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プレゼン用スライドについて
年が明けると、学士、修士、博士の学位論文の提出と学位発表会のラッシュです。そこで、学生さんのプレゼンを見ていて、スライドについて気になったことを書いてみます。
まずは、ダメなスライドの例を挙げます。
このように、論文の図をコピペしただけの図はいただけません。
(1)タイトルから「植物ホルモンの影響を調べたんだなぁ〜」ということは想像がつくものの、結論がわからない。
(2)A, B, C…につ
植物科学でできること、できていないこと~ゲノム編集・遺伝子組換え
ゲノム情報の比較解析によって、植物種間の違いを明らかにすることができます。また、遺伝子発現パターンの違いを調べることで、植物の成長や環境応答に関わる遺伝子を見出すことができます。そして、その遺伝子の機能を確認するには、遺伝子を破壊した変異体や、逆に遺伝子を過剰発現誘導した変異体の表現型を調べることが有効です。また、植物バイオテクノロジーの分野では、遺伝子組換え技術を用いて、植物の品種改良を行うこ
もっとみる植物科学でできること、できていないこと~ゲノム情報と遺伝子発現解析
近年、有機農業や無農薬が流行りである。地元の小学校も「オーガニック給食」と称して、化学肥料不使用、無農薬の給食を提供しているらしい。
大量の化石燃料を必要とする化学肥料や農薬を減らしていく試みは世界の流れで間違いではないが、一方で、世の中すべて自然農法や無農薬で回ると思われては困る。有機農業も自然信仰も個人の範囲でやる分には構わないが、現状、世界の食糧を支えているのは化学肥料や農薬なので、それら
世界人口の推移と穀物生産
近年、急激な人口の増加とそれに伴う温室効果ガスの排出増は、食糧・エネルギーの供給と気候変動および地球環境に大きな影響を及ぼし、さまざまな問題を引き起こしています。それら問題を解決し持続可能な循環型社会を実現するためには、バイオテクノロジー、特に植物科学の力を欠くことはできません。
<これまでの植物科学の貢献>
産業革命以降、世界人口は増え続けてきました。第二次世界大戦以降、1950年には25億人
SDGsについて日頃感じていること
ここ1-2年、「SDGs」という単語を耳にする機会が増えてきました。
実際、「2021年新語・流行語大賞」にもノミネートされていました。
SDGsは大事。
環境問題、社会のあり方に、人々が注目するのはいいことです。
SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで定められた2030年までの15年間で達成す
[翻訳] Plant science leads the way in understanding biological timekeeping
以前、Gatsby The Plant Science TREEのサイトにあるOPEN LECTURESのAndrew Millar教授のセミナーのJapanese Translationを依頼されたのですが、数年たっても一向公開される気配がないので、ここで公開しておきます。
http://www.gatsbyplants.leeds.ac.uk/index.php
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Prof Andr
新聞記事やプレスリリースにおける科学記事の曖昧さについて
近年、大学や研究機関では「役に立つ研究」やアウトリーチが求められていることもあると思いますが、時々首を傾げたくなるような発表を見かけます。
疑似科学や捏造など科学者の不正行為によるものは論外ですが、それ以外でも新聞記事やプレスリリースでは不正確で不誠実なものが目立つように思います。
医療や食品の分野では「健康にいい」「病気になりやすい」、植物や環境の分野では「植物が大きくなる」「植物の生産性が上
反ワクチン運動の疑似科学性について
近年、ワクチン接種や処方薬について、反医療的な言説をしばしば見かけます。
「子宮頚がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種のせいで、けいれんを起こした、神経障害を起こし認知機能が低下した」「インフルエンザで処方されたタミフルで異常行動が起きた」といった事象から、「ワクチンは害がある」「病気は処方薬に頼らず自然治癒するべき」といった主張がなされています。
実際にそのような症状が
数字の見方、統計データの読み方について
今回は統計リテラシーについて解説します。
インターネットSNS上には真偽不明の情報があふれています。
実際のところ、テレビや新聞などの大手メディアでも科学的エビデンスや統計リテラシーを欠いた報道を時々見かけます。
特に、2011年3月11日の震災後、放射線被曝や健康被害に関する不誠実な情報が目立っているのには辟易してしまいます。
統計データの読み方、数値の見方をきちんと身につけておけば、そのよ
Rでカイ二乗検定 - 例:血液型にまつわる妄想
先日、カイ二乗検定を行う機会があったのでメモ。
カイ二乗検定は大きく分けて、観測された頻度分布が理論分布と同じかどうかを検定する「適合度検定」と、2つの変数に対する2つの観察(2x2分割表で表される)が互いに独立かどうかを検定する「独立性検定」の2種類あります。
Rでのカイ二乗検定は、chisq.testで行います。
(1)「適合度検定」の場合
例えば、赤い花と白い花を交配して、その孫集団F