味噌屋の四代目

土佐の高知の老舗の味噌屋の四代目です 普段は味噌職人をしてます、、、が、ここでは趣味の…

味噌屋の四代目

土佐の高知の老舗の味噌屋の四代目です 普段は味噌職人をしてます、、、が、ここでは趣味の話も(orを)書きたいと思います

マガジン

記事一覧

倉庫内作業

作:ウダタクオ  2006年10月04日 倉庫内作業  派遣のメンバーは各チームごとにそれぞれ分けられていった。全員で8人いた。  誰のことも知らないし、もちろん誰も私…

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マッチ売りの少女

作:ウダタクオ  2006年10月01日 マッチ売りの少女    私はプラカードを持っていた。いつもの事だ。  今日に限ってだ、雨が降りだしてきた。  そうだ、だか…

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歌舞伎町弁財天

作:ウダタクオ 2006年09月30日 歌舞伎町弁財天  遠くの方で祭りの音がしていた。私はビラを撒いている。糞を垂れ流したような仕事だった。  ウォシュレットを10回…

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ロック・デ・ナッシング

作:ウダタクオ 2006年10月24日 ロック・デ・ナッシング  問題は今日の雨だ。でも、行かなくちゃ・・・仕事に。  私はこの日を少し楽しみにしていた。初めてやる仕事…

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思春期の女

作:ウダタクオ 2006年11月17日 思春期の女    高知の夜は長い。親が厳しい私の様な学生には。  門限は七時。テレビは部屋に置いてもらえず、居間でみんなで観るの…

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ガウロとシェリーヌ(番外編)

作:ウダタクオ 2007年04月03日 インユーテロ ガウロとシェリーヌ(番外編)  「シドとナンシーの最後って結局なんだったの?」 ある時、シェリーヌがつぶやいた。い…

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ファミリーセール Vol.2

作:ウダタクオ 2006年09月25日 ファミリーセール Vol.2 「大丈夫ですくゎ?分かりましたくゎ?」  担当者が我々一同に説明をしていた。  彼は藤井フミヤきどりのお…

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秘密のキューブ

作:ウダタクオ 2006年09月27日 秘密のキューブ  デパートの中の、そのまた中まで行くと世界は一変する。  華やかなテナントが並ぶそれとは違い、壁にはヒビがはいり…

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バックル

作:ウダタクオ 2006年09月23日 バックル    ふと昔を思い出す瞬間がある。  それは何かがきっかけだったり、何気ない時だったりする。  それは懐かしい歌がラジ…

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チェロ弾き

作:ウダタクオ 2006年09月22日 チェロ弾き  秋の夜、確かにその音色は全ての愛すべき人々へと流れていた。  私は駅へと向かっていた。くそみたいな仕事は終わった。…

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気狂いピエロ

 作:ウダタクオ 2006年09月20日 気狂いピエロ  不思議な男だった。  私はパイプ椅子に座ると空を見上げた。  秋の空は雲を浮かべるのが上手だ。あの雲を持って帰…

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友情の橋

作:ウダタクオ 2006年09月18日 友情の橋  私は派遣でバイトをしている。金に困ったらいつもそうだ。98年に始まり99年、01~03年と要所要所で働くはめになった。日銭が…

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ファミリーセール

作:ウダタクオ 2006年09月17日 ファミリーセール  開場と共に客どもが用意ドン!で80~90%offのコーナーへと猛ダッシュした。私はそこに立っていた。老若男女が一斉に…

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アート・オブ・ライフ

作:ウダタクオ 2006年09月16日 アート・オブ・ライフ  ある時、良いケツをした女が入社してきた。仕事中そいつのケツばかり私は見ていた。見惚れていたのだ。触れずし…

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ニコチン

作:ウダタクオ 2006年09月11日 ニコチン  私は世田谷のはずれにあるパチ屋で働いていた。季節は秋だった。私はギャンブルはそれまでしたことがなかったので、仕事の勝…

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ジョン・レノン

作:ウダタクオ 2006年09月10日 ジョン・レノン  こんなに暑いと海に游ぎに来ているんじゃないかと錯覚してくる。8月も終わり誕生日も通り過ぎた。それなのに、空は青…

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倉庫内作業

作:ウダタクオ  2006年10月04日

倉庫内作業

 派遣のメンバーは各チームごとにそれぞれ分けられていった。全員で8人いた。

 誰のことも知らないし、もちろん誰も私のことなんか知らない。分かれたところで何も変わらない。

 それぞれの人生を歩んでいるだけだ。垂れ流した糞みたいに。

 今朝も雨が降っている。

 

 私はチームの車に乗り込んだ。車種は箱バンで確か日産のキャラバンだ。紺色

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マッチ売りの少女

作:ウダタクオ  2006年10月01日



マッチ売りの少女

 

 私はプラカードを持っていた。いつもの事だ。

 今日に限ってだ、雨が降りだしてきた。

 そうだ、だからあいつは私にレインコートを渡してきたのだ。

 雨が降っている。東京は雨が降っている。

 レインコートなんか私は着ずに、傘をプラカードに紙で縛り付けてそのままパイプ椅子に坐っていた。

 なかなかの名案だった。要らな

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歌舞伎町弁財天

歌舞伎町弁財天

作:ウダタクオ 2006年09月30日

歌舞伎町弁財天

 遠くの方で祭りの音がしていた。私はビラを撒いている。糞を垂れ流したような仕事だった。

 ウォシュレットを10回払いのローンで購入できるのなら、早く洗い流してしまいたい。

 笛やら太鼓やらの音が次第に近付いてくる。私はビラを撒いている。

 和音の旋律はどこか懐かしく心が和んでいく、仕事している場合じゃない。私はコンビニへ行き焼き鳥を

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ロック・デ・ナッシング

ロック・デ・ナッシング

作:ウダタクオ 2006年10月24日

ロック・デ・ナッシング

 問題は今日の雨だ。でも、行かなくちゃ・・・仕事に。

 私はこの日を少し楽しみにしていた。初めてやる仕事なのだ。都会では自殺する若者が増えている。そんなことは関係ない。行かなくちゃ・・・カチカチやりに。

 朝早くに家を出た。電車を乗り継いで大崎の駅ビルへと私は向かった。まだ時刻は朝の6時にも辿り着いてないというのに、なぜ座れな

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思春期の女

作:ウダタクオ 2006年11月17日

思春期の女

 

 高知の夜は長い。親が厳しい私の様な学生には。

 門限は七時。テレビは部屋に置いてもらえず、居間でみんなで観るのが当たり前。

 友達の家に泊まりに行った事もない、ましてやクラブなんて行った事もない。

 クラスのみんなは週末ともなればお目当ての他校のアマチュアバンドを追ってライブハウスに行っているみたいで、休み時間になるともっぱらそ

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ガウロとシェリーヌ(番外編)

ガウロとシェリーヌ(番外編)

作:ウダタクオ 2007年04月03日

インユーテロ ガウロとシェリーヌ(番外編) 

「シドとナンシーの最後って結局なんだったの?」

ある時、シェリーヌがつぶやいた。いつもすぐにかえってくるはずのガウロの声はなかった。彼はもうそばにはいないのだ。

 灰色の朝、濁った空はこの街を目指し、いつしか疲れ果ててしまった人々の心情のよう。ネオ東京砂漠。湿ったテーマパーク。濁った水。それでも永遠に生き

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ファミリーセール Vol.2

作:ウダタクオ 2006年09月25日

ファミリーセール Vol.2

「大丈夫ですくゎ?分かりましたくゎ?」

 担当者が我々一同に説明をしていた。

 彼は藤井フミヤきどりのおっさんで、テーブルに腰掛けながらしゃべっていた。

 私は異常者じゃないだろうか?と疑惑を持ち始め、まわりは動揺を隠しきれずにいた。

 そして最後により一層変な声で彼が言った。

「ソレジャー、本日モよろしくオネガイ

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秘密のキューブ

秘密のキューブ

作:ウダタクオ 2006年09月27日

秘密のキューブ

 デパートの中の、そのまた中まで行くと世界は一変する。

 華やかなテナントが並ぶそれとは違い、壁にはヒビがはいり配管は剥き出しのままでいる。

 異空間に自分がいるようで現実なのか幻なのか錯覚してしまう。

 階段を降りていくとそこはトンネルになっており、目の前を大量の荷物がトロッコに乗って運ばれていく。

 安蛍光灯の薄暗い世界。

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バックル

バックル

作:ウダタクオ 2006年09月23日

バックル

 

 ふと昔を思い出す瞬間がある。

 それは何かがきっかけだったり、何気ない時だったりする。

 それは懐かしい歌がラジオや街のどこかから聴こえてくる感じで、その瞬間心がすーっとする。

 くすんでしまった金のバックル・・・二丁拳銃。

 

 あれは97年の秋だ。高校は辞めていたと思う。

 変な店があった。今時の若者なんかは絶対に寄り付

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チェロ弾き

チェロ弾き

作:ウダタクオ 2006年09月22日

チェロ弾き

 秋の夜、確かにその音色は全ての愛すべき人々へと流れていた。

 私は駅へと向かっていた。くそみたいな仕事は終わった。まるでゴミ溜めみたいな箱からやっと解放されたところだった。私は歩いていた。

 どこからともなく、そうだ、どこからともなくだ、弦楽器の音がしていた。

 自ずとそこへ魂が吸い込まれていった。

 私は気が付いたらそこにいた。

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気狂いピエロ

 作:ウダタクオ 2006年09月20日

気狂いピエロ

 不思議な男だった。

 私はパイプ椅子に座ると空を見上げた。

 秋の空は雲を浮かべるのが上手だ。あの雲を持って帰りたい。

 私は目を閉じると今まであった幸せな出来事を思い出そうとした。

 ここではないどこかへ消えて無くなりそうになる。

 私のすぐ横に一人の男が立っていた。

 

 彼は私にしゃべりかけてきた。ごく自然な感じだっ

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友情の橋

作:ウダタクオ 2006年09月18日

友情の橋

 私は派遣でバイトをしている。金に困ったらいつもそうだ。98年に始まり99年、01~03年と要所要所で働くはめになった。日銭が欲しいからだ。

 それはやけにむなしくて直ぐにお金は無くなってしまっていた。日当なんて、あぶく銭みたいなもんだ。

 誰かが言っていた。月払いで一ヵ月分のまとまった金が入らないと、例えば同じ20万円を稼いでいたとしても

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ファミリーセール

作:ウダタクオ 2006年09月17日

ファミリーセール

 開場と共に客どもが用意ドン!で80~90%offのコーナーへと猛ダッシュした。私はそこに立っていた。老若男女が一斉にこちらへ向かってくる。運動会の100m走のようだ。私はリボンを持っている気分だ。

 先頭の若者たちに続いておばさん連中、そして主婦やらおっさんが続いていた。目は血走り瞳孔は開き形振り構わず突進してくる。その様はナウシカ

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アート・オブ・ライフ

作:ウダタクオ 2006年09月16日

アート・オブ・ライフ

 ある時、良いケツをした女が入社してきた。仕事中そいつのケツばかり私は見ていた。見惚れていたのだ。触れずして分かる程の弾力性、母性を描いた様な曲線はまさににアートだった。

 間もなく私は仕事を辞め、その女のケツを拝む事はなくなった。そして、1年が過ぎていた。

 駅の改札を出ると私の直ぐ目の前に良いケツが歩いていた。方向が同じだっ

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ニコチン

作:ウダタクオ 2006年09月11日

ニコチン

 私は世田谷のはずれにあるパチ屋で働いていた。季節は秋だった。私はギャンブルはそれまでしたことがなかったので、仕事の勝手が分からなかった。その為かいつも直ぐ疲れた。

 昼休みの時間がきた。少し早いといつも思っていた。

 色んな仕事をしてきたがトップやリーダーに煙草を吸う奴がいる会社はほとんどの奴が煙草を吸い、逆にトップやリーダーに吸わない奴

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ジョン・レノン

作:ウダタクオ 2006年09月10日

ジョン・レノン

 こんなに暑いと海に游ぎに来ているんじゃないかと錯覚してくる。8月も終わり誕生日も通り過ぎた。それなのに、空は青々と白い雲を浮かばせては太陽が威張っている。

 私の目の前をマウンテンバイクに乗った女がケツを突き出して立ち漕ぎで通り過ぎていった。健康なガキを産めそうなケツだなと私は思った。

 今日は看板持ちのバイトだ。新築分譲マンション

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