ぽんかん(仮)

物書き。オムニバス短編ファンタジー小説「ナナシノ魔物退治屋」、毎週ショートショートno…

ぽんかん(仮)

物書き。オムニバス短編ファンタジー小説「ナナシノ魔物退治屋」、毎週ショートショートnoteへの参加など。 誤字脱字衍字の報告助かります、いつもありがとう。※フォロバは気まぐれ

マガジン

  • ショートショート

    ぽんかんが制作したショートショートまとめです。

  • シロクマ文芸部

    シロクマ文芸部参加作品です

  • ナナシノ魔物退治屋

    魔力を持つ人間と持たない人間が争い、魔物が闊歩する世界で生きる元騎士の青年・ノアと、彼を気に入った盗賊の青年・ラスターが結成した「魔物退治屋」に関わる人々の日常を描いた短編オムニバスです。

  • 創作短編集

    私が書いた創作短編をまとめたマガジンです。 今後記事が増えたとき、こちゃこちゃするかもしれないと思ってまとめてみました。

  • ソーダ水にレモンを

    比較的読みやすい、ライトな感じの短編小説です(内容が軽いとは限りません)

記事一覧

固定された記事

【創作大賞】ナナシノ魔物退治屋 -ノアと冬に愛された子- 第一話 冬

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本日更新お休みします! ヘッダーできてませんでした。そろそろ平日に出せる短編が底をつきつつあるのでつぶやきでのごまかしが増えるかもしれない。

初めての有償記事をやってみた、ってことで出した「ナナシノプロトタイプ」が先日「つくってみた•やってみた」の公式マガジンに登録されました。※通知スクショ撮り忘れた😣
楽しい創作裏話です。
https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3

【ショートショート】おざなりの信仰【山岳カルマ】

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 人が寝ている。  通路のど真ん中で。  これが自分の生活圏外だったら素知らぬふりして素通りだが、幸か不幸か彼はアングイスのアパートの真ん前でグースカ気持ちよさそ…

本日更新お休みします。ナナシノプロトタイプ【https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3】おかげさまで想定よりご購入頂けてありがたいです。楽しんで頂ければうれしい! そしてやるやる言っていたナナシノ魔物退治屋スキお礼にアングイスが仲間入りしました。一年以上かかりました(腰重)。この呟きにスキを押すと出てくるかも?(※そんな機能はない

ということでナナシノ魔物退治屋がどうやってできたのかを全部まとめた「ナナシノプロトタイプ」【https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3】発売です! 初めての販売なので買えなかったとか設定おかしいとかあったら教えてください……😭

ナナシノプロトタイプ

 こういう話をしていて楽しいのはたいてい作者だけというのは相場が決まっているのだが、書きたくなってしまったので書いている。  といってもいわゆる「ナナシノ魔物退…

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【ショートショート】斉藤に涙す【二億斉藤】

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   デスマッチ  博士は記憶冷凍の技術を用いて記憶を冷凍した。 「これで何も忘れずに済むぞ」 「すごいですね」  博士は微笑んだ。昨日読んだ本も食べた飯もすぐ思…

【更新予告】「ナナシノ魔物退治屋ができるまで」をまとめた記事を販売します

 拙作ナナシノ魔物退治屋ができるまでのお話をまとめた記事が、出ます! ↑これがナナシノ魔物退治屋。  なんやかんやナナシノ魔物退治屋を毎週更新し続けて一年以上経…

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   おなかがすきました  風薫る季節の――とテレビが喋った。小さな食堂でのことだった。奥の厨房がかちゃかちゃとせわしない音を立てる中、私は担々麺を啜っていた。…

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【短編小説】ただ一人、静かに。

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本日更新お休みします。なんかアップしようかと思ったんですが、ヘッダーができてませんでした。最近寒いですね。ついこの間まで半袖着てたとは思えません。この文面も秋みたいだ、実際は風薫る5月というのに……。

【創作大賞】ナナシノ魔物退治屋 -ノアと冬に愛された子- 第一話 冬

【創作大賞】ナナシノ魔物退治屋 -ノアと冬に愛された子- 第一話 冬

あらすじ

ナナシノ魔物退治屋
-ノアと冬に愛された子-   

第一話 冬

 季節が初夏に移ろう頃、この依頼は「緊急」の判を押されてギルドにやってきた。
「冬に閉ざされた村を助けてください。 プレメ村 村長代理 フロル」
 プレメ村といえばハチミツの名産地だ。森に近く都市から遠い場所にあるため、観光に行くにはやや骨が折れる。しかし、咲き乱れるレンゲの花見たさに訪れる人も少なくない。
 依頼書を

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本日更新お休みします! ヘッダーできてませんでした。そろそろ平日に出せる短編が底をつきつつあるのでつぶやきでのごまかしが増えるかもしれない。

初めての有償記事をやってみた、ってことで出した「ナナシノプロトタイプ」が先日「つくってみた•やってみた」の公式マガジンに登録されました。※通知スクショ撮り忘れた😣
楽しい創作裏話です。
https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3

【ショートショート】おざなりの信仰【山岳カルマ】

【ショートショート】おざなりの信仰【山岳カルマ】

   おざなりの信仰

 俺は遭難している。
 久々の登山で浮かれていた。俺は今どこを歩いているかも分からない。やけっぱちになって歩を進めて、いよいよ体力が尽きて立ちすくんでしまったところ、足元に一匹の鳥が落ちていた。上を見上げると、鳥の巣が見える。どうやらあそこから落っこちてしまった雛らしい。
 俺は雛をそっと抱えて、巣に戻してやった。そして、もう一度下山の為に歩き始めた。道中様々な生き物が困っ

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【ショートショート】僧は敲く、お前を【文学トリマー】

【ショートショート】僧は敲く、お前を【文学トリマー】

   僧は敲く、お前を

 なぁなぁ、その小説、文学トリマーに任せてくれよ。ああ、文学トリマーってのは、つまるところ「推敲のプロ」のかっちょいい言い方ってだけ。お前の小説をチョチョイと整えていい作品にしてやるよ。
 それじゃあ早速。うん? 何だこの「頭痛が痛い」って。頭痛って時点で頭が痛いって意味になるだろうよ。はは、まぁよくやる。わかるよ、うん。この調子でいらないところを削ったり必要なところを書

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【短編小説】散らす

【短編小説】散らす

   散らす

 白い靴を履いて、港で人を待っている。

 いろいろなものが集まってくる。人の往来が多いから。いいものも悪いものもいっぱいある。ガラスの靴もそう。昔読んだ本でお姫様が履いていたやつ。でもいやなものもある。例えば暴力。海の音と匂いに混じって人を殴る音と血の匂いがする。錆びた鉄の箱が捨てられていて、そこに人が寄りかかっている。彼は白い粉がほしいと云う。白い粉は海の向こうからやってくる。

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【短編小説】蛇と朝

【短編小説】蛇と朝

 人が寝ている。
 通路のど真ん中で。
 これが自分の生活圏外だったら素知らぬふりして素通りだが、幸か不幸か彼はアングイスのアパートの真ん前でグースカ気持ちよさそうに眠っていて、背中をつついても頬をつねっても起きる気配がない。
 この魔力の気配は精霊族のものだ。アングイスは「むむむ」と声を上げて考える。地区に居座る精霊族は、魔術師からの扱いに辟易した者が多い。ここのルールを守って生活する者が多いと

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本日更新お休みします。ナナシノプロトタイプ【https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3】おかげさまで想定よりご購入頂けてありがたいです。楽しんで頂ければうれしい! そしてやるやる言っていたナナシノ魔物退治屋スキお礼にアングイスが仲間入りしました。一年以上かかりました(腰重)。この呟きにスキを押すと出てくるかも?(※そんな機能はない

ということでナナシノ魔物退治屋がどうやってできたのかを全部まとめた「ナナシノプロトタイプ」【https://note.com/ponkotsu_3kan/n/n4762048e47e3】発売です! 初めての販売なので買えなかったとか設定おかしいとかあったら教えてください……😭

ナナシノプロトタイプ

ナナシノプロトタイプ

 こういう話をしていて楽しいのはたいてい作者だけというのは相場が決まっているのだが、書きたくなってしまったので書いている。
 といってもいわゆる「ナナシノ魔物退治屋」のもとになったものの話をつらつらしているだけだ。
 これを全体公開にすると検索にひっかかってしまうし、かといってnoteは一生パスワード機能をつけたくないらしく(カイゼンお願いします。 ※送信済み)、手段は閲覧者に金を払わせるしかない

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【ショートショート】斉藤に涙す【二億斉藤】

【ショートショート】斉藤に涙す【二億斉藤】

   斉藤に涙す

 西暦二〇××年、日本は戦争の真っただ中にあった。
「伝令! 西の方から鈴木軍ではない第三勢力が進軍!」
「何だと、どこのものだ!」
 佐藤軍の首領は双眼鏡で第三勢力の様子を見た。旗に「二億斉藤軍」とある。思わず首領は双眼鏡を投げ捨てた。
「斉藤なんざ、三十万人位しか存在しない弱小苗字ではないか!」
「それが……斉藤と斎藤と齋藤と齊藤が集まって連合軍を」
「全部同じじゃないか!

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【ショートショート】デスマッチ【記憶冷凍】

【ショートショート】デスマッチ【記憶冷凍】

   デスマッチ

 博士は記憶冷凍の技術を用いて記憶を冷凍した。
「これで何も忘れずに済むぞ」
「すごいですね」
 博士は微笑んだ。昨日読んだ本も食べた飯もすぐ思い出せる。
「いい技術だ。さあ、昼ご飯にしよう」
 博士の言葉に助手は目を丸くした。
「待ってください。昼ご飯はさっき記憶冷凍を終えた後に食べたじゃないですか」
「何?」
 博士と助手は顔を見合わせた。どう考えても原因は記憶冷凍だ。

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【更新予告】「ナナシノ魔物退治屋ができるまで」をまとめた記事を販売します

【更新予告】「ナナシノ魔物退治屋ができるまで」をまとめた記事を販売します

 拙作ナナシノ魔物退治屋ができるまでのお話をまとめた記事が、出ます!

↑これがナナシノ魔物退治屋。

 なんやかんやナナシノ魔物退治屋を毎週更新し続けて一年以上経過しているのですが、

 折角なので「ナナシノ魔物退治屋がどのようにしてできあがったのか」という有償記事を出すことにしました。

 ここでしか見られない設定資料や過去のイラストなんかも見ることができますので、記事が出たときには是非よろし

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【短編小説】おなかがすきました

【短編小説】おなかがすきました

   おなかがすきました

 風薫る季節の――とテレビが喋った。小さな食堂でのことだった。奥の厨房がかちゃかちゃとせわしない音を立てる中、私は担々麺を啜っていた。
 この田舎町にはサイゼとか吉野家とか、そういった外食チェーン店なんてほとんどない。車で少し走った先にあるデカい道路の傍にやっとマックがあるくらいだ。だから個人経営の食堂が私たちにとってのサイゼや吉野家である。
「風薫る季節だって」
 中

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【短編小説】ただ一人、静かに。

【短編小説】ただ一人、静かに。

 小雨が降り続いている。
 ノアもラスターも、「雨宿りになるような場所」を探す目的を忘れて、ただ茫然と立っていた。顔に雨粒が力なくぶつかり、体は嫌な湿り気に満ちている。
「どう、する?」
 ラスターがおそるおそると言った様子でノアに尋ねた。
「どうするって……」
 ノアも困惑気味である。
 二人は今、ニリィ村の入り口に立っていた。雨が止むまで滞在の許可を得ようとしていた二人は、その入り口で二の足を

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本日更新お休みします。なんかアップしようかと思ったんですが、ヘッダーができてませんでした。最近寒いですね。ついこの間まで半袖着てたとは思えません。この文面も秋みたいだ、実際は風薫る5月というのに……。