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【実録小説】これに共感したらがんばりすぎ、養生しましょう。

「あ゛ー…………もう、無理ぃ……」

帰宅して、絞りカスのような気力を振り絞って部屋着に着替えたところで力尽きた。

下がフローリングではない場所で力尽きたのは、不幸中の幸いといったところか。

目眩がする……。

お酒を飲み過ぎた時のあの、目を閉じてさえも世界がぐるぐると回るような目眩。

「うっ」

あ、これは……やべぇな。

「うぉえっ……う゛ー……」

吐き気というよりも、これは吐く感覚だ。

あー、それにしても………身体、動かねぇな。

このままでは床や服を吐瀉物で汚してしまう。

どうにか、どうにかトイレまで行かなくては。

「あ゛ーー……………」

お。声は、出る。
っても、誰もいねぇけど。

指先は、動く。

腕、は………あーダメだ、重すぎる。

首、は…うん、動く。よしっ。

さっきフラフラすぎて蹴っちゃったゴミ箱、どこにあったっけなー。

あ、あった。

最悪このままだったらゴミ箱に吐くか。

「んー………」

床に倒れるように横になったまま、どうにか動く指先でカリカリと床をかじりながら俺は思考を巡らせた。

トイレとは逆にちょっと這って、ゴミ箱を抱えるか。

いいや、トイレだろう。

「うっ……う゛ぅっ……」

どうにか身体を転がして、うつ伏せになることが出来た。

気合いを入れて、痛覚や感情を遮断するのにも似たいつものあの感覚を取り戻す。

「あ゛ーー………っく、だぁーーもうクッソ!!うぁ゛あ゛ぁぁっ……っしゃおるぁ!」

ー ズッ……ズルズル……

それでも立ってスタスタと歩く気力までは戻らないから、床を這って廊下を進む。

「うぉえっ。……だぁぁクッソ!」

トイレに行くってだけで、一体どれほどの時間をこうして嘔吐きながら這っているのだろうか。

「はぁーーーーもぅ……はっ、ははは……」

しょーもなさすぎて、惨めすぎて、部屋が乾燥してる訳でもないのに勝手に視界が潤ってくる。

視界には、ドアップすぎる廊下の木目と自分の手の甲だけ。

拳を握って再度気合いを入れようとして、雫が手を濡らした。

なんだかもう笑えてきてしまって、力が抜ける。

「って、結局フローリングでくたばってんじゃねーか。はははっうぇ……う゛ー……」

呑気に笑ってしまったとて、けれど容赦なく吐き気は襲ってくるもので。

「ッチ!クッソ………ぶぉうぇっ……ぐすっ、ははは……う゛っ。……だぁ畜生っ!!!」

トイレまで、あと少し。

普段であれば僅か1~2歩のことだろう。

あ゛ーーーもう、ここで吐いてしまいたい。

掃除が面倒だしそんな気力ねぇから絶対ヤダけどな!

って、なぁにやってんだろーなぁ俺は。

あーーー、遠いなぁ………。

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theノンフィクション、でございます。

ちなみに出勤時にこの感覚だと、どうにかこうにかスマホを手繰り寄せて欠勤の連絡をします。

出勤しろと言われる場合は、這って着替えてタクシーを呼びます。
(ここまでの状態では自分で車を運転出来ないので)

そういう生活をしてきました。

俺はここまでしんどくねぇからまだ大丈夫、って思った人!そこの貴方も休みましょうね!?

ここまで頑張ったらアカンねんて。

これを当たり前みたいに生きてきた俺もがんばりすぎだったけど、コレに共感や思い当たる節があったらそれは無理してるって事だから。

現在、こういうワーカホリックや社畜をしてる方々、一般社会に無理に合わせようとして苦しんでる方々やその支援者・保護者様方などを広く御支援するために活動しています。

もちろん、自分もかつてのこの実録小説のようにならぬべく、生活の様々にゆるゆると余白を持つよう心がけています。

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