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船旅 地球をまわる

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一度だけの世界一周の船旅の思い出を綴っています。
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マダガスカルの運転手さん

マダガスカルの運転手さん

旅の思い出には、楽しい思い出と嫌な思い出の他に切ない、はかない、申しわけないという類の思い出がある。この第3の思い出として、船旅で寄ったマダガスカルのタクシー運転手さんに申し訳なかったという思い出がある。

マダガスカルのトアマシナのタマタブ港に着いた。船からは、なだらかな山々を背景にヤシの木々、インド風の家並み、キリスト教会が見えた。

一泊二日の寄港だったので、初日は、夫婦でイヴルイナ動物園に

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アモイの街のマクドナルド

アモイの街のマクドナルド

中国を街歩きして、おやっと思うもののひとつにマクドナルドやケンタッキーの漢字表記がある。中国語を母国語にしている人たちには、当たり前のことなのだろうが、漢字文化圏だが中国語を話せない私には、どうしてもマクドナルドと読めないのだ。

麦当劳 (麥當勞) Màidāngláo 
これは厦門(アモイ)で見かけたマクドナルドの表記である。看板を見ながらバクトウロウと何度発音してもマクドナルドにならなかった

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あごひもをつけたハット

あごひもをつけたハット

船旅に出る時に、ハットが風で飛ばされて、波間に漂うことを思い浮かべて、あごひもをつけた。「ひもをつけて」と娘に頼んだら、簡単につけてくれた。おかげでハットは風に飛ばされることもなく、無事に船旅を終えた。

ハットにも相性がある。旅立ちの直前にイオンで買ったリーズナブルなハットだが、被りやすく、カバンにしまいやすい。相性が合うものだった。そのハットを被り、いろいろな所に行った。スナップ写真を見ると、

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郷土食と民族食について

郷土食と民族食について

郷土料理は、言語のようなものだ。他の人たちとの交流が薄くなると、独自性が強化される。気候風土の影響は大きい。気候風土に適した、その土地で産まれた食材から作られた独特の食べ物が生まれる。日本国内だけを見れば、郷土食の違いは微妙な差異に見えるが、世界的に見ると、民族食には、それぞれかなりの違いがある。気候風土が違ければ、穫れる農産物も違いってきて、それを使う料理も違ってくる。

かつて、船旅をした時に

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ブエノスアイレスの思い出

ブエノスアイレスの思い出

海外旅行の話を友人としていたら、パリで財布を盗られそうになったと友人が話し出した。パリの地下鉄の車内にいたら、端正な顔をした男の子が体を押しつけてきたそうだ。何かしらの気配を感じて見ると、カバンのチャックを開けようとしているのに気づいた。開け方がぎこちなかったので気づいたのだが、慣れた大人だったらやられていただろうと言っていた。友人は、カバンをしっかりと抱きかかえていて幸い被害に遭わずにすんだ。向

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クルーズ船に揺られて

クルーズ船に揺られて

船旅で気持ちは高揚していたが、いっぽう船酔いの不安があったので、初日から酔い止め薬を飲んだ。出港式から気持ちは楽しいことに向かっていて、船内は目新しく、デッキから見る景色にも気を取られているので、酔うということを忘れていた。夜にベットに横たわると船が海に浮かんでいることを思い出し、かすかな揺れを感じるが、いつのまにか揺りかごに癒やされる赤ん坊のように寝てしまった。

船が海流に出会うときは、揺れが

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リマでバイオリンを買ってみた

リマでバイオリンを買ってみた

アンデスに響くインディオのケーナの音を出せたら良いなと思って、せっかくペルーのリマに来たのだから、ケーナを買おうと思い、妻と連れ立って、リマの楽器店に行った。

楽器店に飾ってあるケーナを買った。吹いたことがないので、音の出し方を教わった。店員さんが吹いてくれる。下唇を吹き口に軽く付けてみたが、なかなか音が出ない。仕草で教えてくれるうちに、音が鳴ったら、ニコッと笑ってくれた。ケーナをインカ模様の綺

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観光から垣間見たモーリシャス共和国

観光から垣間見たモーリシャス共和国

ただ一度のツアー観光で、その国の姿を知ることは難しいかも知れない。しかし、観光にはそれなりの効果はあるものである。モーリシャスというインド洋にある島国を一日観光したイメージは、多くの民族・宗教が共存する平和な国だった。 

その日、ポートルイスの港から観光バスでいくつかの観光地を巡った。

はじめに関帝廟、三国志の関羽を祀る神社、関羽は武雄だけでなく、様々な徳を備え、中国人に人気がある英雄である。

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マチュピチュの誕生日

マチュピチュの誕生日

一度は行ってみたい観光地として選ばれることが多いのがインカ帝国のマチュピチュ遺跡だ。そしてマチュピチュに行った日が私の誕生日だった。

1 クスコ

前日には古都クスコを訪れた。クスコは3400メートルの高地にある。リマから一気に飛行機で上がるために高山病が心配だったので、高山病予防のために日本から薬を持参して飲んでいた。機内の隣席に座った人は、阪急交通のグループで、話を聞くと、昨日はナスカ泊、今

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フエゴ島の先住民 ウシュアイアを旅して

フエゴ島の先住民 ウシュアイアを旅して

数年前に世界最南端の町ウシュアイアを旅した。世界の果て博物館(Museo de Fin del Mundo)の外構にあるパネルに半裸の先住民の写真が展示してあった。フエゴ島の先住民は、yamanas(ヤマナ、ヤガーンともいう)というとある。私は、展示を見ているうちに、次第にこの寒冷の地に適応して半裸の生活を送る人びとに惹きつけられていった。

最終氷期の末期にベーリング地峡を渡りアメリカ大陸に渡っ

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喜望峰の旅とアフリカ最南端

喜望峰の旅とアフリカ最南端

喜望峰に行ったのだから、アフリカ最南端に行ったと言いたいが、実はそうではない。喜望峰より東方にアガラス岬という最南端の岬がある。アフリカ最南端を周り、インドに行くというのは大航海時代のヨーロッパ人の悲願だったが、私も、せっかく船でアフリカに行くのだから、アフリカ最南端を周ってみたかった。

喜望峰は、バーソロミュー・デュアスが嵐にあい偶然に発見して、嵐の岬としてポルトガル国王に報告したが、国王ジョ

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ビクトリアの滝とイグアスの滝の比較

ビクトリアの滝とイグアスの滝の比較

三大瀑布と言われているのが、ビクトリアの滝、イグアスの滝、ナイアガラの滝である。以前にビクトリアの滝とイグアスの滝を観光した。同じ瀑布であるが、それぞれ違いがある。数年を経て、それぞれの特色を整理したい。

1 ビクトリアの滝1)ビクトリアの滝 ジンバブエとザンビア

ビクトリアの滝があるジンバブエは、近年ハイパーインフレーションによりジンバブエ・ドルの価値が下がり、高額の紙幣発行で有名になった。

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南米大陸の最南端の岬を巡って どこが最南端の岬か?

南米大陸の最南端の岬を巡って どこが最南端の岬か?

経験しないと分からないということは多い。見て初めて分かることもある。岬もそのひとつだった。かつて恋人が話してくれた岬をひとりでバスで行くという「岬めぐり」という歌があった。「瀬戸の花嫁」では、花嫁を乗せた小さな船が岬を周る情景が歌われていて、船に乗れば、海上から岬は簡単に分かのだろうと思っていた。それが、実際にマゼラン海峡を航海し、南米大陸の最南端の岬を通過したとき、岬は分からないと分かった。

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ペルーの街角 民族衣装を着た婦人たち

ペルーの街角 民族衣装を着た婦人たち

ペルーのクスコの街角に、民族衣装を着飾ったインディオの婦人が静かに立っていた。母親と一緒にいる子に眼を向けると恥ずかしがって母親のスカートの後ろに隠れてしまう。かつての日本の子どももこうだったなと懐かしい気持ちになる。民族性とか国民性でひとまとめに片づけるのは良くないとは思いながらも、同じようなモンゴロイドの血が流れているからなのだろうかと思ってしまう。

婦人たちは、無言なので、立っている理由を

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