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日々のつれづれ

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生ハムメロン

生ハムメロン

 生ハムメロンを知ったのは、もう大人になり、結婚してからである。もともと、メロンはあまり好きではなかった。というより、特に好んではいなかった、というくらいか。

 生ハムも、昭和の時代には、そこらのスーパーです売っているものではなかった、と思う。今でこそ、イタリア産、スペイン産のものはなくても、たいていのスーパーのハムコーナーに、国産のものが置いてある。

 それはさておき、生ハムメロン、である。

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空の高さで季節を思う

空の高さで季節を思う

 空が高い。

 もう、クマゼミは聞こえない。ツクツクボウシと、時折りミンミンゼミが混じる。

 空気の中に、確かに感じる、盛夏とは違うもの。少しずつ、季節が変わってゆくのを、こういう時に感じる。忙しかったり、心に余裕がないと、見逃してしまう。

 心して、時を過ごそう。

自然の形

自然の形

 トマトを食べようと、何気なく切ったら

綺麗なハートが現れました。

 切る前は、何にも感じなかったので、あ、という嬉しさと同時に、気がつかなった自分の「見えてない」ことにちょっとがっかり。

 いや、見えてなかったから、嬉しかったのかな。予期しない喜び。

 堂々巡りな朝。

石の故郷

石の故郷

 先日、『三つの石で地球がわかる』を読んでから、私の周りに「石」が姿をよく現す。

 昨日、2ヶ月に一度くらいのペースで開催されている、小さなハガキくらいの布に絵を描くサークルのような集まりがあった。もう2年以上、通っているか。

 そこで私は、いつも布に絵を描いて、額に入れて飾ったりしているのだが、昨日は「石」が現れた。主催の友人が「海から拾ってきた石」だった。

 ひんやりした楕円形の、ざらざ

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人生の 終わる時

人生の 終わる時

 7月に、実家の父が亡くなった。主人の父も、もう6年前にあちらへ逝ってしまった。

 主人の父は、多少ボケてきてはいたものの、最期まで一人暮らしを貫き、最期も一人でいってしまった。自立心の強いしっかりとした人だった。その義父が亡くなる数ヶ月前のこと。夏休みで訪れていた時の、何気ないお喋りの中で

「いや〜、振り返ってみると、いい人生だったよ。」

と、義父は話してくれた。主人の母は、今の私より若い

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幸せの色

幸せの色

 私は、オレンジの色が、好きである。いわゆる「ビタミンカラー」というもの。

 しかし、身につけるものには、なかなか「!これ!」というオレンジ色には、出会えないし、オレンジ色の洋服などは、なかなか難易度が高い。

 本物のオレンジの色は、どうしてどのオレンジも、「良い」のだろうか。やはり自然の色には叶わないということか。

 切った時に立ち上る香りも最高であるジュースたっぷりの、みずみずしいオレン

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花火

花火

 もう夏も終わり、というこの時期、今季初の「花火」をやった。

小さな、でも勢いのある炎。

 普段の暮らしで、火を目にするのは、台所で使うガスの火、誕生日ケーキの蝋燭、くらいしかない。年に一度あるかないかのイベントで、小学校なんかのキャンプファイヤー、山のロッジなどにある暖炉、石油ストーブ…その程度だろうか。焚き火や、暖炉の炎の揺らめく様は、見ていて本当に飽きない。

そして、手持ち花火の小さな

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さようなら

さようなら

 先月、父が亡くなる二日前の明け方。

「さようなら」という声が、頭の中に聞こえた。

 はっ、と、目が覚めたが、「父の声」ではなかったように思えたし、いやいや縁起でもない、と打ち消しながらも、あれは誰の声だろう、という思いは、消えなかった。

 記憶の中での父が、例えば実家に行ったあと、帰るとき、などの「別れるとき」の言葉は、大抵、手をちょっと上げて、「じゃ、」みたいな感じだった。

 だから、

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空

 最近、空をゆっくり眺めていないことに気づく。

子どもの頃、空を流れる雲を見て、いろんな形を想像していた。

 天使や竜はもちろん、シュークリームやワンコやワニなんかもよく空にいた。真夏の入道雲はもこもこに泡立てた生クリームだし、朝日に照らされてぼんやりオレンジ色になってる空や、秋の高い高い空。夕暮れと共に思い起こされる家々の夕飯の支度の匂い、かすかな焚き火の匂いなんかも、空を見ると思い出す。

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遠く離れて暮らすということ

遠く離れて暮らすということ

 先月、86歳だった父が、亡くなった。コロナではなく、持病悪化と老衰によるものだったので、諦めのつく穏やかな逝き方だった。

 実家を離れて30年近くになる。新幹線、あるいは飛行機を使っても、片道5時間。この距離は、近いのか、遠いのか。海外にいたことを思うと「近い」と思うし、年に数回行けるかどうか、なので「遠い」とも感じる。

 これだけの距離があると、「間に合わない」、は、覚悟していた。いわゆる

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我が家には、黒猫が2匹いる

我が家には、黒猫が2匹いる

 昨年夏、かねてから懸案だった「猫を飼う」を実行した。

 もう何年も前から、子どもたちは「動物飼いたい」「ねこ飼いたい」「小鳥飼いたい」「ハムスター飼いたい」と、ずっと言っていた。けれどマンション住まい、実家は遠方、家族で旅行に行く時はどうする?世話は誰がする?と、なかなか「私の」決心がつかなかったのだ。

 昨年(2020年)、ご存知の通りコロナによる休校、自宅待機、テレワーク、と「外へ出る」

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