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中央線の小説を出版して……

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2009年にJR中央線を舞台にした短編集を出しました。 中央線という、たくさんの人に日々使われ、そしていろいろな思いを抱かれている路線だけあって、上梓後に印象深い出来事がありまし… もっと読む
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青梅線の無人駅総選挙

青梅線の無人駅総選挙

 青梅駅に、このようなものが貼ってあった。
 青梅線の無人駅を投票したらしい。そして、ベスト3が決定したとのこと。

 青梅線を知る方は、どの駅を思い浮かべますか?
 ぼくは、これを見た瞬間に、3駅を思い浮かべた。となりに大きく結果が貼ってあったのだが、それを見る前に、ベスト3を自分の頭の中で組み立てたのだ。
 
 そして、結果を見た。
 

 第3位  日向和田駅

 第2位 鳩の巣駅

 第1

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福生の本、『Fussa‘n‘roll』

福生の本、『Fussa‘n‘roll』

 
 前回、福生の本のことを書いたが、ぼくも福生の本を2冊出している。

 思えば、楽な本であった。
 馴染みの街をうろつくだけ。こんなに簡単に本が作れるのは、いい時代に生きているものだ。

 
 
 この2冊を、新刊を出したことに合わせて、本日夕方から24時間、無料で配布します。amazonのアカウントを持っている人は、「FUSSA」と横文字で検索してください。英語で書いたので、「横田基地」とか

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東京都『福生市』の、本

東京都『福生市』の、本

 
 『福生』の本の制作に、以前関わった。
 構成、校正、などに……。
 けっこう、ぽつりぽつりと反応があるみたいだ。
 
 名前は載せなかった。別にいいですよ、と。
 構成や校正で名前を載せてたりしたら、かなりの冊数になってしまう。ぼくはいつも、特段気にせずに、名前の掲載(共著者とか)は断ってしまう。もちろん、費用も。
 前にモノマネ芸人の方が、酒場などでモノマネを求められて困ると言っていたこと

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福生、ちょっとした異国

福生、ちょっとした異国

 
 福生は米軍基地があり、街中で英語が飛び交うところ。駅のロータリーの雰囲気も、近隣の駅とは雰囲気がちがう。
 
 ただそれが、以前とはちょっとちがっている。基地の人でなく、東南アジアの人たちが多いからだ。
 
 今、福生では、異国、特に東南アジアの食材屋さんが多い。赤線や基地のある東口に、ぽつぽつと点在している。

 
 こちらは、福生から東福生へと向かう道の、赤線交差点の手前にある『パクナム

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ハロウィン、Halloween、『PLUME』さん

ハロウィン、Halloween、『PLUME』さん

 初夏、塩船観音のつつじ祭りに行ったときに書いた記事で出てきた河辺のパン屋『PLUME』さん。

 美味しかった記憶が今でも残っているので、今回はパンを食べる目的のためだけに行きました。

 お店は、ハロウィンの雰囲気。元々きれいな飾りつけのお店が、より、彩られています。

 パンの上にも、お化けが彷徨っています。
 
 
 7時から営業のお店で、モーニングセットがあります。店内ではそれをいただい

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五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(5)全5回

五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(5)全5回

 
 noteを開いたら、

 メッセージが。お読みいただいた皆さま、そしてスキを付けてくれた皆さま、ありがとうございます。「#将棋がスキ」ではなんどかメッセージをもらったが、「#忘れられない先生」では初めてです。
 
 このシリーズ最終回は、新井先生が土蔵のカギを開けるところから始まる。

 
 新井先生著の新書「五日市憲法」では、1968年、初めて土蔵に入るときの様子が描かれている。その後、土

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五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(4)全5回

五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(4)全5回

 
 タクシーは、ひたすら上っていく。中央車線は、ときおり広くなったところしかない。あとは、乗用車でもすれ違いがむずかしそうな山道。
 山下自治会館を通り、深沢渓自然村をすぎる。まだ上る。
 
 運転手さんは慣れたもので、なかなかのスピードで進む。
 8人乗りの大所帯なので、旅行気分ということも手伝い、何人かが運転手さんに話しかけている。これがあるだろうから、ぼくはワゴンタクシーを選んだのだ。
 

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五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(1)全5回

五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(1)全5回

 
 歴史家、色川大吉氏が9月7日に亡くなった。
 氏の訃報記事は地方紙にも載っていて、4大紙ではかなり大きく紙面を割いていた。
 彼は東京経済大学の名誉教授として知られているが、実際に授業を受けた者からすると、そんな重々しい肩書きではなく「東経大の名物教授」と言われた方がしっくりくる。リベラルな位置づけをされた人物だが、穏やかな表情と口調が印象的な、一見すると虫も殺さぬやさしいおじさんという感じ

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五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(3)全5回

五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(3)全5回

 
 五日市憲法を巡るツアーの当日は、さわやかな秋晴れだった。前後10日間、いや、前後1ヶ月は雨でもいいからこの日だけは晴れてほしいと願ったのが、通じたみたいだった。
 まだコロナ前で、マスクもなくて青空が気持ちいい。
 
 青梅線を拝島で乗り換え、五日市線に。

 青梅線ホームから撮った、五日市線。
 
 

 五日市憲法が発見された当時は、こんな感じだったろうか。いや、もっと古い、茶色の片開き

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五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(2)全5回

五日市憲法を見つけた男、色川大吉氏(2)全5回

 
 仮にその男を、OKさんとする。電話魔のところがあって、ショートメールでは返信が最も簡素な、「了解しました」ばかりだからだ。そのメールのあと、いつも電話が来る。
 
 OKさんに会ったのは偶然のことだったが、そのなかに必然も絡む。仕事場で会ったからだ。
 
 OKさんは、ぼくが当時いた仕事場に、あるときから頻繁に来るようになった。だれだろうと思っていたが、出はいりの激しい仕事場だったので、最初

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福生にある、ハウスの喫茶店(3)

福生にある、ハウスの喫茶店(3)

 ハウスを改造した店の多くは、国道16号沿いにある。しかし今回ぼくが訪れたのは、その国道から一つずれた、一般道にあるお店。
 

 
 これが、16号から1本ずれた道。この道沿いにも、ぽつりぽつりとだが店がある。
 
 この道沿いに喫茶店の案内が小さく出ていて、敷地に入るとハウスがいくつか建っていた。そのうちの一軒が『Dー13』という喫茶店。正確に店名を書くと、『CAFE Dー13、ときどき五味食

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福生にある、ハウスの喫茶店(2)

福生にある、ハウスの喫茶店(2)

 
 (1)の続きです。
 
 ところで、ハウスと言っても分からないのでは、と思った。全国区の言葉ではないだろう。福生や、米軍基地が近隣にある地域だけで通じる言葉かもしれない。
 
 ハウスというのは、米軍ハウスの略だ。横田基地に赴任してきた米軍兵士が基地外で住むときに使っていた住居のこと。
 これは、以前は横田基地を囲って、福生や昭島、瑞穂町などに数多くあった。最も多かったのが基地のメインゲー

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福生にある、ハウスの喫茶店(1)

福生にある、ハウスの喫茶店(1)

 
 福生は横田基地がある影響で、昔から、小さくて魅惑的なお店が多い町。全国に無数ある市の中でも、最も狭い面積の市のひとつというのに、たくさんのナゾッぽいお店がその中に詰まっている。そしてまた、そういったクセのあるお店が長く安定して残れているのが福生の特徴だ。
 
 その魅惑的な1軒に向かった。ハウスを改造した喫茶店の、『Dー13』さんだ。
 

 
 福生駅から立川寄りに歩くとすぐ踏切があって、

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中央線に乗って、「夏越の大祓」へ(後編)

中央線に乗って、「夏越の大祓」へ(後編)

 
 目の輪の、左手前に宮司さんが立つ。下の画像でいうところの、幟の前あたり。そして、芽の輪と幟を背にして向いている。意味合いとしては、私に向かって並んでください、という感じだろう。
 

 
 しかし、列はパッとできない。ぼくを含めて、観光客っぽい人も何人かいたが、離れて様子を見ている。頼みは、10人くらいいる地元のおじいさんたちだが、列を作ろうとしないで鳩首会談のような状態になっている。
 

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