駄作

海が見えるどこかにいます。

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小さなヘタな恋のうた

週末、とある川沿いを散歩していた。好きなシャツを着て、メルカリで買ったトラックジャケットに袖を通して、春の道を歩く。 晴れの日曜ということもあり、たくさんの人が…

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2週間前
13

科学館の裏

ランチタイムに食い込んだ打ち合わせを終えて、一息ついた。 昨日、大量の桜を散らせた豪雨とは打って変わって、気持ちのいい晴れの日。 「そうだ、外で読書でもしよう」…

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3週間前
12

だから、がんばります。

銀行で働いていた時間を、コピーライターになってからの時間が超えた。 と言っても、もう1年ぐらいはとっくに超えているのだけど、 ふと振り返ったら超えていた。 広告の…

駄作
1か月前
86

ありがとう2023!

今年もあと2日。 12月の後半に入り、駆け抜けていく日々がやけに好きで、やけに苦手だ。 特に意味など何もない、大晦日というただの月末と、お正月というただの月初に向…

駄作
4か月前
25

次あるなら優勝してほしいんだから本当に

ザ・セカンドを見た。見終わって、改めて思った。 やっぱり、ぼくは、囲碁将棋の漫才が好きみたいだ。 学校指定の制服屋はほぼ公務員。 大学病院の売店は三軍のパンが飛ぶ…

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11か月前
48

じっぽ

実家に帰ると、一枚のカッパの絵が飾ってある。たしか、小学校3年生ごろに描いたカッパの絵だ。そのカッパの名は「じっぽ」という。読んだ本の絵を何も見ずに描く、読書感…

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1年前
10

ありがとう2022!

いやぁ、「頑張らなあきませんねぇ〜!」言うてますけども。 なにわの漫才師さんのお決まりのフレーズのように自分に言い聞かせ、じたばたした1年だった。 当たり前のこ…

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1年前
32

東京

関西の地で、コピーライターになってから3年ぐらい経つ。 それは、東京から情けない逃げ方をして、4年ぐらい経つってこと。 ぼくにとっての東京。それは、当たり前だけど…

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1年前
41

ラジオをやってみます。

考え事が好きだ。でも、政治の話や、社会問題について、いろいろ考えることが好きなわけではない。 だから、なんてことないことを考えることをつづけてきた。 となりのお…

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1年前
15

音の話

外を歩く時、イヤホンをすることが多い。 好きな音楽だったり、好きなラジオ番組を聴いている。 そのとき、ぼくの目は世の中をボーッと見つめて、次の角を曲がろうだとか…

駄作
1年前
30

何者か

夏だ。暑い夏だ。気だるい夏だ。バテきった夏だ。動きたくない夏だ。 夏になるたび、自転車で走り回っていた営業の頃を思い出してしまう。 朝、誰よりも先に支店に着き掃…

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1年前
14

自分なりの恩返しを。

「ぼくの仕事は、幸せに繋がっているんだろうか」 買ってもらった投資信託は、なかなかプラスにならない。 前任の担当者がムチャクチャだったことを聞きながら、 ていねい…

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2年前
233

ありがとう2021!

高校生の夏、父親を釣りに誘った。 大学には進まず、お笑い芸人になりたいと言った。 父親はこっちを見ること無く、「大学に行け」と一言。 何を話したのか、何が釣れたの…

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2年前
106

和田誠さんに会いに行った。

12月17日の金曜日。東京へ向かう夜行バス。 ぼくは必死に、腹痛と戦っていた。 本当は新幹線なら一瞬なんだけど、あえての夜行バス。前日から旅がはじまる夜行バスが好き…

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2年前
21

油をひかない。

ソーセージを炒めた。 油をひかずに炒めた。昔からそうしている。おなじような手法でメンバーに振る舞っていた。ソーセージに切り込みは入れずに、焦げてはち切れるように…

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2年前
33

開けば、そこが図書室。

小学校の図書室では、よく裏取引が行われていた。 取引の対象は『かいけつゾロリ』。 全校生徒から大人気だったゾロリは、図書室で見かけることが、ほとんどないレア物。…

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2年前
24

小さなヘタな恋のうた

週末、とある川沿いを散歩していた。好きなシャツを着て、メルカリで買ったトラックジャケットに袖を通して、春の道を歩く。

晴れの日曜ということもあり、たくさんの人がいた。マクドナルドを食べながら花見をする女子高生。春爛漫のカップル。ランニングをする初老の男性。犬の散歩をする人。人に散歩させてあげる犬。子どもとキャッチボールをする親。親にキャッチボールをしてあげる子ども。

春というには少し暑くて、せ

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科学館の裏

ランチタイムに食い込んだ打ち合わせを終えて、一息ついた。
昨日、大量の桜を散らせた豪雨とは打って変わって、気持ちのいい晴れの日。

「そうだ、外で読書でもしよう」と少しずつ読み進めている詩集のようなエッセイのような本を手にとり会社を出た。
そこは、市がやっている科学館の裏。駐車場のとなりにあるよくわからない広場。

ぼくはここでよく昼食をとる。とはいっても、蚊にさされまくる問題と、あまりに寒いとい

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だから、がんばります。

銀行で働いていた時間を、コピーライターになってからの時間が超えた。
と言っても、もう1年ぐらいはとっくに超えているのだけど、
ふと振り返ったら超えていた。

広告の仕事がしたくて、したくて、たまらなかったあのとき。それでもなれない、届かないばっかりだった時間があった。

そんな状態で入ってきたものだから、毎日が本当にたのしい。書きたい、考えたい。好きなことをしているだけで、お金はもらえる。世の中に

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ありがとう2023!

今年もあと2日。

12月の後半に入り、駆け抜けていく日々がやけに好きで、やけに苦手だ。

特に意味など何もない、大晦日というただの月末と、お正月というただの月初に向けて、みんながドラマの最終回みたいな顔をして生活をはじめる。
銀行の営業というノルマに追われ続けるような仕事をしていたもので、この、月という区切りや、年という区切りのバカバカしさをいつもいつも感じていた。

どんなに大変なノルマを追い

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次あるなら優勝してほしいんだから本当に

次あるなら優勝してほしいんだから本当に

ザ・セカンドを見た。見終わって、改めて思った。
やっぱり、ぼくは、囲碁将棋の漫才が好きみたいだ。

学校指定の制服屋はほぼ公務員。
大学病院の売店は三軍のパンが飛ぶように売れる。
AV男優は若い頃は憧れるけど、大人になってしんどいのがわかる。
プロ野球選手のダサい私服。
ロベルトバッジョと、ロベルトバッジオ。
満車は、エロワード。ウイスキーのヰ。

書いてるとキリがないけど、
おふたりがおもしろが

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じっぽ

実家に帰ると、一枚のカッパの絵が飾ってある。たしか、小学校3年生ごろに描いたカッパの絵だ。そのカッパの名は「じっぽ」という。読んだ本の絵を何も見ずに描く、読書感想画コンクールと呼ばれるもので佳作をもらった作品だ。絵の中で「じっぽ」は、水槽に入れられてサンマのようなものを鷲掴みにしている。もしかしたらアジかもしれないし、サバかもしれないけど。ちょっと細長いのでサンマだと思う。まさか、カマスじゃないだ

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ありがとう2022!

ありがとう2022!

いやぁ、「頑張らなあきませんねぇ〜!」言うてますけども。

なにわの漫才師さんのお決まりのフレーズのように自分に言い聞かせ、じたばたした1年だった。

当たり前のことなのだが凡人の日々には、M-1グランプリのように、大きく人生が変わるような瞬間は訪れない。たぶん今後もない。
だけど、1年、365日も生きていたら、ちょっとした忘れられないことが起ることもある。たいていそういうことは、じたばたしていた

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東京

関西の地で、コピーライターになってから3年ぐらい経つ。
それは、東京から情けない逃げ方をして、4年ぐらい経つってこと。

ぼくにとっての東京。それは、当たり前だけどすごく遠い場所だ。
夜行バスだと10時間ぐらいかかる。新幹線に乗っても2時間半はかかる。
2時間半もあれば、サザエさんとちびまる子ちゃんとクレヨンしんちゃんとドラえもんとおじゃる丸と忍たま乱太郎がぜんぶ観れる。(なにをもって、ぜんぶなの

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ラジオをやってみます。

考え事が好きだ。でも、政治の話や、社会問題について、いろいろ考えることが好きなわけではない。

だから、なんてことないことを考えることをつづけてきた。
となりのおじさんが話してたこととか、いつもおなじ場所で会う鳩のこととか、もしも自分がゾンビになったらどんなゾンビだろうとか。こんなのは序の口だ。

本当に、取るに足らないことを考えて生きてきた。
新聞は読んでいるし、世の中でいま何が起きているかも分

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音の話

外を歩く時、イヤホンをすることが多い。

好きな音楽だったり、好きなラジオ番組を聴いている。
そのとき、ぼくの目は世の中をボーッと見つめて、次の角を曲がろうだとか、あの人変わったシャツを着ているなとか、そんなことを考えている。ただただ、音だけを聴いていることはあまりない。

ーー

今から6年ほど前、祖母が認知症と診断された。銀行の研修で習ったとおり、お医者さんは治ることはないと言った。ただ、進行

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何者か

夏だ。暑い夏だ。気だるい夏だ。バテきった夏だ。動きたくない夏だ。
夏になるたび、自転車で走り回っていた営業の頃を思い出してしまう。

朝、誰よりも先に支店に着き掃除をはじめる。
抜いても抜いても生えてくる、雑草を引っこ抜く。
拾っても拾っても増えている、ポイ捨てタバコを拾う。
壊れた電動自転車にまたがって、いつもの営業エリアへ。
橋を渡るので、それだけでもう暑くてたまらない。
お客さんの家に行って

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自分なりの恩返しを。

自分なりの恩返しを。

「ぼくの仕事は、幸せに繋がっているんだろうか」

買ってもらった投資信託は、なかなかプラスにならない。
前任の担当者がムチャクチャだったことを聞きながら、
ていねいに、ていねいに、結局おなじように保険をすすめる。
定期預金を出す!と言われたら、「そこを何とか…」と泣き寝入りする。

新卒で、銀行の営業になって3年間。そんなことを、年がら年中、考えていた。
何とか得をしてもらおうと、粗品をごっそり持

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ありがとう2021!

ありがとう2021!

高校生の夏、父親を釣りに誘った。
大学には進まず、お笑い芸人になりたいと言った。
父親はこっちを見ること無く、「大学に行け」と一言。

何を話したのか、何が釣れたのか詳しくは覚えていない。

ただ、自分には勇気がなかった。「楽しいことは、大学に出てもサラリーマンでもできる」と言われてしまい、言い返せるようなパワーがなかった。

気がつけば、あれから10年ほど経っている。
Instagramを開けば

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和田誠さんに会いに行った。

和田誠さんに会いに行った。

12月17日の金曜日。東京へ向かう夜行バス。

ぼくは必死に、腹痛と戦っていた。

本当は新幹線なら一瞬なんだけど、あえての夜行バス。前日から旅がはじまる夜行バスが好きで、行きはバス、帰りは新幹線がいつものパターンだ。

なのに、腹痛。大人なのに漏れそう。そんな状態で久しぶりの東京ぶらりは始まった。パーキングエリアについて、トイレに走り込む。最近のパーキングエリアは綺麗だなぁと思いつつ、なんとか滑

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油をひかない。

ソーセージを炒めた。

油をひかずに炒めた。昔からそうしている。おなじような手法でメンバーに振る舞っていた。ソーセージに切り込みは入れずに、焦げてはち切れるように焼く。

一度、「ガキの使いやあらへんで」でココリコの田中さんが同じような手法でメンバーに披露していた。浜ちゃんは「そんなちゃうか?」みたいな反応をしていたけど、ぼくは田中さんの説明をウンウンと聞いていた。

「あんな、ソーセージは油ひか

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開けば、そこが図書室。

開けば、そこが図書室。

小学校の図書室では、よく裏取引が行われていた。

取引の対象は『かいけつゾロリ』。

全校生徒から大人気だったゾロリは、図書室で見かけることが、ほとんどないレア物。

見つけた子はクラスメイトに勝ち誇る。
その結果、「次は俺に貸してくれ!」と複数から頼まれ、契約を結んだ子に翌週渡す。どこか不正をしているような、裏取引感が、そこにはあった。

ゾロリの中でもさらにレア度は分かれる。

「かいけつゾロ

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