私の読書日記~村上春樹『スプートニクの恋人』、神西清『三島由紀夫』
※※ヘッド画像は 泥棒猫 さまより
村上春樹『スプートニクの恋人』
読んでいて少し恐ろしくなる作品だった。登場人物たちの背後で、何か大きなものがうごめているような気がするのだ。また、象徴と記号の違いを説明するのに○○(ネタバレ防止のため伏字)を持ち出す点にも注目したい。この小説そのものを○○という視点から読み替えても良いのか、と勘繰ってしまう。
神西清『三島由紀夫』
神西清といえば、ツルゲーネフ『はつ恋』の翻訳でなじみ深い。新潮文庫でご覧になったことはないだろうか。ロシア文学の翻訳家として有名な神西清は、実は三島由紀夫とも親しかった。そんな神西が書いた三島由紀夫論が青空文庫に収録されている。
この評論は短い。スマホでも負担なく読める。
『花ざかりの森』から『禁色』までの三島を論じている。その中でも、神西が『仮面の告白』について語った部分が面白かった。神西は『仮面の告白』を「自己陶醉を拒絶されたナルシシスム」と評したのだ。神西の眼の鋭さを感じた。
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