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『鹿の王 ユナと約束の旅』見た直後の雑記

MOVIX三郷で安藤雅司・宮地昌幸監督アニメ映画『鹿の王 ユナと約束の旅』を見ました。

やや難解な部分はあるけど、『風の谷のナウシカ』と中世ヨーロッパとモンゴルの遊牧民を足したような世界観と「子連れ狼」的なメインキャラのヴァンとユナの関係と展開などを楽しめたかな。

圧倒的支配国家東乎瑠(ツオル)帝国に黒狼熱(ミッツァル)という黒死病みたいな流行病が蔓延し、ツオルの従属国家のアカファ王の懐刀トゥーリ厶はオタワル人の医師ホッサルにミッツァルを治す謎を解明して欲しい、と頼む。そのヒントとして先頭集団「独角」の頭目ヴァンが握っているんだけど、捕らえてアカファ岩塩鉱で奴隷になったはずが山犬(オッサム)が岩塩鉱を襲撃の際に脱走し、偶然出会った幼い少女ユナと共に旅をし、アカファの離れ里・火馬の郷で村人たちと狩猟や放牧をしながら逗留する、とこんな感じ。

周りを支配するイケイケ軍国ツオル帝国と従属国家アカファとのシーンにのどかな遊牧民の里・火馬の郷のシーンの都会と田舎、野心と長閑さのコントラストが良く、そこにかつて最強の戦士だったヴァンの謎と黒死病とエボラ出血熱をミックスしたような流行病・黒狼熱(ミッツァル)の謎、それと大人のヴァンと幼いユナとの「子連れ狼」とも「北斗の拳」のケンシロウとリンのようなほのぼの描写など、見どころたっぷり。

全体的な中世ヨーロッパテイストや野心を持つ戦闘国家に、メインキャラの一人であるユナのあどけなさなど、どことなくかつて監督の安藤雅司や宮地昌幸が在籍していた昔の「スタジオジブリ」っぽさが味わえ、「スタジオジブリ」作品でなくとも「スタジオジブリ」らしさが引き継がれ、味わえることが分かった。

ただ、序盤のヴァンとユナの脱走シーンや時折山犬の群れに入るユナの描写など油断すると「?」なシーンもあるし、ツオル帝国とアカファの関係も悪いのにツオルの王もアカファの王も一緒にいたりするので、いまいち分かりにくさがある。それぞれの人物相関は原作未読者にはパンフレットか公式HPのチャート欄をしっかり読み込む必要はある。

流行病の謎の部分は伏線も伏線回収もお見事。そこは原作がしっかりしている、とみた。
ただ、わりと盛り上がり、さらにどうなる、と思ったらあっさりと終わるので、そこの惜しさはあるも、次回作に期待ができるし、それだけ引き込まれたかな。
流行病・黒狼熱も新型コロナウイルスとは当然違うし、むしろ中世ヨーロッパに起こった黒死病みたいなものだから、そこは現代性とかメタファじゃなくて、純粋に中世ヨーロッパテイストとしての味わいとして捉えることができる。

ジブリ作品じゃないけどジブリっぽく、最近のスタジオジブリ作品よりも出来がいいアニメ映画でしたね。

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