織笠志保

ぷすっと、こころにつまようじを。

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フィルムカメラとの出会い

私の持っているカメラのはなしだ。 このカメラは両親のおさがりで 「フィルムカメラとか持ってない?」 という私に母が押し入れから出してきてくれたものだ。 社会人にな…

織笠志保
2週間前
32

ドラマ『いちばんすきな花』とわたしのすきな花

放送中に珍しくリアタイしていたドラマだ。 ありそうな日常の中で生きていくドラマが好きだ。 そして、私は物語の終わりを見届けられないことがよくある。終えるのが、な…

織笠志保
1日前
1

最寄りが渋谷の人

いつかの昼休憩、蕎麦屋にて、向かいに座る2人の会話。 「休みの日とか、何してるん」 「ジム行ったりとか、ですかね」 「ええなぁ、ジム。他にはなんかあるん」 「色々、…

織笠志保
8日前
4

ぶつかられる側の人

朝の通勤では特に、そうじゃなくても人にぶつかられることが多いという側の人がいる。 私は完全にそちら側だ。 こちらから言わせてもらうと、ぶつかってくる側の人は絶対…

織笠志保
2週間前
3

テーブルいっぱいの中華と1曲目と

中華は3人以上で行くとたくさん食べられるから楽しい。 それに、いつもは食べないものにもチャレンジできる。 それでもまずはいつもの餃子に炒飯。 私は餃子が大好きだ。…

織笠志保
3週間前
6

はじめての半休

もう5年目に突入するぞという時に、初めて半休を取った。急に私用が入ってしまったのだが、休みが取れずに半休ならばという流れだ。朝は普段通りに出勤し、お昼休憩を取ら…

織笠志保
1か月前
4

私が渡したいもの

OVER THE SUN が好きだ。 ジェーン・スーさんのことばが好きだ。 堀井美香さんのテキトーさが好きだ。 いや、他にも好きなところはある。 ありすぎて語り尽くせないのだ。…

織笠志保
1か月前
4

はじめて手にした音楽

あの出会いは衝撃だった。 今でも鮮明に覚えている。 Mステにて。 ドラマ「歌のおにいさん」主題歌 矢野健太 starring Satoshi Ohno “曇りのち、快晴” 「え、え、すご…

織笠志保
1か月前
1

やすみの日のふたり

土日休みがこんなにも楽しいとは知らなかった。 27歳にして初めて気付いたのだ。 私はシフト制の仕事に就いているため、土日休みは月に1度か多くて2度だ。それ以外は自由…

織笠志保
1か月前
6

映画『夜明けのすべて』を見た日

「なんとなく、映画館を出てまだ明るくて まだまだなんでもできる時間がいい気がする」 私は映画館を出て、もう日付が変わっていて、この余韻までも夜が包んでくれている…

織笠志保
1か月前
16

この春、社会人5年目

世界だったり制度を変えるには、どうしたって力がいる。 経済力だったり、影響力、統率力、求心力に説得力も。 変えたいという情熱は若い頃がいちばん大きいのではないだ…

織笠志保
1か月前
4

冷めたコーヒーを

今日の用事を済ませ、コーヒーのお店へ向かう。 前から行きたいと思っていた。別店舗に伺ったことがあったが、ここは川沿いで景色がとても良いのだ。 メニューはほぼコー…

織笠志保
2か月前
6

西の香り

初めての場所に向かう。 新横浜から東海道新幹線に乗り、京都を超えた。 ここでお手洗いに行っておこうと席を立つ。 席に戻ろうとする頃には新大阪へ到着する間際だった。…

織笠志保
2か月前
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母と見上げた星空に

もうこんなにも時間が経っていたようだ。 私は当時14歳、中学2年生だった。 教室の後ろから2番目の席。 近くに座っていた子と手を握って「大丈夫」と言い合った。 3.11の…

織笠志保
2か月前
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憧れのデートコースで

交際してから初めてのデートだ。 恋人が住んでいる神戸へ足を伸ばす。 街を歩くと目につく看板があちこちに。 『餃子』 私は餃子が好きだ。 好きな食べ物を聞かれたら餃…

織笠志保
2か月前
11

母の味

母の味といえば、真っ先に思い浮かぶのは餃子だ。 家族も親戚も、母がつくる餃子が美味しいとそろえて言うのだ。 「そんなことないよ」 母はそう言うが、料理が上手なのだ…

織笠志保
2か月前
7
フィルムカメラとの出会い

フィルムカメラとの出会い

私の持っているカメラのはなしだ。

このカメラは両親のおさがりで
「フィルムカメラとか持ってない?」
という私に母が押し入れから出してきてくれたものだ。

社会人になったらカメラが欲しい!
ずっとそう思っていたのだが、買ったは良いがあまり使っていないという友人の言葉を聞いて気が変わったのだ。
「iPhoneで十分かなって感じ」
確かにデジタルカメラならば性能の違いはかなりあるが、どんどん機能が良く

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ドラマ『いちばんすきな花』とわたしのすきな花

ドラマ『いちばんすきな花』とわたしのすきな花

放送中に珍しくリアタイしていたドラマだ。
ありそうな日常の中で生きていくドラマが好きだ。

そして、私は物語の終わりを見届けられないことがよくある。終えるのが、なんだか、とても寂しいのだ。ドラマに限らず、漫画やアニメ、家で見る映画なんかもそうだ。
終わるための心の準備が相当必要で、どんな最後を迎えても頷けるまで続きが見られない。
だから映画館で見る映画は、まだ終わってほしくないなと思って頭が追いつ

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最寄りが渋谷の人

最寄りが渋谷の人

いつかの昼休憩、蕎麦屋にて、向かいに座る2人の会話。

「休みの日とか、何してるん」
「ジム行ったりとか、ですかね」
「ええなぁ、ジム。他にはなんかあるん」
「色々、忙しくしてますよ」
「どんな」
「いやぁ、何があるって訳じゃないですけど、色々です」

関西訛りの先輩と、どうやら関東出身の後輩だ。
注文していた蕎麦が席に届く。
私のもとにも続々と届き、七味をたっぷりかける。
私は辛いものが好きだ。

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ぶつかられる側の人

ぶつかられる側の人

朝の通勤では特に、そうじゃなくても人にぶつかられることが多いという側の人がいる。

私は完全にそちら側だ。

こちらから言わせてもらうと、ぶつかってくる側の人は絶対に人を選んでいる!
たまに間違えるからトラブルというものが発生するのだが。

大事になるのが面倒だし、もう私はこちら側だと自覚しているから諦めているのだ。あと電車遅れるの嫌だし。
心穏やかに、やり過ごすのだ。
トラブルはできるだけ避けた

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テーブルいっぱいの中華と1曲目と

テーブルいっぱいの中華と1曲目と

中華は3人以上で行くとたくさん食べられるから楽しい。
それに、いつもは食べないものにもチャレンジできる。

それでもまずはいつもの餃子に炒飯。

私は餃子が大好きだ。
私の友人は餃子を頼むかもう確認しないのだ。

「しほちゃんは餃子でしょ」
「あ、はい!」

飲み物が運ばれ、ひと口ふた口と飲むとすぐに餃子が届く。これだから中華は。
私は、早い安い美味いが大好きだ!
パリッと焼かれた餃子は大ぶりで、

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はじめての半休

はじめての半休

もう5年目に突入するぞという時に、初めて半休を取った。急に私用が入ってしまったのだが、休みが取れずに半休ならばという流れだ。朝は普段通りに出勤し、お昼休憩を取らずに12時45分に退勤となる。

「半休ね、いいよね、お昼どこいくの?」
「え、決めてないです」
「決めとくでしょ、半休なら」
「あ、そういうもんなんですね」
「俺はね、勧めてもらった皿うどんの店に行ってきたよ」
「ちゃんぽんじゃなくて皿う

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私が渡したいもの

私が渡したいもの

OVER THE SUN が好きだ。
ジェーン・スーさんのことばが好きだ。
堀井美香さんのテキトーさが好きだ。

いや、他にも好きなところはある。
ありすぎて語り尽くせないのだ。

OVER THE SUN の中でも好きなエピソードは文字起こしをしていて、読み返したり聞き返したりしている。
おばさんから学ぶことは本当に多くあるのだ。
おばさん最高!
いつか私もこんな風になってダラダラ友人と語り合っ

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はじめて手にした音楽

はじめて手にした音楽

あの出会いは衝撃だった。
今でも鮮明に覚えている。

Mステにて。
ドラマ「歌のおにいさん」主題歌
矢野健太 starring Satoshi Ohno “曇りのち、快晴”

「え、え、すごい!だれ!」

その歌声に痺れたのだ。
当時、12歳、小学6年生。
これが私と嵐との出会いである。

その時の嵐は既にデビューから10年が経っており、相当の人気があっただろう。それでも私はアイドルに全く興味がな

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やすみの日のふたり

やすみの日のふたり

土日休みがこんなにも楽しいとは知らなかった。
27歳にして初めて気付いたのだ。

私はシフト制の仕事に就いているため、土日休みは月に1度か多くて2度だ。それ以外は自由に休める場合が多く平日休みがある仕事である。

『へいじつやすみ』それはもう最高なのだ。

けれども平日休みのはなしはまた今度。
土日はどこに行っても混んでいる。だからといって家で2日もダラダラしていたら仕事に復帰できなくなりそうだと

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映画『夜明けのすべて』を見た日

映画『夜明けのすべて』を見た日

「なんとなく、映画館を出てまだ明るくて
まだまだなんでもできる時間がいい気がする」

私は映画館を出て、もう日付が変わっていて、この余韻までも夜が包んでくれているのだという感覚が好きだ。そして夜型人間、夜更かし大好きなこともあり映画もドラマもラジオも夜に限ると思っている節がある。
けれども友人からこんな風にお勧めされたのであれば、できるだけ早い時間帯に観ようじゃないか。

昨日は天気が不安定で晴れ

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この春、社会人5年目

この春、社会人5年目

世界だったり制度を変えるには、どうしたって力がいる。
経済力だったり、影響力、統率力、求心力に説得力も。

変えたいという情熱は若い頃がいちばん大きいのではないだろうか。今まで触れたことのない社会で、いちばん多くのことを感じる。そうして思うのだ。

「社会人って、なんなんだ」

どうしてこんなにも課題が山積みで、うまく回っていない社会で知らないふりして過ごせているのだ。
到底理解できない社会で揉ま

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冷めたコーヒーを

冷めたコーヒーを

今日の用事を済ませ、コーヒーのお店へ向かう。
前から行きたいと思っていた。別店舗に伺ったことがあったが、ここは川沿いで景色がとても良いのだ。

メニューはほぼコーヒー。
クッキーが数枚、ガラスドームに閉じ込められている。

「アメリカーノを1shotでお願いします」
「ホットでよろしいですか」
「はい、温かいもので」

やたらと声の大きい人がいる。
かたや近所のおばさま方の女子会。
窓際の席に座る

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西の香り

西の香り

初めての場所に向かう。
新横浜から東海道新幹線に乗り、京都を超えた。

ここでお手洗いに行っておこうと席を立つ。
席に戻ろうとする頃には新大阪へ到着する間際だった。
降車する人々を見送ってから自分の席へと戻ると先ほどまでとは雰囲気が違う。

車内が関西になっていた。

目的地まであと一駅、乗車時間は12分である。

関西弁が飛び交う。
席に着く前に
「席、まわるん?」
「まわるまわる、はよまわして

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母と見上げた星空に

母と見上げた星空に

もうこんなにも時間が経っていたようだ。
私は当時14歳、中学2年生だった。
教室の後ろから2番目の席。
近くに座っていた子と手を握って「大丈夫」と言い合った。

3.11の夜、光が無くなった世界でふたり。
母と見上げた星空に
「すごいね、綺麗だね」
「こうやって星見てる人、沢山いるのかな」
「いるんじゃないかな」
「私、この景色ずっと忘れないと思う」
そう言ってちょっぴり泣いた。
今でも鮮明に覚え

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憧れのデートコースで

憧れのデートコースで

交際してから初めてのデートだ。
恋人が住んでいる神戸へ足を伸ばす。
街を歩くと目につく看板があちこちに。

『餃子』

私は餃子が好きだ。
好きな食べ物を聞かれたら餃子と答える程に好きだ。
あちらこちらに餃子店。
私の頭の中にこんなことばが浮かんだ。

「餃子はしごデート」

好きな食べ物をはしごするデート。
とても、それはもう、非常にやりたい!
いやでも付き合いたてで「餃子店をはしごしたい」だな

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母の味

母の味

母の味といえば、真っ先に思い浮かぶのは餃子だ。
家族も親戚も、母がつくる餃子が美味しいとそろえて言うのだ。
「そんなことないよ」
母はそう言うが、料理が上手なのだ。
母のごはんはいつでも美味しい。一人暮らしが長くなって余計に感じるようになった。私もそれなりに料理をするし、あの味を再現できるものもある。それでもやはり母がつくるからこそ、母の味なのだ。

そんな母の味を再現できず、越えられもしない料理

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