法の下に生きる人間〈第65日〉

これからの時代は、食糧の安全保障が重要になってくる。

ロシアのウクライナ侵攻以降、小麦の供給が難しくなり、価格が高騰したのは記憶に新しい。

そして、日本は、小麦をはじめ多くの原料を輸入に頼っている。

関係各国と良好な関係を築いたとしても、その国が戦禍に巻き込まれたら、日本はその国から輸入ができなくなるかもしれない。

そうなったときのために、いざというときは、他の国から輸入できるようにしようという選択肢が必要である。

また、国内での農業改革も必要である。

人手が足りないのが本当に悩ましいのだが、せめて自国で作れる農産物の供給量ぐらいは維持したいものだ。

日本がずっとこんな状況だと、食料自給率が高い国から足元を見られる。支援が必要ならお金をよこせと要求されるから、変な感じでバラマキ外交が展開される。

ただ、日本には、他国が持っていない技術がたくさんある。それも、留学生が日本滞在中に身につけて持ち帰ってしまったら意味がないのだが、いざとなったら食糧保障と引き換えに提供できるような強いカードを手の内に忍ばせておくと、交渉を有利に進められるだろう。

もうひとつ懸念されるのは、気候変動による農作物の不作にどう対応するかである。

もはや「異常気象」という言葉は当てはまらないくらい、毎年毎年、夏の暑さや少雨が農作物の成長に影響を与えるようになってきている。

この状況は、つまり、先述したような「輸入に頼れなくなった」状況に近いわけで、国内の農産物も価格が上がり、買い物でもなかなか手が出にくくなる。

そうなると、貧困層の人たちは、どうやって食べていくのだという話になる。

だからこそ、11月のときも話題にしたように、フードドライブの体制を充実させる必要があるし、それに加えて、災害時の備蓄も踏まえた国の積極的な買い取り政策も打ち出していかなければならない。

なんだかんだ言って、日本はまだまだ物質的豊かさに恵まれている。

ウクライナの国土やガザの街を見たら、ほとんどミサイルで焦土化している。

日本だって、福島の原発事故のように、放射能の影響で田畑で作物が作れない状況に一度陥っているのである。

これが日本全体に広がり、それこそ全国的な干ばつが起こったらと考えると、もっと危機感を持って食糧保障の問題に向き合わなければならないだろう。

自給自足生活にちょっとトライしてみて、例えば、ミニトマトやいちごなどが手軽に栽培できるように、家庭菜園としてのスペースを確保できないか検討するのもよい。

天候に左右されずに、室内でも栽培できる作物をいろいろと試してみるのもおもしろいだろう。

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