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【経営学18】新しいプロダクトを生み出す発想力「三新活動」(ビジネスモデル分野)

【Co-WARCサイトオープン】

WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

世の中にはクリエイティブな職業に就いている方々がいっぱいいます🙄
デザイナー、プログラマー、エンジニア、プランナー、ライターなど、日々何かを生み出す皆さんの苦労たるや😑

毎日noteの記事を書き続ける生活をしてみて、やっと「産みの苦しみ」というものを理解し始めてきました。
私に才能が無いだけかもしれないのですが、月に1~2回、何も思いつかない、何も出てこないという状態に陥ります(笑)
脳内をいくら探しても何も出てこなくて、何を書き出しても『こんなの書いても誰の役にも立たんやろ』と思ってしまうあの感覚😫

恐怖ですな😰

そんな産みの苦しみに毎月晒されている職種の皆様に、今日は素晴らしい発想法をご紹介したいと思います。

その名も「三新活動」(さんしんかつどう)


経営学の分野では必ず学ぶといってもいいくらい重要な事例研究です😁


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1.三新活動とは

三新活動とは、日東電工株式会社(東証一部上場企業、本社:大阪府)が生み出した、新しい商品を開発し続けるためのビジネスモデルのことをいいます。

関西では、日東電工株式会社知らない人いないですよね?


今日は日東電工デーなんで!
日東電工さんから学ばせてもらいましょう。
では、日東電工株式会社のホームページから引用していきましょう!

引用元:https://www.nitto.com/jp/ja/about_us/concepts/businessmodel/

同社のホームページでは、三新活動は以下のように定義されています。

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既存製品の「新」しい用途を開拓して、そこに新たな技術を加える。
もしくは新しい技術を用いて「新」製品を開発したうえでその用途を広げる。
こうして「新」しい需要を創出する。
―3つの「新」を重ねて進化し続けることが、50年以上にわたって繰り返されてきたNitto独自のマーケティング活動「三新活動」の原理です。

やはり100年以上続いている会社(創業は1918年)というのは、それだけ組織内に強みを持っているのですね🤔
長年悩んだ末に考え出された三新活動は、その後の日東電工の拡大を支えた重要な行動原理だったのだろうと思います。
三新活動は、経営学を学んだことがある人なら必ずといっていいほど学ぶ有名な事例ですが、最初にこれを見たときは『天才だな🌟』と思いました。

私はそれまで、新商材や新事業の開発は、全く違う分野からの発想で行われるものなのだろうと思っていました。
言い換えれば、一部の天才の発想力によって成される特別な活動だと考えていたのです。

しかし、三新活動は違う。

三新活動では、あくまでも「既存商材」「既存事業」から思考し始めるのです。
ここがもうコロンブスの卵的発想😍

既存の商材等に、新しい技術を用いて「新製品」を開発する。
既存の商材等「新用途」(別の使い方)を見つけ出して、「新市場」を開拓する。
この時点で2つの「新」を生み出しています。

そこからさらに、もう一つの「新」を生み出すのが三新活動です。

例えば、新しい技術を用いて「新製品」を生み出し、その新製品の「新用途」を見つけ出して、「新需要」を創造する。
または、既存商材等「新用途」を見つけ出して、「新市場」を開拓したあと、さらに新しい技術を加えることで「新需要」を想像するのです。

つまり、三新活動を簡易化すると、常に「新技術」が使えないか「新用途」はないかと思考し続けるということです。

至ってシンプルだと思いません?🤔
三新活動の素晴らしさは、天才が行ってきた創造的活動を凡人でもギリギリ行えるかもしれないメソッドに落とし込んでいるところなんです!

既存商材等から発想していくので、自分のよく知っている分野から思考し始められるし、新用途 or 新技術のどちらかと結びつければいいだけなので、若手社員でも考えることができる。
汎用性高すぎる理論です🙄
考え出した人、天才です。


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2.三新活動の実例

引き続き、日東電工株式会社のホームページを参照しつつ、三新活動の素晴らしい事例を見ていきましょう!

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引用元:https://www.nitto.com/jp/ja/products/e_parts/high_performance003/

日東電工株式会社といえば、電気絶縁用ビニールテープで有名です。
1950年代からずっと販売している超ロングセラー商品です。
ちなみに、消磁コイル(磁力を消すためのコイル)の難燃性絶縁に使われる消磁コイル絶縁用ビニル粘着テープの分野では、世界No.1のシェアを誇っています。

どんだけすごいんだ日東電工🙄

家電製品とか分解したときに出てくるコイルに巻きつけてあるあのビニールテープですね。
あの分野で世界1位😍

そんな電気絶縁用ビニールテープ…『他に使えるとこないかな?』と日東電工の社員さんは考えました。

そして見つけてしまった🙄

それが、自動車部品用表面保護フィルム!

車の部品を保護するために巻く保護フィルムに、ビニールテープが応用できるじゃないかということですね!
「新用途」を見つけ出したのです。
ただ、問題があった🤔

それが、粘着剤の糊残りです。
剥がしたときに糊残りしてしまう…
そこで「新技術」を用いて、糊残りの出ない粘着剤を開発!

これによって、自動車部品市場という新しい市場を開拓したのです😍

しかーし!
日東電工さんはそこで止まらない!!

その後、強い加工にも耐えられる強度を持った保護フィルムを開発して、建材に使えるような保護フィルムを作って住宅建材の市場を開拓🙄

さらに、保護フィルムの帯電防止や透明度等を上げて、エレクトロニクス分野や光学分野の先端テクノロジーの製造現場で使える保護フィルムを開発…

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引用元:https://www.nitto.com/jp/ja/products/surface/emask001/


日東電工さんの三新活動はとどまるところを知らないわけですね😵
次から次へと、新用途がないか、新技術を使えないかと活動し続けています。
その結果、今では世界中の約70業界(70市場ともいえる)におよそ13,500点の製品を提供する超巨大企業となっています。

凄まじい…😰
三新活動を50年以上続けるパワーがすごい。


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3.導入方法

日東電工さんが凄いことはよーーーくわかりました。
三新活動が極めて効果的なビジネスモデル(オペレーションモデル)であることもわかりました。

ただ、問題がある🙄

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(例の効果音:ポーン)

という問題です。

三新活動が凄いのは何となくわかるんですけど、実際に導入しようと思ったら、かなり難しくないですか?🙄

この点についても日東電工師匠の実例を参考にしましょう!

日東電工といえば、社内での教育が充実しているということで有名な企業です。
会社公式のCMでも、部署間に垣根がなく、人と技術が結びつくことで新しい技術を常に生み出そうとしている姿勢が描かれています。
これは、社員間で教え合う、協力し合う文化でもあります。

ここから読み取れることは、組織文化として三新活動が根付いているという点です!

とっても大事なことなので、2回いいますね!

スライド素材4のコピー (1)

※この画像使いたいだけ

日東電工の素晴らしさは組織文化にあると思います。
組織の中に、三新活動がしっかり根付いている。
どうやったらそんな組織文化を醸成できるのか🤔


この点については、経営学上いくつかの分析がなされています。
要素をまとめると以下の2つが重要だと考えます。

(1)教育の徹底(インプット)
(2)会社の援助(アウトプット)

一つずつ解説します。


(1)教育の徹底(インプット)

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引用元:https://www.nitto.com/jp/ja/sustainability/social/human_resources/talent_management/

上記は、日東電工株式会社の教育プログラムなんですが、これ、ほぼすべてがオリジナル教育体制なんです🙄
ここまで「教育」に本気出している企業は滅多にありません。
どれほどのコストをかけているか想像がつかないくらい……

しかも、2011年からは選抜者を中心としたNitto Global Business Academyというプログラムも開講していて、グローバル経営人材の育成にも乗り出しています。

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引用元:https://www.nitto.com/jp/ja/employment/nitto/challenge/index.html

もう社内にMBAがあるのと同義ですよこんなの🙄
しかも、グローバルMBA!
徹底した教育を実施しているのです。
だからこそ、平均的な社員の質が高くなり、かつ、選抜者についてはより高度な教育を施すため、経営層が育っていく
100年以上続いている大きな会社の仕組みは学ぶことだらけですね…

ここまで従業員に尽くしてくれる会社だからこそ、優秀な人材があつまり、しかも辞めない。
結果、三新活動というビジネスモデルが組織文化として根付いていっていると考えられます。

教育プログラムを別の視点からみると、日東電工株式会社では、自身の費用負担で、従業員に対してインプットの場を提供しているともいえます
会社が従業員にしっかりと「投資」をしているのです。
通常、多くの企業は従業員の教育を外部に委託したり、外部の研究機関の費用補助をすることで代替させます。
その結果、確かに従業員の一部は優秀になりますが、多くの場合海外MBA等を修了したあと転職をします🙄

一方で、日東電工では、日東電工で活躍できる人材を育成するための教育プログラムをオリジナルで作り出し、外部研修と組み合わせることで従業員を育てていきます。
長い時間をかけて。

私が従業員なら、愛車精神育まれまくりです(笑)

もう調べながら日東電工大好きになってますからね😍
経営が上手だなぁと心から思います。

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(2)会社の徹底的援助(アウトプット)

日東電工のすごさは教育(インプット)だけではありません。
それを実践する場まで用意してくれているのです🙄

なんと、日東電工では、2007年から、研究開発段階におけるイノベーションを事業化に結びつけるために、研究開発本部の中に「新機軸探索グループ」という組織を設置して、同社特有の研究開発プログラムを実施しています。

組織の中に、わざわざイノベーションの誘発部署を置いているのです🙄

そして、このグループでは、既存事業だけではなく、どこの分野からでも研究テーマを持ち込んで良いことになっていて、研究員は好きなテーマを研究することができます。

そして、新規研究テーマの中で、社内外の専門家や顧客などから共感が得られたテーマについては、会社が予算をつけてくれます😵
しかも、人員まで配置してくれるという手厚いサポートつき!!!

従業員が一生懸命インプットして学んだことを事業として形にしようと思ったとき、会社が人とお金を出してくれる仕組みが整っているのです。
この予算は、会社の中で設置されているファンドから支出されるそうで、イノベーションのためにお金を常にプール(保留)しているんですね🤔

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ここまでしてくれている会社が他にあるだろうか…
私は他に知らないです。

こんな素晴らしい企業だからこそ、ハーバード・ビジネス・スクールで事例研究として取り上げられるのでしょう🙄


三新活動が組織文化として根付く理由がわかりますね…
教育の徹底と会社の援助が鍵です。
インプットの場とアウトプットの場をしっかり準備してあげる。
それによって、常に従業員が学び、考え、実践する文化が根付くのだろうと思います。

日東電工の従業員は、入社してから事あるごとに三新活動を学びます。
その結果、既存事業の商品・サービスを他の用途で使えないか。
今の商品・サービスに新しい技術を加えることで、別の製品を作れないか。
そういう思考が習慣化されていくのだろうと思います。

ただ、組織構造上の理屈はわかっても、なかなかできることではありません。

なぜなら、教育には長い年月がかかるからです。
基礎的な教育だけでも少なくとも3~5年はかかりますし、教育している時間は基本的に何も生み出さないので、その分の人件費も余計にかかります。
アウトプットだって最初から成功するわけがないですから、最初の100件くらいは全く実らないものとなるでしょう。
そして何より、途中で勉強から脱落していく社員の方が圧倒的多数のはずなので、かけたコストが無駄になることの方が多いです。

それでもずっと教育の場を提供し続けられるか。
支援を続けられるか。
精神的に耐えられるか。
経営者としての器が問われます🤔

日東電工は、そんな大変な経営法を50年近く継続しているのです。
なかなか真似できない。
でも、教育と支援にこそ、本当に大切なことが眠っている気がしてならないです。



おわりに

今日は三新活動について少し詳しく解説させていただきました。
すでに有名な事例なので、知っている方の方が多いと思いますが、何か新しいことが一つでもお伝えできていれば幸いです。


なお、上記のインプット・アウトプットの部分に限らず、日東電工では、組織上特筆すべきところがたくさんあります。
気になった方は是非日東電工のホームページ及び経営学論文等をご覧くださいませ😁
楽しいですよ🎵


ではまた書きます!



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著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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