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自然暴露と睡眠


📖 文献情報 と 抄録和訳

様々なタイプの自然曝露と睡眠時間との関連に潜むメカニズム:18カ国による分析

📕Martin, Leanne, et al. "Mechanisms underlying the associations between different types of nature exposure and sleep duration: An 18-country analysis." Environmental Research (2024): 118522. https://doi.org/10.1016/j.envres.2024.118522
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🔑 Key points
🔹6種類の自然体験と睡眠不足との関連を調査。
🔹近隣の自然指標は睡眠不足を有意に予測しなかった。
🔹自宅から見える自然や自然への訪問は睡眠不足の低下と関連した。
🔹自然-睡眠間の有意な関連は、より良い精神的な健康によって媒介された。
🔹自然-睡眠関連における国レベルの異質性が観察された。

[背景・目的] 緑地はより健康的な睡眠結果と関連しているが、特定のタイプの自然曝露の役割、潜在的な基礎となるメカニズム、および自然と睡眠の関連における国間のばらつきはほとんど注目されていない。

[方法] 本研究では、18カ国の成人サンプル(N=16,077)の横断調査データを用いて、以下の検討を行った: 1)6種類の自然曝露(街路樹の緑、自宅から見える海、1km以内の緑地、1km以内の海岸、緑地への訪問、海への訪問)と睡眠不足(1日6時間未満 vs 7~10時間)の相対的関連、2)これらの関係がより良い精神的健康および/または身体活動によって媒介されるかどうか、3)これらの経路の各国間の一貫性。

[結果] 共変量でコントロールした結果、近隣の自然指標(緑地、1km以内の海岸)は睡眠不足と有意な関連はなかったが、自宅から見える自然(街路樹の緑、海)、緑地や海への訪問は、それぞれ睡眠不足の軽減と関連していた。自然-睡眠間の有意な関連は、程度の差こそあれ、より良好な精神的健康によって媒介されたが、自己報告による身体活動は媒介されなかった。自然と睡眠の関連性の強さには、国レベルの異質性が観察された。

[結論] 自宅から見える自然を増やすことは、集団レベルでより健康的な睡眠時間を促進するための有望な戦略である可能性があり、一方、地域の緑地/青地で過ごすことを奨励する自然に基づく介入は、睡眠不足に罹患している個人を支援する適切な対象である可能性がある。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

僕の家からは、たくさんの自然が見える。
まず、ウッドデッキを介した庭は、芝に覆われ、紅葉が植っている。
さらにその先の景色に目を転じてみると、風にそよぐ田園風景が見える。
さらにさらに、その先を眺めると、雪がとけてきた山々がそびえたっている。

これらの自然に、何度、心を癒されてきたのだろう。
昼の散歩、そして夜だって、それらの自然は素晴らしいものだ。
徒歩1分で、大自然に着く。これは当たり前の環境ではないのだろう、きっと。

今回の抄読研究の結果により、自然への曝露が精神的な健康を介して睡眠不足を防ぐ可能性が示唆された。
そして、大事なことは、近隣の自然ではなく、目に見える自然、そして自然への訪問、が関連したことだ。
ただ、そこに自然があるだけでは、意味は少ない。
それを目で見て、そして訪問し体感することで、ようやく自然の恩恵を受けることができる。
自然を見よう、自然に赴こう、それは素晴らしい体験になることだろうから。

無限に豊富なのは自然だけだ。
自然だけが大芸術家を作り上げるんだ。

ゲーテ 「若きヴェルテルの悩み」

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