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相対的エネルギー不足。理学療法士と医師の知識


📖 文献情報 と 抄録和訳

理学療法士と医師のスポーツにおける相対的エネルギー不足に関する知識

📕Verhoef, Saskia J., et al. "Knowledge on relative energy deficiency in sport among physiotherapists and physicians." European Journal of Sport Science 24.1 (2024): 156-163. https://doi.org/10.1002/ejsc.12026
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✅ 前提知識:スポーツにおける相対的エネルギー不足 (REDs, Relative Energy Deficiency in Sport)とは?
・女性および男性のアスリートが経験する、生理学的および/または心理学的機能が損なわれる症候群で、問題のある(長期的および/または重度の)低エネルギー利用可能性(LEA, Low energy availability)にさらされることによって引き起こされる。
・有害な結果としては、エネルギー代謝、生殖機能、筋骨格系の健康、免疫、グリコーゲン合成、心血管系および血液系の健康が低下することが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

[背景・目的] スポーツにおける相対的エネルギー不足(Relative Energy Deficiency in Sport, RED-S)とは、男女両方のアスリートにおいて、エネルギー利用可能量の低下によって引き起こされる生理機能の障害を指す。RED-Sは多くの生理学的プロセスに影響を及ぼし、特にストレス骨折や月経周期の乱れを引き起こす。アスリートは、さまざまな医療従事者にこれらの症状を訴える可能性がある。本研究の目的は、理学療法士、一般開業医、婦人科医、スポーツ医、整形外科医のRED-Sに対する認識と知識を調査することである。

[方法] 上記の医療専門家を対象に、RED-Sの認識と知識に関するオンライン質問票を作成した。

[結果] 合計799人の回答者が分析の対象となり、回答者の22.0%がRED-Sの存在を知っていた。最も高かったのはスポーツ医(92.9%)で、最も低かったのは開業医(10.1%)であった。理学療法士では18.5%であった。RED-Sに関する知識の質問では、スポーツ医が平均8.9点で最も高く、理学療法士は平均5.7点で最も低かった。全回答者のうち、57.6%がRED-Sの潜在的な問題について話し合う能力があると回答し、7.4%がRED-Sを治療する資格があると回答した。回答した婦人科医のうち46.6%は、RED-Sの症状を持つ患者を診察した際、経口避妊の開始を勧めるが、これは無月経の症状を覆い隠すだけで、根本的な原因であるエネルギーの利用可能性の低下を治療することにはならない。

[結論] この研究では、参加した理学療法士、一般開業医、婦人科医、整形外科医の間で、RED-Sに関する認識や知識が低いことが報告されている。したがって、ほとんどのアスリートはまずこれらの医療提供者に相談することになるため、これらの専門家に対するこのテーマに関するさらなる教育が必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

エネルギーのインアウトというものは、実に相対的なものだと思う。
最近、自分自身の異動があり、通勤時間が減少した。
これまで40分間程度の片道移動(自転車)だったものが、15-20分間程度に減少したのだ。
そこで、興味深い変化が起きた。
なんだか、お腹が空きにくくなったのだ。

その時に、このRED-Sの概念を思い出した。
おそらく、運動によるエネルギー消費量が減じたために、必要エネルギー量も減少したのだろう。
そして、スポーツにおいては、エネルギー消費が非常に大きくなってくる。
その日の練習メニューによっても変化するだろう。
その激しい波を加味した必要エネルギー量、それを知る必要がある。

ところが、理学療法士においてRED-Sの存在を知っていたのはたった18.5%だった。
これは、約5人に1人であり、とても少ない数字のように感じた。
RED-S、覚えておきたい概念だ。

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