見出し画像

摂食障害と闘った、14歳の私が伝えたかった事


摂食障害を患ってまだ1年にも満たない頃、
渦中を必死で生きていた私が、
2016年に弁論大会で語った言葉です。


※当時の情報やまだまだ未熟で限られた自分の知識を
元に語っている点、ご了承ください。




今の自分の在り方の原点となった当時の想いと経験を、
ここで1人でも多くの人に知ってほしい。


当事者の方には、「あなたは1人じゃないよ」
ってメッセージを届けたい。

当事者以外の方には、他人事で終わらせず、
病と社会課題と当事者の存在を知ってほしい、


そんな想いで残します。






.






皆さんは「摂食障害」という病気を知っていますか。

「拒食症」「過食症」という言葉を
耳にしたことがありますか。


どの人も一度は聞いたことが
あるのではないかと思います。




これは、厚生労働省の難病にも指定されている
精神疾患の一種です。




そして、実は私もこの病気と闘い続けています。



本当は少し怖かったり不安もありますが、
1人でも多くの人に病気のことを
知っていただきたいのでお話しします。



この病気には、先ほども挙げたように
主に「拒食症」「過食症」があり、
極端な食事制限、莫大な量の食事の摂取など、
異常な摂食行動が見られます。

それにより、身体面、更には精神面にも
様々な害を及ぼします。

この2つは真逆のようなものだと捉えられがちですが、
症状の現れ方が異なるだけで、
どの患者にも「肥満恐怖」「異常な痩せ願望」などは
共通して存在しているため、
ステージが異なるだけの同一疾患だと
考えられています。

原因は、一般的には
過度なダイエットと考える方が多いですが、
幼少期の親との不良な関係、ストレス、
周りの人との関係など、
さまざまな要因が重なり合い、
自分を守ろうとした結果、
病気を発症してしまうのです。




ここからは、私の体験も交えながら
お話ししていきます。


.



私は、小学生の頃からしばしば周りから
「太い」
「デブ」

とと揶揄われることがありました。


その時は全く気にも留めていませんでしたが、
中一の終わり頃から体型を気にし始め、
ついにダイエットをすることにしました。

体重は順調に減っていき、
周りから「痩せたね」と言ってもらえる度に
自信が増し、
どんどん自分を追い込んでいきました。


夏には、だんだんと食べるのが怖くなり、
水分でさえ太るのでは?と
少しずつ拒否するようになりました。

新学期に入り、
そろそろ普通に食べていかないと
体が危ないと思ってはいるものの、
体が受け付けず、
更には文化祭、体育祭の練習の疲れもあり、
食べる量は増えるどころか益々減っていきました。

この頃には体を動かすのも相当しんどく、
あれだけ大好きだった陸上部にも
体力的に、更に精神的にまで意欲が湧かなくなり、
しばらく休むことにしました。


すると次は勉強しなければという強迫観念に襲われ、
平日は学校から帰るとすぐ机に向かい、
ひたすら6~8時間も勉強していました。

多くの拒食患者には、
このような強迫観念が現れるようです。

しかし、正直勉強するだけでも体力的にかなり辛く、
その間も体重と食事量は減っていく一方でした。




そして、10月の末には、ついに入院が決定。
その時の体重は34kgにまで落ちていました。



点滴を3日ほど打った時には、
水分で体重が一気に増え、
1人でいる時は大号泣でした。


それでも、無事退院した時には、
誰もがあとは回復していくだけだと思っていました。


もちろん私も。






ここからが本当に苦しい闘いになるとは知らず・・・。


.



退院後、食べる量が急に増えました。

過食の始まりだったのです。



満腹中枢が壊れていたために、
どれだけ食べても満腹を感じられず、
食事の時もそれ以外の時も、とにかく食べていました。


その頃はまだ楽しんで食べられていましたが、
年明け頃から変わっていきました。

12月頃から部活に復帰していたのですが、
冬休みには部活から帰ってくると、
ひたすらに食べていました。


こんな自分が嫌すぎて、
泣きながら冷蔵庫を開けていた時もありました。



その後、精神的に不安定になっていき、
鬱の症状が出始め、
下剤乱用や自傷行為も始まってしまいました。

イライラしたり辛いことがあったりすると、
ひたすら食べ物を詰め込み、
体重増加を少しでも抑えるため大量の下剤を飲む。

このような生活をしていたせいで、
体の調子もおかしくなっていきました。



さっきまで普通に笑っていたと思えば
急に気持ちが落ち込んで無口になったりと、
鬱が強くなりました。

笑えなくなり、激しい希死念慮も現れ始めたので、
春休みからまた入院しました。



退院後、下剤乱用や自傷行為は収まってきましたが、
鬱だけはそう簡単に離れてくれません。

訳もなく急に辛くなったり、
異常な孤独感に襲われたりして、
毎日のように泣くことだってあるし、
希死念慮もまたすぐに現れます。



また、周りからは甘えだと思われるかもしれませんが、
やらなければならないこともやる気が起きず、
授業も集中できません。

宿題や課題をやろうと思っても脱力感がひどく、
そのまま寝てしまい、
朝になって何もできていないことにイラつく、
そんな毎日です。

夏休みに入っても、午前中は部活に行き、
午後は何もやる気が起きず、
クーラーのかかった部屋でベッドに転がり、
ずっと携帯を触っています。




こんな風にしかできないのが自分でも嫌で、
皆が頑張っている時に何をしているんだろう、
なぜ頑張れないんだろうと、

何度も涙しました。





どこまでが病気のせいで
どこからが甘えなのか
分からず、
苦しいし、悔しいです。





今の私には、未来が見えません。
希望が持てません。






また、最近また食べることに対して
神経質になってきています。

拒食脳が出てくると本当に食べるのが嫌で、
まともに食事を摂らない日も時々あります。

しかし、ほとんど反動がきて
別の日には苦しくなっても
食べたり飲んだりし続けます。



そうなるのが分かっているのに、
普通の食事ができないのが辛いです。



また、体重や体型にもずっととらわれています。


正直、私の学校には痩せた子が多すぎます。
だから余計に

「自分は太っている、痩せなければ」

という思いに縛られてしまいます。






もっと痩せたいです。

今の自分は恥ずかしいです。

本当に、どこまでいけば満足できるのか、
自分でも分からないのです・・・。



.




今の日本の女性は、あまりにも痩せすぎています。

今の世の中はおかしいと思います。

「痩せることが当たり前」
「痩せが勝ち組」


といった風潮が
浸透していっているんではないでしょうか。




約100人に1人が摂食障害患者であると言われる
現在の日本。


日々新しいダイエット法を紹介するのではなく、
この病気で苦しむ人をこれ以上増やさないためにも、
世の中全体が摂食障害についてもっと考え、
変わっていくべきなのではないでしょうか。




.

摂食障害

この病気はただの痩せすぎ、太りすぎ、
食べられない、食べ過ぎという問題ではありません。

心の病気なんです。

患者にとって最も辛いこと、それは周りの理解がなかなか得られないことです。


いきなり理解するのでは無理でしょう。
しかし、今の世の中はあまりにも病気に対する知識が
浅はかすぎるのです。



痩せるために「拒食症になりたい」
少し食べ過ぎただけで「過食症かもしれない」

このように言う人が許せません。

あまりにも酷い偏見ではないでしょうか。






私は普通になりたい、ただそれだけなんです・・・。





それでも、必死に理解しようと、支えてくれようとする
友達や先生方、家族のおかげで今日も生きています。


ありがとう。





私には、世の中を全て変えられるような
力はありません。


でも、少しずつでも病気の恐ろしさや
苦しみを広めていける、
そんな人間になりたいです。



この弁論で伝えられることは
ほんの少ししかありません。

それでも、これを機に、
摂食障害に対して少しでも関心を持ち、
理解しようとしてくださる人が1人でも増えてくれれば、と思っています。



.



同じ苦しみを味わっている人達と共に、
1日でも早く、
心から笑えますように。




この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?