【連載小説】アウトボールを追いかけて 第3話 「ハロウインを待ちわびて」 #1
「すっげぇ。なんか、映画に出てくるとこみたいじゃねぇ?」
モレは晃二の耳元でそう囁き、口を半開きにしたままWELCOMEと書かれた横断幕を見上げた。
両側に貼り付けてあった日本とアメリカの国旗がクーラーの風でケラケラと笑うように揺れている。
二階ほどもある高い天井に、車が楽に通れそうな幅広い廊下。壁に一列に飾られた肖像写真。ガラスケースの中でこれ見よがしと整列しているトロフィーやメダル。
洋画で観る世界に近いのは確かだが、当たり前である。
特にセットで造られている訳でないし、