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自分語り強めの感想(映画、本、アイドルなど)

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星野源と若林正恭と自分 -LIGHT HOUSE感想-

星野源と若林正恭と自分 -LIGHT HOUSE感想-

■LIGHT HOUSEと2人のエッセイ

2年前、noteで「星野源と若林正恭と」というエッセイを投稿した。
高校1年生の時に星野源さんの4thアルバム「YELLOW DANCER」に出会い、大学1年生の時に若林さんのエッセイ「社会人大学人見知り学部卒業見込」に出会った。この2つの出来事は、自分の人生の大きなターニングポイントだったと思う。
初めてエッセイを投稿した年に「あちこちオードリー」で2

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ほぼ自分語りですが 生命体-星野源

ほぼ自分語りですが 生命体-星野源

サックスの音を聞くと、なぜだか泣きそうになる。
その楽器が奏でる少しくぐもったような音色は、悲しみや陰鬱とした感情を優しく包み込んで、やんわりと取り除いてくれるような気がする。

「うちで踊ろう」の大晦日.verを聞いた時にも、間奏にあるサックスのソロに感動した。
心が明るくなるようなメロディーでありながら、コロナ禍でひとりでいることの寂しさを全力で叫んでいるようにも聞こえた。初めて聞いたのは、制

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ほぼ自分語りですが-lyrical schoolについて-

ほぼ自分語りですが-lyrical schoolについて-

パフォーマンスに心が動く、ワクワクする。体が勝手に踊り出す感覚。
そのライブには何かが始まる空気感が漂っていた。歌声、見せ方、ノせ方は僕の心を持っていった。
“lyrical school”通称リリスク、ヒップホップアイドルユニットという唯一無二のスタイルを貫き、今年の2月に男女混合の新体制となったグループについて話したいと思う。

“新体制”と聞くと、グループのパワーは一度ダウンするけど、それ

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『献身性とか自己犠牲っていい言葉だけど、めっちゃ難しい』 たぶんこれ銀河鉄道の夜の感想※ネタバレあり

『献身性とか自己犠牲っていい言葉だけど、めっちゃ難しい』 たぶんこれ銀河鉄道の夜の感想※ネタバレあり

生で舞台を見るのは、それが2度目の経験だった。
その劇団の舞台を見るのは、僕の密かな夢であり、楽しみだった。
ヨーロッパ企画の舞台自体は見たことがなかったが、「ドロステのはてで僕ら」や「サマータイムマシンブルース」などの映画は拝見したことがあり、特に脚本家の上田誠さんの描く作品が好きだった。

上田誠さんとの出会い

大学1年生の頃、人と関わることがとにかく苦手だった。今も苦手なことには変わりない

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「本当の愛ならちゃんと 私があげる」の説得力―フィロソフィーのダンス・奥津マリリー

「本当の愛ならちゃんと 私があげる」の説得力―フィロソフィーのダンス・奥津マリリー

昨年6月ごろにフィロソフィーのダンスに関するエッセイを投稿した。十束おとはさんがご卒業され、新体制となってからは正直気持ちが離れるものかと思っていた。しかしながら、新体制お披露目ライブからリリースイベント、遠征にも行くほど、今まで以上に”フィロのス”熱が自分の中で高まっている。オリジナルメンバーのパフォーマンスの高さと新メンバーの見れば見るほどあふれ出してくる魅力が自分の心を掴んで離すことがなかっ

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ベン図 正欲を読んで

「あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して同情してもらえるようなもので心底羨ましいと。」

現実と小説の境目がまるでない小説であると感じた。生きづらさを感じている人間の物語や話をよく見ているつもりだったけれども、これまで見てきた人の抱えている悩みというのが氷山の一角でしかないということを思い知らされた。

自分はまだ打ち明けても、他人に受け入れられ、同情してもらえるような悩みしか持ち合わ

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「それぞれの愛を語ろう。僕愛と君愛」

※ネタバレ注意

今回は公開中の映画「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」の感想となっています。ネタバレの要素を多分に含みますので、まだ見ていない方やネタバレをされたくないという方は申し訳ないですが、閲覧ご遠慮ください。

先日、「僕が愛したすべての君へ」と「君を愛したひとりの僕へ」という映画を見てきた。見る順番によって結末が変わる今までにないような試みをしている映画で公開前から興

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乗り越えてきた夜、「人間」が写し出すもの

乗り越えてきた夜、「人間」が写し出すもの

先日、ピースの又吉さんの「人間」を読んだ。
振り払おうとも振り払うことができない自意識とその周りを取り巻く人間たちの複雑さや気味の悪さが物語の全体として描かれていて、そうした生きづらい世の中を永山と影島はどう生きていくのか、もしかしたらこれからの自分の人生にも起こることかもしれないと、少しハラハラしながら読み進めた。又吉さん自身の人生が、随所に散りばめられているような気がして、永山と影島の両方が著

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愛の哲学

愛の哲学

先日、フィロソフィーのダンスというアイドルグループのライブに行った。
歌やダンスはもちろん最高だったし、演出の面白さや生バンドの迫力、何から何まで自分の感情を震わしてくれる良いライブだった。

ライブの終盤で披露した「愛の哲学」という曲がある。その中で、「容赦なく愛してあげる」という歌詞があるのだが、このライブはまさにフィロソフィーのダンスの4人からの愛を容赦なく浴びせてもらえるライブだと感じた。

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音楽

音楽

#映画感想文

邪悪な敵との壮絶な戦いや甘酸っぱくドキドキするような三角関係も存在しないが、少年たちの衝動や青春は、たしかにそこにある。

細田守や新海誠のような映像美があるわけでもないのに、登場人物たちの躍動感やカッコよさはどんな作品をも凌駕していると感じた。登場人物や風景の輪郭が溶け合い、主人公による魂の歌声が披露されるラストシーンでは、自分自身が作品に溶けて混ざったような感覚に陥り、「音楽」

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