「顧客ロイヤリティ」を測定する方法とは? -SansanのNPS調査についてお話します-
こんにちは!UXリサーチセンターの倉内です。
様々な企業で調査されているNPS(Net Promoter Score)。
弊社でも、2019年から調査を実施しており、今回の記事では、目的 / 方法 / 分析結果の活用方法などをお伝えしていきます!
NPS調査のはじまり ー目的ー
先述の通り、弊社では2019年からSansanとEightでNPS調査を始め、その後Bill One、Contract Oneと、現在では4プロダクトで実施しています。
回数はプロダクトによって異なりますが、1年に2〜4回が目安です。
目的は『自社のプロダクトに対するユーザーの評価を定期的に知り、プロダクトの開発・改善に活かすこと』です。
次の章で詳しくお伝えしますが、プロダクトの推奨度(NPS)、そのNPSのスコアをつけた理由、プロダクトの各機能の体験に関する満足度を聞き、分析した結果をより良いユーザー体験に向けた開発に繋げることをゴールとしています。
どのように調査しているのか? ー方法ー
<アンケートの設計方法>
プロダクトによって、備わっている機能も利用ユーザーも違うため、アンケートはプロダクトごとに作り分けています。
送付対象は各プロダクトの利用ユーザーをランダムに抽出し、メールで送付しています。
アンケートの構成は、以下のようにしています。
※参考:アンケート画面
<設問数と回答時間>
③のトランザクショナル調査で聞く「機能」の数は、プロダクトによって様々ですが、概ね10項目程度におさめるようにしています。
この設問の後は、プロダクトの戦略や時期によって「新機能の認知」や「利用頻度」を聞く設問を加えることもあります。
最後に、要望や意見などを記載いただく自由記述欄を用意しています。ここでは、機能の改善要望や使い心地など、ユーザーが日頃感じている様々な意見が寄せられます。
以上の設問で、約3〜5分程度で回答を終えられるように設計しています。
どのように分析しているのか? ー分析方法ー
<定量データの分析>
アンケート結果の分析には、「キードライバー分析」を採用しています。
縦横軸に、下記のようにそれぞれの数値をプロットした図を、セグメント(年代、役職など)別に作成します。その結果を分析し、今後、注力するべき体験や機能を探ります。
特に、4象限のうち、左上の赤いスペースには、満足度が低いかつNPSとの相関が高い状態の体験や機能がプロットされます。つまり、適切な開発・改善を行うことで、満足度が上がり、NPSも上昇する可能性があると言えます。
ここからは、過去の調査結果と比較し、大きく位置関係が変わったり、位置する象限に変化があった機能や体験について注目していきます。プロットの位置と動きに着目し、例えば、赤いスペースから青いスペースへ近づいていれば、直近の開発・改善が上手くいっていた可能性を考えます。
プロット位置の動きについては、ログ解析を実施しているメンバーの見解や、他の案件で取得したアンケートデータなど、様々なデータを駆使して探っていきます。
<定性データの分析>
定性データですが、NPSの「スコアをつけた理由」を自由記述で聴取しているため、カテゴライズしながら読んでいきます。
実は、定性データには、キードライバー分析におけるプロットの変化要因が隠れていることも多く、新しい声が生まれていないか、より増えている声はないかなど、過去のデータと読み比べてみることが重要だと考えています。
最終的に、定量・定性データの組み合わせで、開発・改善のネクストアクションに繋がるヒントを見つけ出していきます。
結果をどのように活用しているか? ーレポートの活用方法ー
以前、あるプロダクトのNPS調査で、ユーザーコミュニケーションに関する機能が優先的課題の象限にプロットされたのです。その結果を開発メンバーへ共有したところ、コミュニケーションのサイクルを見直す改善を行うことが決まり、次のNPS調査でスコアが向上したというケースがありました。
NPSは、各プロダクトにおける定期健康診断としての役割があると思います。調査の結果は、毎回、PdM・デザイナー・PMMなど開発に関わるメンバーへ報告会を実施しています。
このディスカッションの場を設けることで、開発計画の見直しや、改善にも繋がっていると感じています。
長くなりましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また、次の記事でお会いしましょう!
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