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そして心が崩壊しはじめる

「ママのこと殺して!!」
私は、気づくと、
台所の流しの前で包丁を持って、一人娘に泣きながら叫んでいた。

母が亡くなってから、
夫とは相変わらず別居が続いており、
留学から一時帰国している娘がコロナの関係もあり、
予定より長く家にいることになったのだが、
9月から、また海外の大学に行くことを娘が勝手に決め、
事後報告で私は聞いた。
それも正直ショックだった。
私になんの相談もないなんて…。
私なんてもう誰からも必要とされていない。
私なんて居なくても誰も困らない。

あと2か月で、娘はここからいなくなってしまう。
この精神状態で一人になるのは絶対に無理だと思った。
「死にたい」
そんな気持ちが芽生えたのもこの頃だ。

とてつもない恐怖と孤独感、不安…。

「死にたい、死ぬ以外残された道はない」
そんな焦りみたいなものが私を襲ってきた。
鼓動も早くなり、脂汗が出てくる。
起きていても辛いのだが、
恐怖でまったく眠ることもできない。
食欲はもちろんまったくない。

「どうしよう、どうしよう」

その日、娘は友達の家へ泊りに行く予定だった。
数時間後に私はこの家に一人になってしまう。
(正確に言うと、愛犬と二人)

「どうしよう、どうしよう」
居てもたってもいられなくなり、
よくわからないけど、
「落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃ」
もう一人の自分が私をセーブする。
よくわからないけど、
とりあえず、こういう時は
いのちの電話にかけるらしい、と冷静な自分がアドバイスする。

いのちの電話に電話しても、ずっと話中だ。
みんな死にたいんだな。
仕方ない。
ここは無理だ。

つづく














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