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「生かされて生きる真理」 浜口恵観 文 浜田泰介 画

「慈悲と慈愛に満ちた言葉は、多くの人々の命を瞬時に救うことも、世界の人々の意識を平和へと導くこともできるのです。」



「生かされて生きる真理」 浜口恵観 文 浜田泰介 画


自分自身これまで生きてきて、大きな病気をすると思ったことがなかったし、まさか、入院するなんてことは、一切考えたことがありませんでした。


それが


2017年、僕は入退院を繰り返し、命の限定を目の前に不意に突きつけられ、治療がどうなるのかもわからず、ただただ・・・不安で、生と死のことばかり考えていた1年でありました。


家族や親戚、支えてくれた方のありがたさが身にしみましたし、自分は生かされているんだと心の底から感じました。


一瞬、一瞬が、すぐに過去に変わり、幻想の中で生かされているということも深く考えさせられました。


朝起きてまず、「今日も生きている!」と感じます。


そして、「生きていてよかった!」と感じます。


生きることとは?


生かされていることとは?


まったく何もわかっていませんが、残りの人生、このことをさがして生きていくんだろうと考えています。


本の中に、何かヒントとなるようなものがあるのだろうか?


この本は、そのような思いから手に取りました。


カバーに六波羅蜜の徳、十善戒とありました。


六波羅蜜(ろくはらみつ)とは何か?


菩薩が涅槃(ねはん)の世界に入るために修める六つの行なんだそうです。


では、涅槃とは?


一切の悩みや束縛から脱した、円満・安楽の境地。


仏教で理想とする仏の悟りを得た境地だということ。


仏教において人は、生きていながら
その安楽の境地にいけるのだといいます。


それは


六波羅蜜の徳という、六つの善い行いによっていけるのだそうです。


そのことを、この本はわかりやすく解説しています。


六つの行とは、以下のことです。


布施(ふせ)

布施とは自分にできることを
みんなのためにさせていただく


持戒(じかい)

ひとりの迷惑は多くの迷惑
という子を生むのです。
みんなが快適に、気持ちよく、
安心して暮らせるように、
みんなのために世の中には
きまりがあるのです。


忍辱(にんにく)

何が起ころうとも、耐え忍んで
心を動かさない性根。
耐え忍ぶことは人間の魂の成長の
糧となるのです。


精進(しょうじん)

人をあわれむ心、いつくしむ
心が仏の心です。
仏の道は日常の生活の中にこそ、
求められ、また、いかされるものなのです。


禅定(ぜんじょう)

本質を見定めるには、すべてを捨てて
修行に打ち込むことで心を覆っていた
霧が晴れ、いままで見えなかったものが
見えてくるものです。


智慧(ちえ)

憎しみ、疑念、恨み、焦燥、
嫉妬、混迷、悪意。
諸悪は心の深奥を支配しがちです。
愛情、信頼、感謝、寛ぎ、
喝采、理解、善意。
慶びは瞬時にして、人の心を
やすらぎへと導きます。


まずは、「小さなことからコツコツと」 ではありませんが、自分にできることをする。 


ゴミが落ちていたら拾うことであったり、街中を掃除することなど、人のためになることをするのが、布施になるんですね。


瀬戸内寂聴さんの本で読んだことがあるのですが、親切にしてあげたり、優しい言葉をかけてあげたりすることも布施。これは心施(しんせ)と言うそうです。


笑顔でいることも、まわりの人の心をホッとさせますよね。人の気持ちを優しくするものです。これは、和顔施(わがんせ)と言われます。


人が喜んでくれた上に、「ありがとう」と言われると気持ちがいいですよね。良い言葉を使うことも、人の気持ちを良くするのです。


女優の中谷美紀さんのエッセイに、こんなことが書いてありました。


映画の「リング」や「ケイゾク」に出演していた頃のこと。


冬季に長時間の撮影がつづき、また、汚い言葉でなじられる役だったため、現場における女優としての体裁など、どうでもよくなってきたと語っています。


空き時間を廊下で寝て過ごしたり、自分で差し入れたプリンを二つも三つも平らげたりしているうちに、気づくとどんどん体重も増え(今より7キロオーバー)ブスになっていった。

女は毎日「綺麗だ」とか「愛してる」と言われ続けると本当に綺麗になるのだということを逆説的に証明したようなものだった。

「ないものねだり」 中谷美紀 マガジンハウス 〝太る努力〟より引用


ストレスもそうですが、言葉というのは役を演じているとわかっていても、心や身体に影響を与えるものなんですね。


本書の後半は、十善戒


十善戒は、仏教の十の戒律。


不殺生(ころさず)
不偸盗(ぬすまず)
不邪淫(おかさず)
不妄語(いつわらず)
不綺語(かざらず)
不悪口(そしらず)
不両舌(たばからず)
不慳貪(むさぼらず)
不瞋恚(そねまず)
不邪見(あやまたず)


読んで字のごとく、人としての「善」と「真」であります。


最後の不邪見(あやまたず) の以下引用です。


宇宙には、原則があります。

この世のすべてのものは、うつろうこと
生まれては消える、形あるものは滅びるということ。


仏さまは「不幸の原因」と「幸せになる智慧」を説いています。

「幸せになる智慧」とは、

分かちあうこと。
楽を与えること。
耐え忍びながら成長すること。
人をあわれむこと。
人をいつくしむこと。
人の苦しみを取り除くこと。
心身を清め、行いを慎むこと。
善意の言葉で話すこと。
命の尊さを知ること。
生命を大切にすること。
慈悲の心、宇宙の心で観ること・・・・・・。

生かされている歓びを謳歌するのに、
難しい学問やたくさんのお金は必要ありません。

智慧の道を実践することで、この世は涅槃となるのです。


生きること、生かされること


それは


この世において、無常の現実を体感することなのかもしれません。


この世は、無常です。


同じ状況は、永遠に続かない。


今、暗雲が立ち込めていても、
必ず晴れる時がやってきます。


今の辛い状況は、ずっと続くものではありません。


だから、大丈夫
絶対に、大丈夫です!



【出典】

「生かされて生きる真理」 浜口恵観 文 浜田泰介 画 リヨン社


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