椎名ピザ

ショートショート/映像/妻:納豆ご飯/お笑いと音楽と服が好き

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  • 思い出のザーピー

    思い入れの強いの作品を集めました。

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レンタサイクルの彼女(シロクマ文芸部)

珈琲とコーラを一つずつ頼んだ。 僕の口の中で想定外の苦味が広がり、彼女の珈琲を間違えて飲んでしまったことに気がついた。 そんな僕をみて、高校生とは思えないほどあざとく膨れ顔をする彼女は、 レンタサイクルで去っていった。 下校中、突然大雨が降ってきた。 お互い会話に夢中で、空の色など気にしていなかった。 ちょっと先に駄菓子屋を見つけ、雨宿りをしていこうと提案しようとした僕をよそに彼女は、 レンタサイクルで去っていった。 大学の合格発表。 学科は違うが、僕らは自

    • 嘘をつくな嘘を!(2回目)

      • カレー(シロクマ文芸部)

        花吹雪が舞う。 アパートの窓辺を眺めながら君が言う。 「春ってあんまりカレー食べたくならないよね」 僕は思った。 全然そんなことない。 僕が一瞬下げた眉毛に気づかずに、君は続けて説明した。 「夏はスタミナつけたいからカレー食べたくなるでしょ。秋も食欲の秋だし。冬も寒いからカレー食べたくなる」 君は無茶苦茶なことを、もっともらしく言う。 僕は君のことが好きだと思っていた。 君とこのまま家族になりたいと思っていた。 でもそれは間違いだったみたいだ。 僕は春も

        • 嘘をつくな嘘を!

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        レンタサイクルの彼女(シロクマ文芸部)

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          10本

        記事

          白球とテレキャスター(シロクマ文芸部)

          桜色の景色は遠くへと消えた。 僕のスマホには“不合格”とだけ書かれた画面が表示された。 仮にスマホが通信制限されていたとしても難なく表示されそうなくらい淡白な情報量だ。 僕はこの一年、何をしていたのだろう。 受験を理由に、ずっと続けていた野球も最後の大会を前にして辞めた。 受験に専念できる環境だけ整え、何もしなかった。 言うまでもなく、野球から逃げたかっただけだ。 僕はレギュラーになれる見込がなかった。 そのくせ練習も嫌いだった。 試合に出れないのに、強制さ

          白球とテレキャスター(シロクマ文芸部)

          月が見えない日(シロクマ文芸部)

          朧月ではなかった 月が見えない日に見えたのは 自転車のない駐車場だった 朧月ではなかった 月が見えない日に見えたのは 点字ブロックを踏まない小さな正義感だった (74文字) 以下、企画に参加させていただきました。

          月が見えない日(シロクマ文芸部)

          街裏ぴんくさんおめでとうございます

          街裏ぴんくさんおめでとうございます

          【シロクマ文芸部】春夏秋冬

          春と風 夏と海 秋と紅葉 冬と雪 ぐりとぐら (18文字) 以下、企画に参加させていただきました。

          【シロクマ文芸部】春夏秋冬

          【シロクマ文芸部】半袖短パンのジョーカー

          梅の花が咲いて、春の匂いを感じた。 でも僕にはあまり関係がない。 僕はいつも半袖短パン。 君のせいだ。 少し栗色の髪をした、奥二重のキリッとした瞳の子だった。 小学二年生の秋、君は半袖短パンの僕をカッコいいと褒めてくれた。 僕はその日から僕は、春夏秋冬半袖短パンの呪いにかかった。 君はその後すぐに転校してしまって、そこから会う事はなかったけど。 いつか君に会えるんじゃないかと思えば思うほど呪いは強固になった。 中学も半袖短パンの学ラン。 高校も半袖短パンの

          【シロクマ文芸部】半袖短パンのジョーカー

          【エッセイ】死んだまんま眠ってる猫

          「猫が死んじゃった。どうしよう」 1時間程度の残業を終えて、会社を出たところで母親から電話があった。 久々に聞いた母親の声は、それ以外は何を言っているか分からなかった。 こんなに冷静さを失っている母親は初めだった。 というか嗚咽するほど泣きじゃくる50歳オーバーの声を初めて聞いた。 自分は実家を出ているので、毎日猫とは顔を合わせていない。 もし実家に住み続けていたら自分も同じようになっていたかもしれない。 いつか必ず来るこの日を、目の当たりにしなくてよかったと少

          【エッセイ】死んだまんま眠ってる猫

          傘と飛行機雲(シロクマ文芸部)

          青写真に描いてた未来と現実の距離はどのくらいだろう。 大人になった僕は、スウェットだけで外に出たことに後悔していた。 夕空には心配になりそうな角度で下る飛行機雲だけが見える。 午後から雨が降ると聞いていたけど、杞憂だったようだ。 無駄に左手を塞いでいる傘に苛立ちながら立ち止まった。 飛行機雲は少しずつ地上との距離を詰めている。 最後まで見届けるには人生が足りないので、そのまま家に帰った。 荷物になっていた傘を靴箱の横に立てかけた。 マンションの2階に住んでいる

          傘と飛行機雲(シロクマ文芸部)

          カバー小説の御礼

          企画させていただきましたカバー小説ですが、既定通り1/31で終了させていただきました。 ご参加いただいた皆様ありがとうございました。 私と妻含めて5人くらい集まればいいなぁと思っていたのですが、最終的に21人の方々に集まっていただきました。 作品も把握できているだけで70作品以上のカバーが行われました。 約2週間という期間ではございましたが、多くの方にご参加いただき、企画を華やかにしていただきました。ありがとうございました。 『小説のカバー』というのは、人それぞれの

          カバー小説の御礼

          企画させていただいておりますカバー小説ですが、本日が最終日になります。 今一度ルールについての説明させていただきますが、 カバーは参加いただいている方の中の作品で行うというルールにしております。 こちら厳守いただけますようお願いいたします。

          企画させていただいておりますカバー小説ですが、本日が最終日になります。 今一度ルールについての説明させていただきますが、 カバーは参加いただいている方の中の作品で行うというルールにしております。 こちら厳守いただけますようお願いいたします。

          月のような人(シロクマ文芸部)

          布団から出ると、そこは雲の上だった。 歯が抜ける夢をみたので、嫌な予感はしていた。 今日は何もできないな。 この後、美容室でゆるめのスパイラルパーマでもかけようかと思ったのに。 その後、阪急メンズ館にでも行こうと思っていたのに。 その後、YouTubeで至高の唐揚げのレシピでも調べて作ろうと思ったのに。 その後、それをつまみにタコハイでも呑もうと思ったのに。 そんなことを考えていてもしょうがないので、下を覗いた。 雲の上から見える景色は大したことなかった。

          月のような人(シロクマ文芸部)

          白の中のGORE-TEX(シロクマ文芸部)

          雪化粧した庭を見て心が躍った。 布団から飛び出し、顔を洗おうと永遠に水の出ない蛇口を捻った。 寝巻のまま玄関に向かいGORE-TEXの靴をおろした。 陽の光が地の雪に反射して眩しい。 雪の上を歩いているが靴下が濡れない。 感動したので今度腕に『GORE-TEX』とタトゥーを彫ると決めた。 雪の白さと陽の光で目に映る全てが白になった。 ただ白の中をGORE-TEXで歩く。 何もない。 誰もいない。 四天王の部屋のドアの前で“なみのり”したっけ。 さっきまで

          白の中のGORE-TEX(シロクマ文芸部)

          朝マックと宇宙(青豆ノノさんのカバー)

          青豆ノノさんの『朝マックと宇宙』をカバーさせていただきました。 『朝マック』『秋桜』『もみあげ』など、交わることがないと思ってた言葉達がマリアージュしている作品です。 作品の不思議な魅力に導かれてカバーさせていただきました。 まずは原作を読んでください。 朝マックと宇宙(椎名ピザver)秋桜か。もうこんな季節か。 朝マックに向かう道中の小道に咲いていた。 マックに到着すると、今日もハッシュポテトとコーヒー注文した。 定位置になりつつある2人かけテーブルの奥側の席に

          朝マックと宇宙(青豆ノノさんのカバー)