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20231203「ひとりの戦い」

ひとりの戦いは
そこかしこに
潜みつつ露になって
引き下がれないから
わたしでいられなくなる
潜在的にあったもので
繰り広げられるものは
蓄積させた溶解をもって
体内を巡る
沸点を越え
それでいて冷静
誰も加担しない荒凉とした砂漠
小さな花が咲く種が
どこかにあって
それを探すような出来事
もしかしたらそれかもしれないが
検討外れの方が多いだろうに
星降る夜に流れるその涙を
わたしが受け取る

さいなまれない所で
過ごすことができたらいいのに
あまりにも無害でいて凶暴だとするなら
無きものへと皆が思うかもしれない
そんなことがあっただろう
物語の序章
小さなサイレンを回し
巡回する衛星写真
あなたが見つけられるのは
偶然の灯火みたいに
揺れるそれをふらふらと
目指す方へと地面を蹴る
横腹が痛み
さすってもさすっても
飛んで行けない思いをもって
欠けて行く月を待って
三日月の寝床に寝そべるまでは
帰ることも進むことも逡巡する
照らされたのは誰の影なのだろう

おとぎばなしの一説
それがあなたのことなら
わたしはそれを読み継ぐだろう
失われたページさえ拾い集めて
アンソロジーさえ編むことだろう
欠片に宿る物ごと
解釈の類推
獲得しつつ実現されなかった想いの果て
球体への蓄積
嵩のない質量で連関される
分解能と解像力
幾度めかの戦火を潜り
火傷の痕を隠して
剥がされない烙印を各々が持ち合わせ
符合する色彩の濃淡で揺れるだろう
その狭間でこそ出会うもの
寄る辺ない砂の丘
砂金の一粒
小さな塊を皆が持っている

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