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#94 2023年9月に読んだ本【読書日記】

こんにちは☺️

皆さんにとって9月はどんな月でしたか?
あっという間に感じたのは僕だけでしょうか?
月末の読了本の投稿を見ると幸せな気持ちになれるのは僕だけでしょうか?

月末の読了本……

!!!

と、いうことで?

当記事は、僕が9月に読んだ本の中から12冊をまとめたものです。

それぞれの本で、読んだきっかけ、このような方にオススメ、感想、印象的なフレーズを書きました。読む本を迷っている方にとって、参考になっていただけたら幸いです。


1.『境遇』(著:湊かなえ)

📖読んだきっかけ
久しぶりに湊かなえさんの作品を読みたいと思っていた中で、金沢旅行の際に「オヨヨ書林」で購入した本作を思い出し手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・人が抱える「境遇」について考えたい
・予想外の展開が待つミステリーが好き
・絵本が好き

📖感想
どんな人も何かしらの「境遇」を抱えていて、相手を「境遇」という枠を通じて見ています。しかし、相手の心をしっかり見ることで、枠を通り越して「絆」にもなる可能性があると思いました。
やり場のない切なさを感じながら、ラストに明かされた本当の真実は、全くの予想外でした。

📖印象的なフレーズ

「人は生まれた環境でその後の人生が決まるのではなく、人生は自分で作っていけるものだというメッセージを込めたい」。正式にタイトルが『境遇』に決まった時、そう湊さんが言っていたことを思い出す。

『境遇』解説より

2.『夜は短し歩けよ乙女』(著:森見登美彦)

📖読んだきっかけ
タイトルは以前から知っていて、先月の夏休みの時に購入しました。
切ない物語をイメージしていたのもあり当初は手を出しづらい作品でしたが、良い意味で印象が変わりました。

📖このような方にオススメの本です
・SF系の恋愛小説を読みたい
・京都が舞台になっている作品を読みたい
・表現や文体が独特な作品を読みたい

📖感想
不思議でクスッと笑える世界観。想像力をかき立てる表現。次々と繋がる伏線。そのオンパレードに一気に引き込まれ、夢中になって読んでいました。 想いがあり過ぎるがゆえに遠回りをする先輩、独特の感性を持つ黒髪の乙女。何よりも異彩を放つ2人が愛しく魅力的に感じました。
読む前と読んだ後で良い意味で印象がガラッと変わった作品です。 もっと奇遇が起きて物語が見たいって思いながら読んでいました。 先輩の拗らせている様子の表現が忘れられません。その中で僕が印象的な表現は「彼女の後ろ姿の世界的権威」ですね。
爽快さがある読了感で前向きになり、恋がしたくなる作品です。
今年読んだ本の中でベスト10に入るかも?

📖印象的なフレーズ

これからはきちんと古本市の神様にお祈りをいたしましょう。そして読まなくなった本はできるだけ世に解き放ち、次なる人の手に届けましょう。本たちが真に生きるように、私は努力いたします。ですから神様お願いします。私は手のひらを合わせて「なむなむ」とお祈りしました。

『夜は短し歩けよ乙女』

「親指をひっそりと内に隠して、堅く握ろうにも握られない。そのそっとひそませる親指こそが愛なのです」

『夜は短し歩けよ乙女』

3.『殺した夫が帰ってきました』(著:桜井美奈)

📖読んだきっかけ
桜井美奈さんは新潟在住の作家さんです。
先日の新潟日報に掲載されていた記事を読んだことがきっかけで手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・サスペンス系の作品が好き
・比較的読みやすい作品を探している

📖感想
徐々に明かされていく茉菜の過去に胸が締め付けられました。歪んでしまった感情の中で、幸せを掴みたいともがく様子。物語の真相以上に茉菜の心情の変化が印象に残りました。ありふれたように見える平穏が実は何よりも幸せなものなのかもしれません。
重めの内容だけど、ラストは一筋の光のようなものが見えた気がします。
真相が明かされる以外で印象的なシーンは、和希の知り合いに会った時の茉菜の行動ですね。
物語の設定は複雑ではないのもあり、読みやすかった印象があります。

📖印象的なフレーズ

なぜ和希がすぐに「妻」や「奥さん」と言えなかったのか。今の関係性では戸籍以外は、何もつながりがないからだろう。本来なら一番強固なはずの戸籍がつながっていても、茉菜と和希の間にはそれしかない。
でも……、と思う。少しずつ、つながっているような気がする。もっと今の和希を知りたいとも思う。そのためにもこの男の前で「妻」になろうと茉菜は思った。

『殺した夫が帰ってきました』


4.『1本60円のアイスを売って会社の価値を4倍にした話 地域限定企業を再生させた経営哲学』(著:飯塚周一)

📖読んだきっかけ
SNSを見て気になった1冊です。僕が新潟在住なのもあり、新潟という地方都市で企業を飛躍させた背景を知りたいと興味が沸きました。ちなみに「もも太郎」は好きです。

📖このような方にオススメの本です
・地方企業の経営者の方
・「もも太郎」のCMを見て気になった
・新潟にゆかりがある(あった)方

📖感想
本書で一番に感じたことは、経営者や従業員の立場においても、当事者意識を持って考えながら働くことの大切さです。仕事に慣れてくると考えることをおろそかにしがちなので、常に意識しようと改めて思いました。
現状維持や衰退からの脱却には何かしらの変化が必要ですが、その時に経営者に求められるのは、会社としての方針を従業員にしっかり示すこと。
そして、挨拶、身だしなみ、整理整頓といった基本的なことは、ゆくゆくは業務における直接的なことにつながるのだと思いました。その他には、悪知恵を働かせるエピソード、新潟への思いが印象的です。

📖印象的なフレーズ

考えることこそ、自身を向上させる唯一の方法なのではないか、とさえ思うのです。
そして、自分で考えなければいけないということに気づけるか。ここは1つの大きなポイントだと私は実感しています。さらに、他人から「考えなさい」と言われて考え始めるのと、自分の意思で考え始めるのでは、大きな違いがあると思っています。

『1本60円のアイスを売って会社の価値を4倍にした話 地域限定企業を再生させた経営哲学』


5.『ロードムービー』(著:辻村深月)

📖読んだきっかけ
今年中に「辻村ワールドすごろく」で登場する作品を全部読みたいと思っていました。しかし、色んな作品が気になっていたこともあり手つかずのまま……。久しぶりに辻村先生の作品を読みたいと思った時に、すごろくを進めていないことを思い出し手に取りました。

📖このような方にオススメの本です
・クラスでの人間関係に悩んでいる中高生の方
・読み終わったら前向きになれる作品を探している
・『冷たい校舎の時は止まる』を読んだ

📖感想
『冷たい校舎の時は止まる』のスピンオフ短編集。
学校の教室内の空気が言語化されているような心理描写と表現力。さらに随所にミステリー要素もあり、どの短編も読み応えがありました。
辛い時や苦しい時には、手を差し伸べてくれる人がいる。澱んだ空気を変えたいと勇気を出して一歩踏み出す人もいる。そのような姿を見て、読了後は「大丈夫」と前向きな気持ちになれました。
冷たい校舎の中を過ごした彼ら彼女らの中でも、「道の先」で登場する、ある人物が成長した姿には胸が高鳴りました。 スピンオフですが、どの短編も1つの独立した物語として楽しめる内容だと思います。

📖印象的なフレーズ

「痛みを、一緒になって受けとめる覚悟。それがあるだけで、優しさの形なんていくらでも変わるんだ」

『ロードムービー』

「東京って、語れてしまう。たとえ一度も行ったことがなくても、聞きかじったイメージを繋げるだけで、住んでたふりぐらい簡単にできる。芸能人の目撃談、満員電車、コンクリートジャングル、人のスピードの速さ。わかりやすいイメージは、むしろ実際の東京を全然知らない相手の方がよく持ってるから、話が受け入れられやすい土壌もできてる」

『ロードムービー』


6.『AX アックス』(著:伊坂幸太郎)

📖読んだきっかけ
殺し屋シリーズの最新作が今月発売されますが、それまでにシリーズ3作を全て読みたいと思っていました。すでに『グラスホッパー』『マリアビートル』は読んだので、今回は第三弾の本作を読みました。

📖このような方にオススメの本です
・家族の温かみを感じられる作品を読みたい
・絶妙な伏線の繋がりを楽しめる作品を読みたい
・『グラスホッパー』または『マリアビートル』を読んだ

📖感想
殺し屋シリーズ第三弾。
一瞬たりとも気が抜けない緊張感がありながら、何かほんのりと温度を感じました。 中盤のある一文からガラッと展開が変わり、さらに目が離せなくなります。 絶妙な伏線の繋がり、ユーモアあふれる日常。そして、兜の様子から家族への愛を感じ、目頭が熱くなりました。
殺し屋シリーズの中で一番好きな作品になりました。各章それぞれに見どころがあって、短編で独立していても楽しめると思います。僕は兜がスズメバチの巣と対峙するシーンが好きですね。 兜、妻、克己の掛け合いも微笑ましい。感情が揺さぶられ、読了後には力をもらえました。本来良くない意味で使われる「蟷螂の斧」という言葉を、本作を読んで大切にしたいと思いました。
今年読んだ本の中でベスト10に入るかも?(あれ、上にも書いたような…)

📖印象的なフレーズ

「蟷螂の斧って言葉を知ってるか」
「カマキリのことだ。カマキリが手の斧を振り上げている姿を思い浮かべてみろ。勇ましいけれど、しょせんはカマキリだ」
「負け犬の遠吠えみたいな意味?」
「似てるが、少し違う。カマキリは勝つつもりだからな。弱いにもかかわらず、必死に立ち向かう姿を、蟷螂の斧という」
(中略)
「どちらかといえば、はかない抵抗という意味だ」
(中略)
「ただ、カマキリの斧を甘く見てるなよ、と俺は思うけどな」

『AX アックス』

「忘れたよ。ただとにかく、やり過ごしたんだ。歯向かっても、媚びても、ろくなことはないし。昔から、おふくろがよく言うじゃないか。『やれるだけのことはやりなさい、それで駄目ならしょうがないんだから』って」

『AX アックス』


7.『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(著:最果タヒ)

📖読んだきっかけ
武田砂鉄さんの『今日拾った言葉たち』を読んだのがきっかけです。その中に掲載されている最果タヒさんの言葉がすごく印象的で、詩集を読んでみたいと思っていました。

📖このような方にオススメの本です
孤独、喪失、憂鬱などの不安を抱えている
・感情が揺さぶられて、想像力がかき立てられる詩を読みたい
・重めの恋愛小説が好き

📖感想
独特のリズムと表現による43篇の詩集。
最初読んだ時は、心の闇を映し出しているような暗い印象がありました。しかし、読み返していくうちに、不安な感情に寄り添っていると思いました。全体を通じて感じたのは、人は互いに理解し合えるわけではないこと。人間関係においては、適度な距離感を大事にしたいです。
特に印象的な詩は、「青色の詩」「24時間」「4月の詩」「ひとの詩」の4篇です。あとがきに書いてあることも素敵だと思いました。
愛の重さが強い詩もあるので、重い恋愛小説が好きな方に向いているかもしれません。

📖印象的なフレーズ

あってはならないものとされている感情が、好きだ。感情にあってはならないなんて、ありえないのに、それでも押し殺すその姿が好きだった。どんなに因数分解したって理解を得られないだろうそんな感情が、その人をその人だけの存在にしている。人は、自分がかわいいのだということをもっとちゃんと知るべきだ。
(中略)
ずっと、自分という存在は他人にとってひどく理不尽なもので、そして理解を求めることはとてつもない暴力なのだと思っていた。想像以上に他者は私を理解せず、そして理解しないからこそ私は自由で、だからこそ、生きていける。私が他者をかわいいと思えるのも、きっと同じ理由だった。

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 あとがき


8.『レーエンデ国物語 月と太陽』(著:多崎礼)

📖読んだきっかけ
『レーエンデ国物語』の第1巻を読んだことがきっかけです。壮大な世界観と登場人物たちに、とにかく心が揺さぶられ、読了後すぐに第2巻を読もうと心の中は決まっていました。

📖このような方にオススメの本です
・『レーエンデ国物語』シリーズの第1巻を読んだ
・人生について思い悩んでいる
・思わず胸がときめく作品を読みたい

📖感想
前編以上の内容の濃さと余韻に浸り、しばらく放心状態になりました。 レーエンデに自由を取り戻すため、自らの信念に従い戦ったテッサとルーチェたち。情熱、ときめき、恐怖、儚さ、そしてあまりにも切ないラストに、ひたすら感情が揺れ動きました。
弱肉強食の世界が前面に出ていて、綺麗事だけはなく残酷な場面も多かったです。特に終盤は目を背けなくなるほどで、ラスト30ページは涙をこらえきれませんでした。
どんな人にも適材適所、役割があること、先頭に立って率いることの難しさ、自暴自棄にならずに自分自身を大切にすること、疲れた時はしっかり休むこと、など……。テッサとルーチェをはじめ登場人物の生き方に学ぶことが数多くありました。あとは何よりもドキドキしました。恋愛小説の側面も強いかも?
自由とは、幸せとは、そして人生とは何かを考えさせられます。大人だからこそ読んで欲しいファンタジーだと思います。
読了後は、彼らの意思を大事にしたいと現実世界にいる僕もそう思っていました。

まだ2巻ですが、ずっと大切にしたい物語になりました。

📖印象的なフレーズ

「時代が僕らの生き方を否定するなら、この時代を変えればいい。世界が僕らの自由を妨げるなら、この世界を変えればいい。その第一歩として僕は僕自身を変える。身体も心もうんと鍛えて、アレーテやテッサを支えられるようになる。誰にも負けない立派な男になって、テッサの心を掴んでみせる」

『レーエンデ国物語 月と太陽』

「俺達は兵隊だ。戦うのが仕事だ。だが長く戦場に身を置いていると心が麻痺してくる。まるで息をするように人が殺せるようになる。血と暴力に酔い、人殺しを楽しむようになったら、そいつはもう人じゃない。鬼だ。鬼になれば、もう人には戻れない」
「テッサ、迷い続けろ。疑い続けろ。これは正しいことなのか、何のために戦っているのか、自分の頭で考え続けろ」

『レーエンデ国物語 月と太陽』

「一握りの黒麦が豊かな実りをもたらすように、氷柱から落ちる雫も集まれば大河となる。川は山を崩し、谷を削り、風景さえも変えてみせる。人間もそれと同じ。あたし達一人一人が力を合わせれば、出来ないことは何もない。聖イジョルニ帝国を倒すことも、人間としての尊厳を取り戻すことも、レーエンデに自分達の国を創ることだって、決して不可能じゃない」

『レーエンデ国物語 月と太陽』


9.『冥婚弁護士 クロスオーバー』(著:夏原エヰジ)

📖読んだきっかけ
KADOKAWA文芸編集部さんがX(Twitter)で本作を投稿されているのを見たのがきっかけです。生者と死者が婚姻関係にある「冥婚」や弁護士の内情も気になりました。

📖このような方にオススメの本です
・弁護士の内情が気になる
・日々の喧噪に疲れて心が卑屈になっている
・比較的ライトに読める小説を探している

📖感想
卑屈で理性的な弁護士の祐一と自由奔放な幽霊の琴子、2人の掛け合いが笑えて微笑ましかったです。ヒロインに振り回される系の作品が好きな方にとっては合うかもしれません(ちなみに僕がその一人です)。
人は、見えない部分で誰かに支えられて生きているもの。僕も祐一のように卑屈になることがありますが、読了後は大切な人に見守られているようで、身体に力が宿ったような感じがしました。
生々しい弁護士の内情も印象的です。特に、不倫関連の案件は精神的にきつそう……(笑)。リーガル小説ということで法律の条文が載っていたりと難しそうですが、比較的ライトに読めると思いました。あと、ホラー系のような怖さはほとんどなかったです。

📖印象的なフレーズ

「ただもし、君に失いたくない大切な何かがあるなら、憧れる対象は選ぶべきだと思う。これからも生きてたら心底ムカつくこととか、やってらんねえこととか数えきれないくらいあるかもしれない。けど、その何かを大事にし続けていれば、きっと未来は開けていく」

『冥婚弁護士 クロスオーバー』


10.『虹の岬の喫茶店』(著:森沢明夫)

📖読んだきっかけ
森沢さんのプロだけが知っている小説の書き方を先に読み始めたのがきっかけです。読んでいる中で、森沢さんの作品を読みたいとの気持ちがわきました。

📖このような方にオススメの本です
・とにかく心が温まる小説を探している
・コーヒー、喫茶店が好き
・ロック系の音楽が好き

📖感想
天気の良い日に、岬で落ち着く音楽を聴きながら美味しいコーヒーを飲んでいる。読みながら、そんな幸せなイメージが浮かんできます。そして、悦子さんの魔法にかけられたような気がして、心が真綿に包まれるような感覚になりました。作品全体から優しさ、切なさが溢れていて気が緩むと目から雫が落ちそうでした。 本作では、みんなによってお店が生かされていると悦子さんは言っています。生かし生かされるものは人だけではない。人だけでなく色んなこと、モノを大切にしたいです。

📖印象的なフレーズ

「過去を懐かしむことって、自分の生きてきた道のりを受け入れられている証拠でしょ。辛かったことも含めて、これまでの人生の積み重ねをまるごと肯定できているから、あなたたちは『懐かしい』っていう気持ちで当時を思い出せるのよ。もっといえば、その積み重ねそのものが、いまのあなたたちなんだから、自分を肯定して、受け入れて、大事に出来ているってことになるでしょ」

『虹の岬の喫茶店』


11.『プロだけが知っている小説の書き方』(著:森沢明夫)

📖読んだきっかけ
実は小説を書いてみたいとの思いがあり、稚拙ながら今月初めて小説(ショートショート)を執筆しました。そして、さらに良い物語を作りたいとの思いから手に取った1冊です。本作は以前Audibleで聴きましたが、今回は改めて紙の本で読みました。

📖このような方にオススメの本です
・小説の書き方に関する本を探している
・プロの小説家がどのように小説を書いているのか気になる
・嫌な感情はなるべく手放したいと思っている

📖感想
物語のネタや設定、プロット作成、情景描写や心理描写の書き方など、「こんなに教えていいの?」と思うほど詳しく書かれていると思いました。本作を読むと、小説の読み方も変わってきそうです。
そして、僕が本作で何よりも響いたのが、不幸な出来事や嫌な感情は、取材のチャンスであること、自分の中の感情を観察し、言語化することで嫌な感情を手放すことができることです。苦しさ、悲しさといった嫌な感情はなるべく味わいたくないと思っていましたが、執筆の際には活かせるかもしれない。そのような感情も大切にしたいと思いました。

📖印象的なフレーズ

余談ですが、じつは、ぼくは嫌な感情が生じたときほど、じっくり丁寧に内観し、味わうようにしています。つらいとき、悲しいとき、悔しいとき……、自分の心と身体の感覚から逃げず、あえてじっくり向き合って「身体の感覚」を観察するんです。
(中略)
これをやっていると、あら不思議、人はその嫌な感情に飽きてきます。
(中略)
ちょっぴり自虐的ではありますけど、小説を書くための「取材」ができるうえに、心を浄化し、さらに軽くする効果は絶大だとぼくは思っています。

『プロだけが知っている小説の書き方』


12.『植物図鑑』(著:有川浩)

📖読んだきっかけ
有川浩さんの作品は、『図書館戦争』シリーズ、『阪急電車』が読了済で、ドキドキする恋愛模様が印象的です。久しぶりに恋愛系の小説を読みたくなった時に思い浮かんだのが、有川さんの作品でした。その中からタイトルに興味がわいて手に取ったのが本作です。

📖このような方にオススメの本です
・タイトルの『植物』に興味がわいた
・植物が好き、料理が好き
・ささやかな日常を大切にしたくなる小説を探している

📖感想
こんなにも甘酸っぱくて切なく、ドキドキする図鑑は初めてでした。 物語で出てくる草花たちに、一般的な図鑑のようにワクワク。そして、草花を使った料理は思わず試したくなりました。 幸せは、普段歩く道ばたに転がっているのかもしれません。ささやかな日常を大切にしたいですね。
最初に出てくる「雑草という名の草はない。すべての草には名前がある」という言葉は、とても素敵で大事にしたい言葉になり、本作を表しているとも思いました。
そして何よりも、さやかとイツキの2人の行く末が気になって仕方なく、何でも器用に扱えるイツキが羨ましくて仕方なかったです。

📖印象的なフレーズ

「雑草という名の草はない。すべての草には名前がある」

『植物図鑑』

自分たちの幸せは何て安上がりなんだろう。
安く幸せになれるのは素敵なことだ。

『植物図鑑』


9月の振り返り

9月の読了本で特に印象に残った本は、

  • 『夜は短し歩けよ乙女』

  • 『AX アックス』

  • 『レーエンデ国物語』

の3冊です。

9月の読了本で印象に残った3冊

涼しくなったことで秋の訪れを実感し、9月が訪れたかと思ったら、もうすぐで10月になろうとしていた。そんな感じであっという間に過ぎていった9月のベスト本は、『レーエンデ国物語 月と太陽』です。
どこかギスギスしている気がする世の中で、今読んで良かった、そしてこれからも大切にしたい物語になりました。

「来月の新刊が楽しみだから。そんな簡単な原動力が子どもや僕らを生かす」

これはある小説のセリフですが、最近はこの言葉を強く実感しています。

そして、今月は初めて小説の執筆(ショートショート)をしました。いわゆる深夜のノリと勢いって感じで書き始めましたが、登場人物の名前を書いた瞬間、何か物語が生きているように感じて、心がぽっと温まりました。ただ、後で読み返したらきっと顔が真っ赤になりそうです(笑)

2023年もあと3ヶ月。
読書に関しては、小説に限らずジャンルレスで読みたい本を読もうと思います。知りたいことや気になることなどに関する本は積極的に手に取ってみたいですね。そして、「後悔しないように過ごす」ことは変わらない。「色んな出会いを大切にする」ことも変わらない。変わりゆく日々の中で、変わらないものを大切にしたいですね。

9月も色んな本に出会えたことに感謝😌

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