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『老』から広がるエトセトラ

先日、実家から引き取った老犬が、病気になった。
下痢が止まらず、家の中あちらこちらに、糞を撒き散らされた。

土曜日、日曜日と下痢が続き、老犬はかなり衰退していた。
幸いなことに、日曜日も開いている動物病院が近所にあった。
予約を入れてから診てもらうまで、けっこうな時間を要した。

血液検査やレントゲンが必要ということで、人間さながらの検査を受けた。
結果が出て、医師の話を聞いたところ、下痢の原因を特定するのは難しく、老化によるものなのか、他の体の部位にも、いくつかの病気が見られた。

肝臓が悪いらしい。
これが消化不良に繋がっているとのこと。
また、気管が狭く、炎症も起きており、よく咳をして、むせやすい。
そして、腎臓や尿管には、結石が無数にあるとのことで、最悪のケース、手術をして除去しなければならないそうだ。

その日は下痢止めの薬をもらって、とりあえず快復を待つことになった。

この日にかかった診療代は、2万円を超えた。

母がガンで何度目かの入院をしたことがきっかけで、父も高齢であり、実家が犬の世話をしていくのが困難であることから、この老犬を引き取ったわけだが、犬は犬で高齢で、病気にもなって、この老犬の面倒を見るのは誰がするにしても大変だ。
それに、治療費だって、馬鹿にならない。

老いるというのは、人も犬も同じく、体力が衰え、身体機能は低下し、したくないときに便が出たり、少し物を口にしただけで咳き込んだり、脳は記憶のメモリー容量が減るだけでなく認知症も始まり、いつ何の食事をしたかさえ忘れてしまう。
ときには、徘徊することだってある。

はて、犬にも認知症があるのかしら。

ところで、『老害』という言葉がある。
あまり品の良くない言葉だが、巷でよく見かける言葉である。
お年寄りを揶揄した言葉の印象を受けるが、その一方で、そのように見下されても仕方のないお年寄りがいるのも事実だ。

何でもかんでも意見具申すれば良いというものではない。
少しくらい「歯に衣きせて…」と思ったりしなくもない。
たしかに、人生経験の豊富な方のご意見は、参考になることが多いだろう。
そうかといって、若い芽を摘むのが生き甲斐かのように、揚げ足を取ったり、重箱の隅をつついたり、人の考えを露ほども尊重することなく、ご自分の考えに固執する御仁がいらっしゃる。

『温故知新』とは、古きものから学び、新しいものを生み出し、価値あるものへと進化させることだと思う。
要するに、歴史を知り伝統を重んじつつ、新たな時代に相応しいものを創造していくことが人類の発展につながるのであり、それは、老若男女を問わず、誰もが協調して生きていく社会を築いてこそ、実現するのである。

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