不安が来る。

筋肉のこわばり、動悸、うっすらとした吐き気、めまい。喉が乾いて水ばかり飲む。
予定に対して、身体が過剰に緊張している。
プレッシャーを感じているのは自分の脳だ。数時間の、簡単な予定なのだから。ささいなことのはずなのに。
着替えて外に出ること。歩くこと。あいさつと会話をすること。帰ってくること。
その工程が、耐えきれない負担に思える。これから高い山に登ること、100kmを走ること、舞台に立つことのように感じられる。
重量はいつもよりずっしりと身体にかかる。首と腰が痛む。
トイレに行って、水を吐く。冷たいものが喉元に残る。

予定をキャンセルする。
罪悪感が胸をきつくねじる。
こうして今までたくさんの人に迷惑をかけてきた。
何人の友達が離れていき、何人の上司と同僚が呆れたか。
罪悪感を感じること、その資格すら無いように思う。

こういうときに飲む薬は助けになるけれど、筋肉が弛緩しすぎるときもある。
毎日飲んでいる薬は、少しずつ私を強くしているだろうか？
いつ、薬をやめられるだろう。前に在庫を切らしてしまったときは、ひどい離脱症状に襲われた。

逃してきたチャンスを思う。
稼げなかったお金と、親に借りているお金を思う。
失望、後悔、期待を自ら裏切ること。
そして、これから離れていく人の中に、夫が含まれないことを祈る。

不安が去れば、私は別人のように、何かを成し遂げたい人になるのに。