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【この一週間】「終焉の時代」を生きる【感じたこと】

今週一週間で映画界以外のジャンルで色々と時代の終焉を感じさせるものがいくつかあった。

まず、2月20日に「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」、「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」などの原作者・松本零士氏が2月13日に亡くなっていたことが発表された。

ご冥福をお祈りします。

「宇宙戦艦ヤマト」や「キャプテン・ハーロック」のテレビアニメ放映時はまだ幼稚園に通うか通わないか、「銀河鉄道999」だって再放送で見ていた世代なので、一番読んだのが社会人になってから文庫版で購入した「男おいどん」で、これはかなり心に響いた。正直物凄いファンとは言い難いので、あくまでも事象としての話で挙げたまで。

 

その翌日に東京ドームで開催された武藤敬司引退試合興行「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE~HOLD OUT~」に行ってきて、数名の友人・知人と一緒に観戦してきた。

肝心の武藤敬司の引退試合は内藤哲也との試合後に武藤がリングサイドにいた蝶野正洋に対戦要求からのサプライズ延長戦というまさかの展開に東京ドーム中が揺れましたね。それにしても、武藤敬司だけでなく、同期の蝶野正洋、試合を裁いたタイガー服部、実況アナウンサーの辻よしなり氏、それと詩の朗読をした古舘伊知郎氏など、まさしく総引退といった形になった。その際、古舘氏の「昭和の終焉」という言葉が凄く重かったかな。

 

そして、2月22日のニュースで落語家の笑福亭笑瓶師匠の急遽やテレビ朝日で放映している「タモリ倶楽部」が3月末の放送で番組終了の一報など、あらゆるジャンルでの「時代の終焉」が一気に押し寄せている。
それは訃報という報せや競技やエンターテインメントの第一線からの引退、人気・長寿のテレビ番組の終了、人気・有名店の閉店など、ありあらゆる形で現れている。

ここでようやく本題の映画界の話題になるが、
2023年3月12日(日本時間3月13日)に開催される第95回アカデミー賞。この米アカデミー賞の主要の中の主要な賞でもある作品賞の選考基準が2024年の第96回アカデミー賞から新基準に変わってしまう。その基準がAからDの4つあり、要約すると、キャスティングやテーマ(基準A)、製作チーム(基準B)、有給インターンシップや人材育成(基準C)、マーケティングや宣伝(基準D)において女性や人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人を起用したり、テーマとして取り上げる、というものである。その中でも項目が複数あって、そこで1つでも満たしていればOKとか、30%はこうした基準のスタッフを起用しなければならないなど、まあ色々としち面倒臭くなってしまっている。

要はしち面倒臭くない選考基準で通ったノミネート作品は今年までではある。今までの米アカデミー賞はここで終わる、と言えよう。

しかし、米アカデミー賞の終わりはここ5、6回のアカデミー賞から兆候があると睨んでいる。そこで、ここ6年で作品賞を受賞した作品を挙げてみる。

第89回アカデミー賞 (2017年開催)
作品賞『ムーンライト』

第90回アカデミー賞 (2018年開催)
作品賞『シェイプ・オブ・ウォーター』

第91回アカデミー賞 (2019年開催)
作品賞『グリーンブック』

第92回アカデミー賞 (2020年開催)
作品賞『パラサイト 半地下の家族』

第93回アカデミー賞 (2021年開催)
作品賞『ノマドランド』

第94回アカデミー賞 (2022年開催)
作品賞『コーダ あいのうた』

こう挙げてみると正式に基準を設ける前から、作品賞を受賞している作品の傾向が女性や人種/民族的マイノリティ、LGBTQ+、障がいを持つ人を起用したり、テーマとして取り上げる、といったいわゆる新基準の方向になっている。この中では『ノマドランド』がそのテーマから離れている気がしないでもないが、比較的経済的弱者の方たちの話だから近いテーマだし、何よりも監督が中国人女性監督のクロエ・ジャオ監督だから、ほとんどの新基準をクリアしてそう。

では、こうした基準で賞を選んで本当に面白い映画が選ばれているのであろうか?
その答えは、今年の米アカデミー賞において作品賞を受賞する作品のクオリティーにあり、また、デイミアン・チャゼル監督の『バビロン』が作品賞をはじめ、脚本や主演男優や主演女優といった主要部門にノミネートされてもいない、という事実がある。


いや、それ以前にデイミアン・チャゼル監督が2017年に行われた米アカデミー賞において辛酸をなめた時から既に米アカデミー賞の終わりが始まっている、
とボクは思う。



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