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本という海を旅して

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あおやぎの読書記録です。感じたことをぜひ残しておきたい、と思った本をご紹介します。
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#読書感想文

その言葉を追う―池田晶子という「場」―

その言葉を追う―池田晶子という「場」―

最近足を運んだ書店で、どうしても気になる本があった。若松英輔氏の『不滅の哲学 池田晶子』(亜紀書房)である。

表紙を見てまず「あっ」と立ち止まった。挿画はまちがいなく、西淑さんのものだ。奥付で確認したらやはりそう。私の好きなイラストレーター、西淑(にし しゅく)さんが手がけている。

最初の数ページをめくって、もうどこか購入を決めている自分がいた。若松氏の著作をまだ読んだことはなく、この本で取り

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読書記憶①「パイロットフィッシュ」

読書記憶①「パイロットフィッシュ」

本を読んで、感想を話す。または書く。

シンプルなことなんだけれど、なかなか続けられない。

目の前に人がいれば感想は話せるのだけれど、毎回そうもいかないので、noteで「読書記憶」として書いていこうと思う。

読書「記録」としなかったのは、最近読んだ「パイロットフィッシュ」という小説に“記憶”という言葉が繰り返し出てきたから。

記録と記憶のちがいについて熱く語りたいわけでもないけれど、「読書記

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「モモ」からの発見

「モモ」からの発見

なぜかというと、この訪問者の話すことを聞いていればいるほど、さっき人形と遊んだときのようになってくるからです。つまり、話す声は聞こえるし、ことばは聞こえるのですが、話す人の心は聞こえてこないのです。

私は最近まで、エンデの「モモ」をきちんと読んだことがなかった。

職場の人が「僕は『モモ』に出てくる、カシオペイアという亀が好きで」と話しているのを聞いて、読もうと思ったのだ。

小学生の頃に少し読

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