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谷崎潤一郎『文章読本』と、今日の日記 0806

谷崎潤一郎氏の『文章読本』をここ暫くちまちまと読んでいる。文章の書き方を「〜なのであります」調で平易に記した本で、為になり、無駄の無い文章は桁違いに上手く、且つたまに「ひ〜細か〜〜〜変なこと考える人やな〜」と普通にウケてしまうので読んでいて楽しい。文例として源氏物語や漢文を引用することもあり、国語の授業をきちんと聞いていたかどうかが問われるが、飛ばして読んでも理解は十分可能である。

谷崎先生の指南するのは古式ゆかしき文学的な文章の書き方で、現代のWebにおける文章とは目指す方向が真逆なように感じる。たとえば「主格を置かないこと」で文章に幅と抽象的な感じが出るとか、重みと深みを持つとか論じられている。考えてみれば日本語の曖昧さには美しさもあるはずなのだが、Webの文章は情報伝達の媒介として機能するかどうかが最重要視されるため、主語・目的語を明確にした英文のような書き方が求められているように思う。

これには読み手の責任もある。インターネットを通じて誰もが等しく多様な文章を読むことができるようになり、書き手は「誰にでも、すぐ、簡単にわかる文章」を求められるようになってしまったからだ。棲み分けが出来ていないので、全く異なる価値観の者同士がなんの予備知識もなく遭遇し、いさかいを起こしやすくなり、それを防ぐためには曖昧さを避けた、技術書のような、味わいのない文章を書くことが求められるようになった。もしくは、直接的には求められていなくても、無意識的にそうしてしまう世の中になった。でないと自分の身を守れないからだ。


そこに表現の歓びはあるのだろうか?

この本を読みながら考えてしまった。


まあ、そんなことは考えなくても良いのですが、私が1万字掛けて説明するよりも実際の本を読んでもらった方が早いので、気になる方は是非。ほとんどの日本人の人生において、この本よりも良質な文章講義を受けられる機会はないだろうし、これこそお金を払ってまで読むべきハウツー本なのは間違いなく、Yahoo!知恵袋で「文章 上手くなりたい」とかで検索するより100倍面白いのでマジ超オススメです☆(でもYahoo! 知恵袋も面白いので好きです)


谷崎先生へ
良い御本を遺して下さり、ありがとうございます。



今日の日記 0806(ヘッダー写真)

記憶力の容量がシルバニアファミリーのミニチュアタンス程しかないので書きたいと思ったことはその時書いておかないと忘れてしまうということが研究の結果、解った。例えば寝る前に目を閉じて「あ、あれも書いたらおもしろいな……ふふ、これも書こう……」と考えていた事は目が覚めた時、すっかり忘れている。あんまり綺麗さっぱり忘れているので、忘れたことすらも忘れている。だから今も思い出せない。えっと、何を書きたかったんだっけ……?

そんな有り様だから、シャッターを切るみたいにいろいろなことを記録していきたいと思う。なんだそりゃ。

ナポリタン美味しかった。緑も綺麗だった。ちょうちょも鳥も飛んでいた。良い日だった!





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HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞