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現代思想のトリックスター 〜中沢新一『構造の奥―レヴィ=ストロース論』を読む
2005年の日本国際博覧会、通称「愛・地球博」は、「自然の叡智」をテーマとして開催された。1990年代後半、このイベントを前に、中沢新一は通産官僚からとある相談を受けたという。当時愛知県は、瀬戸市の「海の森」を切り開き、博覧会後公団住宅にする計画を進めようとしていた。そこに懸念を抱いた通産官僚は、中沢に相談を持ちかけたのだった。
中沢は、あえてパビリオンを建てないことを積極的な思想として打ち
旅路のレヴィ=ストロース 〜水曜どうでしょうの「野生の思考」
水曜どうでしょうは、やっぱり面白い。
水曜どうでしょうを見ていると、どういうわけだかすげぇ落ち着く。ってのがここ2~3年くらいずっと感じていることで、どうやらあのリズミカルなボヤキとヒゲの高笑いには、ヒーリング効果があるらしい、なんて勝手に思っちゃってる。
そんな具合だからもう、何度も何度も見ちゃうわけ。深夜バスに敵愾心をむければむけるほど、どうも安心感を感じちゃうし、まったくもってわけわ
大海賊の「資本論」〜出光佐三『マルクスが日本に生まれていたら』を読む〜
大海賊、大暴れ。 「海賊王に、俺はなる!」
日本にとどまらず世界に轟いたこのセリフは、なんとも冒険心をくすぐってくる。国民的、いや、世界的マンガは、ここまで子ども心をくすぐってくるもんだ。
しかし、海賊に妙なワクワク感を覚える幼な心は、一体どこからやってきたのか?海賊なんていえば、大抵は酒飲みの悪党ってなイメージを想起するし、東洋でいえば倭寇なわけ。ルフィみたいな人情味あふれる好青年が想起され