warfare Project Case Study #4: Battle of Suez City, by John Spencer & Jayson Geroux, MWI, 13.01.2022)

【論考紹介】“市街戦プロジェクト 事例研究4: スエズ市の戦い” (Urban Warfare Project Case Study #4: Battle of Suez City, by John Spencer & Jayson Geroux, MWI, 13.01.2022)

現代戦争研究所(MWI)の市街戦研究シリーズ。ヨム・キプール戦争最終盤のイスラエル軍によるスエズ市攻略戦分析。なぜイスラエル軍は都市攻略に失敗したのか。

この論考では、「[市街戦の]ほとんどのケースで、攻撃側が適切な作戦的・戦術的手順を踏んでいれば、最終的に勝つのは攻撃側になるだろう」と指摘されている。そして、攻撃側のイスラエルは“適切な手順”を踏めずに、市街戦に敗北した。

全体状況

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【論考紹介】 “マンネルハイム線突破: ソ・フィン冬戦争におけるソ連の戦略的・戦術的適応” (BREAKING THE MANNERHEIM LINE: SOVIET STRATEGIC AND TACTICAL ADAPTATION IN THE FINNISH-SOVIET WINTER WAR, by Franz-Stefan Gady, 08.02.2023, WOTR)

【論考紹介】 “マンネルハイム線突破: ソ・フィン冬戦争におけるソ連の戦略的・戦術的適応” (BREAKING THE MANNERHEIM LINE: SOVIET STRATEGIC AND TACTICAL ADAPTATION IN THE FINNISH-SOVIET WINTER WAR, by Franz-Stefan Gady, 08.02.2023, WOTR)

1939年11月30日から1940年3月13日まで続いた“冬戦争”(第1次ソ連・フィンランド戦争)は、開戦から1月上旬までの前半期と、2月からの後半期に分かれます。

楽観的な見込みのもとで始めたこの戦争の前半期で、赤軍は極めて甚大な損害を被ります。その結果、ソ連指導部は攻勢を一時中断し、ティモシェンコに作戦指揮を任せることにします。

ティモシェンコは与えられた25日という準備期間のなかで、赤軍

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