「大河の一滴」 五木寛之
「人はみな大河の一滴」ふたたびそこからはじめるしかないと思うのだ。」
「大河の一滴」 五木寛之
五木寛之さんは、この本の中で
「人はみな大河の一滴」
であると語っています。
人は生まれながらにして、「生老病死」という重い枷をはめられて生まれてきます。
故に
五木さんが最近、本気で思うようになったと記している空想の物語があるといいます。
それが、人間は「大河の一滴」であるというストーリー。
人が死ぬということは、生命の海に還り、ふたたび空にのぼっていき、雲となり露となり、やがて雨になって地上への旅が始まる。
人は宿命づけられています。
老いること。
病を抱えていること。
いつか必ず別れること。
人間とは哀しいものだと。
残酷なものだと。
しかし、その中で
五木さんは、自殺を考えるところまで追いつめられたことがあるといいます。
そこから立ち直ることができたのは、この世はもともと哀しいものであり、残酷なものであると思い返すことができたからだそうで、これはマイナス思考ではないと語っています。
五木さんは、「今はそう覚悟を決めるしかないだろう」と。そう考えると目の前が少し明るくなってきたと語っています。
そして
巻末の解説で松永伍一さんが、核心を突く言葉を書いており、まさに「大河の一滴」とはそのとおりではないかと、五木寛之さんの考えを端的に表したものであると感じました。
その言葉が
そこで、思い出した言葉があります。
映画「男はつらいよ」で、寅さんにむかって、甥っ子の満男がこう訊ねました。
満男 「おじさん、人間って何のために生きてんのかな? 」
寅さん「むずかしいこと聞くなぁ。なんつうかなぁ、ほら、ああ、生まれてきて良かったなぁって思うことが、何べんかあるじゃない、そのために人間生きてんじゃねえのか」
そんな一瞬を大切に心にしまい、辛いときには思い出してください。その一瞬が、あなたに勇気と力をくれることでしょう。
【出典】
「大河の一滴」 五木寛之 幻冬舎文庫
映画「男はつらいよ 寅次郎物語」
いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。それだけで十分ありがたいです。