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最近観た旧作の感想メモ(2022年8月)

8月はNetlix月間だったで、「悪魔のいけにえ」以外はNetflixで配信中の作品でまとめてみた。


マリグナント 狂暴な悪夢

ジェームズ・ワン監督作品。人を殺す悪夢に悩まされる女性、しかしそれは正夢で、、という触れ込みではあるが、大仕掛けによってあえなくその前提は覆されていく。キャッチーで人に薦めたくなる魅力たっぷりの面白すぎるホラーサスペンスアクション、あと個人的にはダンスバトル映画だとも思った。あれは"舞"だ。職業柄、マリグナントというタイトルで何となくそういうことか?と思ってたけど、いざ種明かしされるとまさかのビジュアルすぎて仰天した。前例がなさすぎて。「妄想代理人」かと思ったら「ブラック・ジャック」の最悪な回みたいな。アイデアの飛翔力、あっぱれすぎた。


海獣の子供

五十嵐大介による同名マンガをドラえもん映画などで知られる渡辺歩監督で映画化したもの。これは劇場で体感したかったな。真夏の江ノ島を舞台に疎外感を感じる少女と自然とともに生きる不思議な兄弟が綴る物語。徐々にその内容が輪郭を作り始めるにつれ果てしなく世界が広がり、全く予期せぬ地点に魂を持ってかれていった。映像表現の凄まじさは形容しがたいのだが、ちょっとしたトリップ感を覚えるようなもので見惚れてしまった。宇宙と身体が直接繋がるような世界観(というか観念?)をこんなにも美しく描き出せるのか。話のスケールのデカさと想いのささやかさのコントラスト、良い。


3人のキリスト

リチャード・ギア主演。自分がキリストの生まれ変わりだと言い張る3人の妄想型統合失調症患者に、実験的な治療(3人を同じ部屋で過ごさせる)を施して治療を目指していくというストーリー。大昔の治療の話なんで、さすがに今の倫理観からするとそれはアカンやろの連続なのだが、治療過程における精神状態の移ろいなどは興味深い。たくさんの妄想と接してきたが、その内容の矛盾点を確認していく時の緊張感は診察の中でも最たるものだな、という思いを改めて。あと、全然必要ないようなリチャード・ギアのベッドシーンがあって、やっぱ往年のスターってこういう需要もあるのか、と驚いた。


ベルベット・バズソー:血塗られたギャラリー

我が愛しのジェイク・ギレンホール主演。アートギャラリーに持ち込まれた謎のアーティストの絵が巻き起こしていく恐怖を描く。ものすごく呪いのビデオ的な要素が強いのだけど、現代絵画をテーマにするとこんなモダンでスタイリッシュな殺しのシーンを描けるのか、と。こういうホラーを通して社会を風刺するみたいなの最近の流行だけど、前衛的な現代アートを題材にしてるが故にできる"死体がアート"みたいな扱いをされるくだりがとても良かった。ジェイクもずっと胡散臭くて良い。あと「ストレンジャーシングス」のナンシーが出ててアガッた。髪型違うとやっぱだいぶ印象変わるなぁ。


僕と頭の中の落書きたち

統合失調症を発症した高校生の物語。幻覚と幻聴をそこにいる人物として描くという、「ビューティフルマインド」のメソッドもどんどん映像技術があがって支離滅裂な妄想描写の質感はかなり没入感があった。そしてとにかく胸の痛む思いで観た映画だった。若くして発症することで出来る壁とか、いつも診療で感じている苦しさそのもの。「病を患ってはいるが、病は僕自身ではない」という台詞はかなりずっしり来た。時に疾患を治すことに向き合いすぎるあまり、その人自身の姿が見えづらくなることもあって。そういう時にこそ、この言葉は何度も思い返したいと思った。残るものがある映画だった。



ELI/イーライ

「アルコ&ピースのメガホン二郎」で紹介されてて興味を持って観た。免疫疾患を抱える少年がその特別な治療のために洋館を訪れ、そこで治療を受ける中で奇妙な体験をしていくという物語。いかにもなシチュエーション、いかにもな登場人物、そして子供が主人公という要素の中、幽霊とかいっぱい出てくるわけだけど、、最終盤で見事にひっくり返されて痛快だった。そのベクトル、斬新!となった。やっぱ子供の訴えを全然聴いてくれない大人って相当嫌な感じに映るなぁと実感できる映画でもある。そしてこちらには「ストレンジャー・シングス」からマックスが出ていた。ホラー映えする。


7年間

スペイン制作の映画。仕事で大成功を収めた企業の4人の重役だったが、不正な資金運用が発覚して4人共逮捕されてしまう自体に。しかし4人のうち1人が罪を背負って7年間服役すれば会社と他の3人は捕まらずに済む。なので誰が服役すべきかを話し合おう、という1シチュエーションの密室会話劇。とにかく罪の着せあい、責任のなすりつけあい、自分は必要な人間だと罵り合うことに終始する作品なので見てらんないくらい醜いのだけど、それでこそ人間だよな、ともなる。もっとコメディっぽくもできそうだけど徹底して嫌になっちゃうのも良い。77分という短い尺だけどオチがとてもキレていた。


悪魔のいけにえ

スプラッターホラーの元祖と言われているらしい作品。このレザーフェイスのビジュアルは存じ上げていたけど、こういう話だったとは全く知らなかった。というかU-NEXTのサムネがだいぶネタバレかましてるのよ。一家まるごとどうかしてる、というのはいいどんでん返しだったし、レザーフェイスのオドオドとした人間味が醸す恐怖感も素晴らしいのだけど、何よりもじい様が最高すぎる。なんで今までこんなキャッチーなバケモノを知らずに生きてこれたんだろう!!ハンマーのくだり、笑うしかない。全体的にアーティスティックな美しさがあるのも良かった。サイケデリックなスクリーム、そして夕焼けと踊るレザーフェイス、、どこか哀愁。


ロバート秋山のクリエイターズ・ファイルGOLD

自分の中で物心ついた頃からずっと面白さのレベルが高いままいる芸人って何人かいるけど、その代表格。解像度が高すぎるニッチなあるあるネタを微細なところまで作り込んでフェイクドキュメンタリー化したもの。1番好きだったのはオダギリジョーの回。AIツワノのブチギレ、笑うしあない。あと初回のホテルマンでの「時間ないぞ~~」の連呼とか、面白いことに気付いていなかった振る舞いの発掘力が凄すぎるのだ。上杉みち君の安達祐実との台詞の交わし合い、あとTORIMAKIの人の高齢男性への恫喝とか、突然しっかりとお笑いに振り切る瞬間もあってそこも良い。いくらでも観ていられる。


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