見出し画像

#77『グラスホッパー』(著:伊坂幸太郎)を読んだ感想【読書日記】

伊坂幸太郎さんの『グラスホッパー』

「殺し屋シリーズ」の第一弾で、第132回直木三十五賞候補作にも選ばれた作品です。


読んだきっかけ

辻村深月さんの『Another side of 辻村深月』にある伊坂さんとの対談を読んだことで、伊坂さんの作品を読みたい気持ちが強くなりました。
その中で、評判が高そうに感じた「殺し屋シリーズ」から読んでみようと思いました。

このような方にオススメの本です

  • 伊坂幸太郎さんの作品をまだ読んだことがない

  • あっと驚く展開の小説を読みたい

  • 生きることについて考えさせられる小説を読みたい

あらすじ

『マリアビートル』『AX アックス』に連なる<殺し屋シリーズ>の原点!

「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋「鯨」、ナイフ使いの天才「蝉」も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──。
「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!

KADOKAWAオフィシャルサイトより

感想

  • 終盤の怒涛の展開に声を上げそうになるくらい驚き、痺れた

  • 運命を受け入れる心の広さを持ちたい


まるで虫が殺されるかのように次々と死人が出ます。読むのに体力を使うカロリーが高めの作品のように見えましたが、疾走感が強かったことで、そこまで重めの印象は持たなかったです。むしろ、次々と増えていく謎により展開が読めない緊張感が強かったです。

そんな中で終盤は怒涛の展開が待っていました。思わず声を上げそうになるくらい驚き、痺れました。こんなにキレイに伏線が回収されていく作品は最近ではなかったかもしれません。
そして、結局は最後まで謎は深まったままでした。読者によって解釈が分かれそうですね。


中盤の「未来は神様のレシピで決まる」というフレーズが印象的です。
良くも悪くも先のことはすでに決まっているのかもしれない。たとえそうだとしても、くよくよ悩まず、運命を受け入れる心の広さ、諦めない気持ちを持ちたいなと思いました。

殺し屋シリーズ、面白い!

印象的なフレーズ

「不安になったり、怒ったりするのは動物的だけど」
「原因を追求したり、打開策を見つけようとしたり、くよくよ思い悩んだりするのは、絶対、人間特有のものだと思うよ」
「動物にね、『どうして生き残ったんですか』って訊ねてみてよ。絶対にこう答えるから。『たまたまこうなった』って」

『グラスホッパー』

「そうそう、話は変わりますが、最近、読んだ本にこういうのがありました。未来は神様のレシピで決まる、と」
「ようするに、先のことは自分たちの範疇の外で、すでに決まっている、ということかもしれません」

『グラスホッパー』

「いいか、人間の知恵だとか科学は、人間のためにしか役に立たねえんだよ。分かってんのか?人間がいてくれて良かった、なんて誰も思ってねえよ、人間以外はな」

『グラスホッパー』

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?