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シン・映画日記『近江商人、走る!』

新宿ピカデリーにて『近江商人、走る!』を見た。

大坂、伊勢と並ぶ「日本三大商人」と呼ばれた現在の滋賀県にあたる近江商人を取り上げた時代劇コメディ。
近江・大津にある米問屋「大善屋」に丁稚奉公に出た銀次は持ち前の才覚から徐々に頭角を表すが、
とあることから大善屋は千両もの借金を背負うことに。そこで銀次はある秘策を実行する。

この秘策こそ今で言う先物買いなんだけど、電話等の通信手段が無い時代に人力で走って半日かかる距離の情報を知ることは困難。そこで主人公は仲間を使ってある手段で情報伝達を行う。

この作品が斬新かつ痛快なのは、江戸時代に「先物買い」という発想と「情報」を武器に金を生み出したことで、これは確かに現代的ながらギリギリで「江戸時代でも有り得そう」と思わせる流れである。その中で情報伝達手段とその途中で起きたトラブル、好転の出来事、さらなるトラブル、とわりと有り得そうな展開。

序盤のとろサーモンの村田が演じる薬売りの喜平が主人公に影響をあたえる上で重要な役になるが、この喜平が再登場するタイミングがいまいち。もう少し出てきても良かったはずだが、予算かスケジュールが合わなかったのか? かなりの好演で主役も出来そうなぐらいインパクトがあっただけに残念。

あと、大善屋の近くにある茶屋の看板娘のお仙を売り出すエピソードだが、あれはやり過ぎ。あれも斬新なアイデアを見せたかったんだろうけど、せっかくの良質時代劇コメディの雰囲気がぶち壊れこれまた残念ポイント。

後半にいっぱい出てくるパワーズの堀部圭亮が演じる大津奉行は憎々しいヒールとしてはぴったりだが、その締めくくりは強引。
この映画は起こる出来事やアイデアは悪くないのにどれも唐突すぎる。

尺とか予算、スケジュール、あと時代考証の詰め方などといった製作や演出に問題というかもう一つ上手くない部分があり、見た後に「斬新だけど、演出上どうよ?」というしこりが残る。
色々惜しかった。

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