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【読書ノート】50 「大震災’95」小松左京

今日で阪神大震災発生から29年経った。95年の阪神大震災の際には73年に「日本沈没」を書いてベストセラーになった著者の所に問い合わせが殺到したそうだ。著者も長年神戸地域に居住しており、63歳の時にこの地震に被災した。本書は地震のルポだけでなく科学的見地に立った地震の分析や専門家らとの対談、またいくつかの提言が述べられており重厚で興味深い内容になっている。

  • 動物を使った地震予測

  • 客船による被災民の一時避難

  • 首長による要請なしによる救助活動開始

  • 様々な専門分野のデータベスを総合的に構築して分析する、など。

東日本大震災の時、もし筆者が存命であればどのような発言を行ったのか興味は尽きない。

「第三者から見ると、この「大震災問題」の第二フェーズにはいくつかの要望である。----それは地球惑星科学、地質学などの理論科学面だけでなく、耐震工学、建築学、構造力学といった応用技術面、さらに臨床医学、精神医学、心理学といった医学関係、防災システム、救急システム、安全工学、住宅・都市計画、教育制度やそれらのシステムを運用、マネージする行政システム、さらに産業、経済、財政、法制、報道迄を含む。広義の社会工学まで広がる実に後半な「現象」に対応する。それぞれのセンターを特化された、データベースとしての「横の連絡」を取り、データや質問を仲介するネットワークサービスの形成である。あたかもインターネットの「サーバー」のように、そしてそこにはエレクトロニクスメーカーの専門家と企業の積極的な参入と協力を期待したい。まるます高度化し、高性能化するデバイスやメディアを中枢に置き、その積極的な採用を各知的センターに指導して、せめてこのセンターが十年生き残るようにしてほしいのだ。」

P354 355

(2024年1月17日)


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