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Parsleyの世もつれづれダイアリー

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記事一覧

「小さい物語」を紡ぐということ

「小さい物語」を紡ぐということ

 ここのところ天候が不順だったせいか、体調が不安定で難儀していた。そういう時ほど自信を失いがちになるのだけど、焦ったところでいいことなど何もないから、努めてゆるゆるといこうと思っている。

 さて。メディアで働いている立場に身を置いていると、「社会課題」とか「◯◯の未来」とか、テーマを大きく設定して、血眼になってアラ探しに夢中になってしまう時がどうしてもあったりする。メディアのコンセプトや企画とし

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安倍晋三氏はなぜあそこまで怨嗟を呼び起こさなければならなかったのだろう?

安倍晋三氏はなぜあそこまで怨嗟を呼び起こさなければならなかったのだろう?

 安倍晋三氏が撃たれたという凶報は、NHKでほぼオンタイムで見ていた。その映像は生々しく、女性記者が震える声でデスクに指示を仰ぐ電話や、心臓マッサージをする姿も映し出されて、首相官邸に戻った岸田文雄総理が真っ赤に腫らした目でコメントをしているのを見ても、現実事だと理解るのにはしばらく時間がかかった。

 個人的に、安倍氏の政治信条には首肯しかねる部分は多々あったし、言動に「どうよ」と感じることもあ

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政治はもっと人々の「ダルさ」を前提にするべきなのでは、というお話

政治はもっと人々の「ダルさ」を前提にするべきなのでは、というお話

 だいぶ前に西田亮介先生から「なぜParsleyさんはそんなに政治に関心あるのか不思議」的なことを訊かれたことがある。確かその時は「実は小学生の頃から政局マニアだったんです」みたいに答えたような……。
 記憶を遡ると、土井たか子氏が委員長だった日本社会党が躍進を果たして与野党の議席数が逆転した1989年の参院選。自民党の幹事長だった橋本龍太郎氏がタバコ(チェリーだったらしい)の煙を盛大にふかしなが

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そろりそろりと物書き仕事に戻ってからの3ヶ月を振り返ってみる

そろりそろりと物書き仕事に戻ってからの3ヶ月を振り返ってみる

 おっかなびっくりという感覚で、お仕事を再開してから3ヶ月が過ぎた。正直なところ、「これが書きたい!」というテーマがあったわけでも、それを見つけ直すことができたわけでもなかったし、体調面での不安が解消したわけでもなく、見切り発車と言って差し支えない状態だった。「また誰かに迷惑をかけてしまうかもしれない」という怖さが常に頭の隅にこびりついているのも確かだ。

 ネットでの売文業にも「勘所」というもの

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マナー講師と徳島から米名門校に進学した女子大生炎上と悪役令嬢もの

マナー講師と徳島から米名門校に進学した女子大生炎上と悪役令嬢もの

近所にあるイタリアン居酒屋が、入っているビルの建て替えが決まって閉店するというので、飲み納めに行ってきた。元気な店員さんと、日替わりの鮮魚がウリで、ついつい食べすぎてしまうようなお店なのだけど、化粧室にその日のオススメが貼られていて、少し胸に来るものがあった。

さて。NHK『チコちゃんがおこられる』で、テーブルマナーを鬼指導した講師がネットで批判されまくった件が記憶に新しい中、J-Castニュー

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「プロダクト思考」をメディアに当てはめてみると一体どうなるか妄想してみる

「プロダクト思考」をメディアに当てはめてみると一体どうなるか妄想してみる

昨日の雷雨、上がったところで所用に出かけたら、見事にまた降り出して、傘を持たずに出てもんにょりとした気分に。作業もなかなかはかどらなかったし、お仕事のやり方を少し変えるタイミングなのかもしれない。

ところで。以前の記事で「もはや紙かネットかという議論も色あせている」「全てがデータ」と書いたのだけど。

イギリスのジャーナリスト向けサービス『Journalism.co.uk』が、「ジャーナリストは

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「メディア人材育成」のハードル設定が高すぎるので下げたいというお話

「メディア人材育成」のハードル設定が高すぎるので下げたいというお話

 首と肩があまりに痛く、この数日作業に集中できなかったので、池上線沿線の温泉に行ってきた。天然温泉と炭酸泉を3セットくらい入って、なんだかんだで40分くらい滞在していたんじゃないかな。体温下がりがちでもあったので、ポカポカになって満足。これで「さぁお仕事するぞ!」となったのだけど、いざルノアールに入ったら眠くなってそれどころではなかった。ざんねん!

 さて。自分が尊敬しているメディア人のひとりで

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メディアが編集や定額課金で稼ぐのは今更もう遅い

メディアが編集や定額課金で稼ぐのは今更もう遅い

 もう2年くらい前になるだろうか。とあるWeb専門メディアの編集長を務めている人が「ここ10年くらいメディアやネットの環境は大して変化がない」という話をしていて、本当にその通りだと膝を打ったのだけど、社会環境に移り変わりがあっても、ネットで何らかのブレイクスルーがあったわけではないし、「以前にも似たようなことが話題になったな」とループしているような印象が拭えないでいる。

 こんなことをわざわざ記

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メディア関係者と「派遣社員」の距離が遠いのかもしれない、というお話

メディア関係者と「派遣社員」の距離が遠いのかもしれない、というお話

 「派遣社員」という業態を、これまで3回ほど経験したことがある。就職氷河期真っ只中で新卒採用にことごとく落ち、しばらくバイトで糊口を凌ぎながら秋から某通信会社の事務に派遣として採用されたのが、自分のはじめて履歴書に書ける職歴になった。記憶では当時の時給が1200円。3ヶ月おきの更新で「いつ切られるか」という不安の中で働いていた。

 リーマンショック後に勤めていた所を会社都合での退職した後に少しだ

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メディア関係者の思考法とTwitterの相性が悪すぎるというお話

メディア関係者の思考法とTwitterの相性が悪すぎるというお話

 このGW中にメガネを買ってもらった。もともとガチャ目で左の視力が0.03という有様だったのだけど、最近は特にPCなどの画面から外に向ける時にかなり霞んでしまっていたので、ブルーライトカットを入れた作業用のものが欲しいな…と思っていたところ、家族から誕生日プレゼントにと言ってもらったのだ。かけてみると、確かに画面が見やすくなって、長い時間作業した後がラクになった。
 なかなか自分の身体への投資を後

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『トヨタイムズ』で「ジャーナリスト』をするのに必要な唯一のこと(そしてそれは無理では?)

『トヨタイムズ』で「ジャーナリスト』をするのに必要な唯一のこと(そしてそれは無理では?)

 トヨタのオウンドメディア『トヨタイムズ』に元テレビ朝日アナウンサーの富川悠太氏がジョインして「ジャーナリスト」として活動すると発表されたことで、メディア界隈をざわつかせた。

 個人的なことを言えば、自分のやっていることが「ジャーナリズム」的になることが結果的にあることはあっても、自分自身が「ジャーナリスト」だと名乗る気はないし、新聞・テレビなどの「公正・中立」であるべきだという「ジャーナリズム

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『SHIBU Culture』中止で考えたこと(2011年2月2日)

『SHIBU Culture』中止で考えたこと(2011年2月2日)

 以前にブログで記したエントリーを晒してみる。性的表現についてのまなざしや社会の空気が、この10年で大分変わったことを改めて感じて、いろいろ考えさせられた。ある意味で画家あるいは美術館という存在は、常に「表現の自由」の前線であり続けたわけだが、それは「公共空間」の前線でもあった。それが「社会の空気」によって揺らいでよいものなのかどうか、ということを今一度検討する余地があるだろう、というのが、自分の

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言葉を駆動させるアートとして 増田セバスチャン氏『Fantastic Voyage』を観賞して考えたこと

言葉を駆動させるアートとして 増田セバスチャン氏『Fantastic Voyage』を観賞して考えたこと

 2月は気温差や気圧差にヤラれる一方で、タスクを数本走らせることに追いつかず、メンタル的にキツくてなかなかテンションが追いつかずに歯がゆい思いをした。とはいえ、自分の感性に刺激を受けるような出来事もあったので、「まだまだやれる」という気持ちを新たにすることもできた。

 ここでは、その出来事のひとつ、増田セバスチャン氏(以下、セバスさん)の新たなプロジェクト『Fantastic Voyage』で感

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たかまつなな氏が枝野幸男氏に尋ねるべきだった事を考えてみる

たかまつなな氏が枝野幸男氏に尋ねるべきだった事を考えてみる

 最近ちょっとスランプ気味だな~と思うことが多いこの頃。皆さんお元気でしょうか?

 ここのところ、大臣会見出たり山田太郎参議院議員の取材などをしていて、「やっぱ政治取材むずかしい」と改めて感じているわけなのですが。たかまつなな氏が立憲民主党の枝野幸男代表へのインタビューを「失敗だった」という記事を見て、いろいろと考え込まされた。

 YouTubeも視聴したけれど、たしかにこの対談は「失敗」だっ

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