TADASHI TAKEZAKI

単なる映画大好きな人なので、ここには映画のことだけ書いていきたいと思ってます。ヘンテコ…

TADASHI TAKEZAKI

単なる映画大好きな人なので、ここには映画のことだけ書いていきたいと思ってます。ヘンテコ映画も大好きなので、愛のある感想を面白おかしく書きたいな。

記事一覧

悪は存在しない(2024)

第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞を受賞した濱口竜介監督の「悪は存在しない」を観た。 起承転結のある、わかりやすい娯楽作品とは対極をなす独特の映画。とはいえ、…

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正義の行方(2024)

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。状況証拠の積み重ねとDNA型鑑定などで犯人とされた久間三千年被告は、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に…

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陽炎座(1981)

昨年の4Kリマスター上映では「ツィゴイネルワイゼン」しか劇場で観なかった鈴木清順監督の"浪漫三部作"ですが、先日発売された『鈴木清順「浪漫三部作」【4Kデジタル完全修…

インシディアス 赤い扉(2023)

「ソウ」第1作のコンビ、ジェームズ・ワンとリー・ワネルが再びタッグを組んで送り出した「インシディアス」シリーズ。 このシリーズは過去4作が時系列的にバラバラの順で…

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異人たち(2023)

山田太一さんの小説「異人たちとの夏」を、アンドリュー・ヘイ監督が映画化した「異人たち」を観た。予告編も何も見ずに映画に対峙し、登場人物の設定にやや驚き、とてつも…

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「クラユカバ」と「クラメルカガリ」(2023)

新潟国際アニメーション映画祭のオープニングをスクリーントラブルで観損なっていた、塚原重義監督の「クラメルカガリ」と「クラユカバ」を2本続けて観てきました。新潟で…

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リンダはチキンがたべたい!(2023)

キアラ・マルタ&セバスチャン・ローデンバックが監督・脚本を手がけたフランスのアニメーション映画「リンダはチキンがたべたい!」を観た。アヌシー国際アニメーション映…

インフィニティ・プール(2023)

ブランドン・クローネンバーグ監督の長編3作目となる「インフィニティ・プール」を観た。 孤島の高級リゾートを訪れたスランプ中の作家ジェームズは、裕福な資産家の娘で…

TADASHI TAKEZAKI
2週間前
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貴公子(2023)

「THE WITCH 魔女」のパク・フンジョン監督の新作「貴公子」を観た。宣伝では"韓国ノワールアクション"と謳っているが、ちょっとジャンル違うんじゃない? 容赦ない暴力、…

TADASHI TAKEZAKI
2週間前

アイアンクロー(2023)

ショーン・ダーキン監督の「アイアンクロー」を観た。 僕は(「タイガーマスク」以外)プロレスにはほぼ無頓着に生きてきたので、"鉄の爪=アイアンクロー"が得意技だったア…

TADASHI TAKEZAKI
3週間前
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リゾートバイト(2020)

これまた劇場公開時にタイミングが合わなかった永江二朗監督の2020年作品「リゾートバイト」を見た。86分という短さもいいなと思って。 予備知識なく、タイトルとポスター…

TADASHI TAKEZAKI
3週間前
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胸騒ぎのシチリア(2015)

ルカ・グァダニーノ監督「胸騒ぎのシチリア」を見た。劇場公開時に見逃していた2015年の作品。なんでも、1969年の映画「太陽が知っている」のリメイクらしい。 物語の舞台…

TADASHI TAKEZAKI
3週間前
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ARGYLLE/アーガイル(2024)

マシュー・ボーン監督の「ARGYLLE/アーガイル」を観た。ノリノリの派手派手のコメディータッチなスパイアクション映画。監督の過去作「キングスマン」シリーズにさらに予算…

TADASHI TAKEZAKI
1か月前
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Netflixドラマ「三体」

Netflixドラマ「三体」シーズン1、全8話を見た。 原作が面白いと話題で、すぐに買って読み始めたものの、設定の複雑さと登場人物の名前の判別についていけず、2巻のアタマ…

TADASHI TAKEZAKI
1か月前
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ビニールハウス(2022)

まだ29歳という若さのイ・ソルヒ監督が、自身の認知症の祖母と、祖母をケアする母親の関係性からオリジナル脚本を書き、自ら監督した映画「ビニールハウス」。第27回釜山国…

TADASHI TAKEZAKI
1か月前
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籠の中の乙女(2009)

ヨルゴス・ランティモス監督の2009年作品「籠の中の乙女」をようやく見た。第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ。第83回米アカデミー賞では、外国映画賞にノ…

TADASHI TAKEZAKI
1か月前
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悪は存在しない(2024)

悪は存在しない(2024)

第80回ヴェネチア国際映画祭・銀獅子賞を受賞した濱口竜介監督の「悪は存在しない」を観た。

起承転結のある、わかりやすい娯楽作品とは対極をなす独特の映画。とはいえ、場面ごとの会話の面白さや、映画全体を通して感じられるやや不気味な緊張感、全く先が読めない展開に、最後まで引っ張られるし、映画の世界に引き込まれてしまう。

決して"わかりやすく面白い映画"ではないが、とても個性的で、いろいろなジャンルの

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正義の行方(2024)

正義の行方(2024)

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。状況証拠の積み重ねとDNA型鑑定などで犯人とされた久間三千年被告は、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に福岡拘置所で刑死した。

しかし、後にこの初期のDNA鑑定の精度に疑問が呈されたことで、被告が真犯人である証拠は揺らぐ。

何よりも悲しいのは、登校中の小学生一年生女児ふたりが殺されたこと。それは、許し難い。その犯人を捕らえよ

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陽炎座(1981)

陽炎座(1981)

昨年の4Kリマスター上映では「ツィゴイネルワイゼン」しか劇場で観なかった鈴木清順監督の"浪漫三部作"ですが、先日発売された『鈴木清順「浪漫三部作」【4Kデジタル完全修復版】 UHD+Blu-ray BOX』を購入したので、自宅で「陽炎座」を見返しました。確か5回目かな? 何度見ても、バラバラのシーンだけ記憶に残っていながら、物語全体の記憶はボンヤリしてしまう不思議な映画です。

泉鏡花の小説「陽炎

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インシディアス 赤い扉(2023)

インシディアス 赤い扉(2023)

「ソウ」第1作のコンビ、ジェームズ・ワンとリー・ワネルが再びタッグを組んで送り出した「インシディアス」シリーズ。

このシリーズは過去4作が時系列的にバラバラの順で作られており(正確には、整合性をとりながら後付けで1作目の前後の話を作っていったのだと思うが)、時系列で並べると、4作目→3作目→1作目→2作目となる。

そして、2023年夏にアメリカで公開された第5作「インシディアス 赤い扉」は、こ

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異人たち(2023)

異人たち(2023)

山田太一さんの小説「異人たちとの夏」を、アンドリュー・ヘイ監督が映画化した「異人たち」を観た。予告編も何も見ずに映画に対峙し、登場人物の設定にやや驚き、とてつもなく寂しくて悲しい内容に打ちのめされた。いやぁ… ビックリしたなぁ!

夜になると人の気配が遠のくロンドンのタワーマンションに一人暮らす脚本家アダムは、同じマンションに暮らすもうひとりの住人・ハリーの深夜の訪問を機に、ありふれた日常が変化し

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「クラユカバ」と「クラメルカガリ」(2023)

「クラユカバ」と「クラメルカガリ」(2023)

新潟国際アニメーション映画祭のオープニングをスクリーントラブルで観損なっていた、塚原重義監督の「クラメルカガリ」と「クラユカバ」を2本続けて観てきました。新潟で監督に必ず観るって約束したしね!

正直、どちらも60分強で普通の長編映画と同じ値段をとるのはどうよ? と思ったのだけど、実際に観てみると、あまり短さや物足りなさは感じない仕上がりだった。

予告編でお分かりの通り、レトロな世界観で徹底した

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リンダはチキンがたべたい!(2023)

リンダはチキンがたべたい!(2023)

キアラ・マルタ&セバスチャン・ローデンバックが監督・脚本を手がけたフランスのアニメーション映画「リンダはチキンがたべたい!」を観た。アヌシー国際アニメーション映画祭2023の長編アニメーション部門クリスタル賞受賞作品。

筆で描いたような描線とキャラクターごとに単色で塗られている独特の色彩表現がポップで、それぞれのキャラクターが賑やかに動くのと相まってとにかくカラフルで楽しい画が躍動する。それだけ

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インフィニティ・プール(2023)

インフィニティ・プール(2023)

ブランドン・クローネンバーグ監督の長編3作目となる「インフィニティ・プール」を観た。

孤島の高級リゾートを訪れたスランプ中の作家ジェームズは、裕福な資産家の娘である妻のエムとともに、ここでバカンスを楽しみながら新たな作品のインスピレーションを得ようと考えていた。

ある日、彼の小説の大ファンだという女性ガビに話しかけられたジェームズは、彼女とその夫に誘われ一緒に食事をすることに。意気投合した彼ら

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貴公子(2023)

貴公子(2023)

「THE WITCH 魔女」のパク・フンジョン監督の新作「貴公子」を観た。宣伝では"韓国ノワールアクション"と謳っているが、ちょっとジャンル違うんじゃない? 容赦ない暴力、ときどきコメディ… と言った感じの面白さでした。

フィリピンで病気の母のために地下格闘で日銭を稼ぐ青年マルコは、生まれてこの方会ったこともない韓国人の父を探していた。自分の稼ぎだけではままならない母の手術費を出して欲しいのだ。

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アイアンクロー(2023)

アイアンクロー(2023)

ショーン・ダーキン監督の「アイアンクロー」を観た。

僕は(「タイガーマスク」以外)プロレスにはほぼ無頓着に生きてきたので、"鉄の爪=アイアンクロー"が得意技だったアメリカプロレスラーの存在は知っていても、この映画のベースとなった実話、アイアンクローの主フリッツ・フォン・エリックの家族が次々と悲劇に見舞われ「呪われた一家」と呼ばれるようになるエピソードは知らなかった。

それくらいプロレスやフリッ

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リゾートバイト(2020)

リゾートバイト(2020)

これまた劇場公開時にタイミングが合わなかった永江二朗監督の2020年作品「リゾートバイト」を見た。86分という短さもいいなと思って。

予備知識なく、タイトルとポスターだけ見てる分にはわからないのですが、これ、ネット上の都市伝説を元に作られた"怖い話"です。

3人の若者が、離島の旅館にリゾートバイトにやってきたら、なんだか島にも旅館にも不穏な様子が見え隠れ… その真相を探ろうと踏み込んだらなんと

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胸騒ぎのシチリア(2015)

胸騒ぎのシチリア(2015)

ルカ・グァダニーノ監督「胸騒ぎのシチリア」を見た。劇場公開時に見逃していた2015年の作品。なんでも、1969年の映画「太陽が知っている」のリメイクらしい。

物語の舞台となるのは、ユネスコの世界遺産に登録されているパンテッレリーア島。この島の風景がとにかく素晴らしい。広大かつ美しい風景の中で、人はちっぽけに見えるが、そんなちっぽけな人間の中にある感情の揺れはとても大きい。

ロック・スターのマリ

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ARGYLLE/アーガイル(2024)

ARGYLLE/アーガイル(2024)

マシュー・ボーン監督の「ARGYLLE/アーガイル」を観た。ノリノリの派手派手のコメディータッチなスパイアクション映画。監督の過去作「キングスマン」シリーズにさらに予算をかけてゴテゴテに飾りつけました的な豪華な仕上がりでした。単純に面白いです。

凄腕エージェントが謎のスパイ組織の正体に迫る大人気小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、自宅で愛猫アルフィーと過ごすのが至福の時という平和主義者

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Netflixドラマ「三体」

Netflixドラマ「三体」

Netflixドラマ「三体」シーズン1、全8話を見た。

原作が面白いと話題で、すぐに買って読み始めたものの、設定の複雑さと登場人物の名前の判別についていけず、2巻のアタマまでしか読んでなかったんだけど、このドラマ版は舞台をイギリスに移して物語をわかりやすく整理してくれたので、割と見やすかった。

それでも、SF作品特有の難解さはあるんだけどね。原作をずいぶんアレンジして連続ドラマとしての物語構成

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ビニールハウス(2022)

ビニールハウス(2022)

まだ29歳という若さのイ・ソルヒ監督が、自身の認知症の祖母と、祖母をケアする母親の関係性からオリジナル脚本を書き、自ら監督した映画「ビニールハウス」。第27回釜山国際映画祭で3冠。

こういうことが起きると嫌だなぁ…と、想像できる限りめいっぱいの"気分が悪くなる出来事"を並べて、それが一つのきっかけから連鎖反応的に、ドミノ倒しのように次々と起きるためにはどのように設計すれば良いかを考え尽くした、ま

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籠の中の乙女(2009)

籠の中の乙女(2009)

ヨルゴス・ランティモス監督の2009年作品「籠の中の乙女」をようやく見た。第62回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ。第83回米アカデミー賞では、外国映画賞にノミネートされた作品。

今日はこの言葉を覚えましょう。
"海"とは、皮張りのアームチェアのことです。
"高速道路"とは、とても強い風のこと。
"遠足"とは、硬い建築資材で建物の床に使われます。

思春期を迎えた3人の若者が、自宅でこ

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