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ホラクラシーに考える合唱団運営

ティール組織の組織構造の1つにホラクラシー型組織という実現方法がある。これを合唱団運営に適用したときのティールの3つの要点をどう考えて行くかと、重要な概念である「ロール」の作り方を検討してみました。

ティールの3つの要点

ティール組織における3つの要点は以下です。

①「進化する目的」:組織が進化し続ける目的
②「自主経営」:メンバー全員が信頼に基づき組織運営を行う
③「ホールネス」:メンバー全員の能力が発揮され、個人の不安に寄り添える

①ホラクラシー組織の「進化する目的」

ホラクラシー組織では、組織の目的は存在することであり、目的自体も進化し続けるものとして捉えます。そのため「この組織が存在として、生命体として、本当に最大限に可能性が発揮されているときに、どういうことで世界に貢献したいだろうか?」と考えます。

これを合唱運営に置き換えると以下のような問を考えることができます。

・「この合唱団の可能性が最大限に発揮されたときに世界に貢献したいことは何か?」
・「世界がこの合唱団に実現して欲しいと望んでいることは何か?」
・「もし世界からこの合唱団が失われたら、世界は何を失ってしまったことになるか?

私が関わっているカンサォン・ノーヴァという団体では、この問を話し合い、「ベンチャーマインドを持ったリーディングクワイア」というキャッチコピーで「新たなスタンダードを確立して行く」という進化する目的を設定しました。

②ホラクラシー組織の「自主経営」

ホラクラシー組織では、以下のような特徴を有して自主経営を実現します。

1. 多様な役割が存在する
2. 役割を全メンバーが柔軟に加えたり修正することができる
3. 重要な情報(役割の最新状態など)を誰でもみることができる
4. テンション(=理想と現実のギャップ)を全メンバーが伝えることができ、他のメンバーが寄り添うことを約束としている

合唱団でイメージすると以下のような感じでしょうか。

1. 「指揮者」や「会計」や「団長」などの従来の役割の枠に縛られない多様な役割が存在する。
2. 自身の能力も鑑みた新たな役割(「商品企画」「営業」「HP作成」「楽曲調査」「文書管理」などなど)を生み出して行く
3. 団内の情報を特定の運営に閉じず、全て見えるようになっている
4. 自由に改善提案を行えて、それを積極的に拾い上げる土壌

③ホラクラシー組織の「ホールネス」

自主経営の特徴とも重なりますが、多様な役割を担当できることと、テンションを挙げることができるという要素が、メンバー全員の能力が発揮され、個人の不安に寄り添える状態「ホールネス」を高めます。

個人の全体性と役割がなるべく乖離していない状態を目指して行く必要があります。

合唱団に置き換えると、団員1人1人の個人としての特徴をできる限り発揮できるようにしなければいけません。
そのためには音楽的な役割を詳細に分類して行くだけではなく、音楽的な役割以外も用意して行くことが必要になるかもしれません。

カンサォン・ノーヴァでは広くチームという体系で、音楽的な活動以外のweb開発やグッズ作成などを進行しています。

役割(ロール)の作り方

「進化する目的」に必要な役割(ロール)を作りそれを更新していきます。
ロール自体にも目的を設定する必要があります。組織の「進化する目的」からブレイクダウンしていく感じです。組織の初期に最低限必要なのは以下の3つのロールです。

・リードリンク:立ち上げ人など、目的実現のための戦略や指標を示す人。メンバーのロール配置やアドバイスを行う。
・ファシリテーター:ミーティングのファシリテーションを行う。
・セクレタリー:ミーティング記録や管理を行う。

ここからロールを増やして行くためにガバナンスミーティングと呼ばれる組織構造のミーティングを行います。手順は以下です。

1. 提案の募集
2. 提案への意見
3. 提案のブラッシュアップ
4. 反対ラウンド:採択承認ではなく棄却承認、組織に損害も後退も及ぼさないのなら実施
5. 統合ラウンド:反対意見が採用されたら、それを統合した案を反対意見提案者が検討、提案者のテンションに寄り添っていることを確認して再度4に

まとめ

ホラクラシー組織を合唱運営と照らし合わせてイメージしやすくまとめてみました。ティール的な組織作りに関心ある方は参考にしていただければ幸いです。

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もう少し概念的なティール組織を合唱団運営と照らし合わせるみた例です。




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