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青色アクエリアスと小さなアルデバラン

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A面とB面のあるポエム作りました。
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記事一覧

青色アクエリアスと小さなアルデバラン2

②僕が僕であり続けること

(アクエリアスの場合)
ぼくはおおかみ
地を這うことしかできないぼくが好むことは数限りなくある
破壊、血なまぐさ
生かされるのではなく
生きているという感触
僕らもあるいは満ちるのを待っているのだ。
やり方は違えどもそれが僕なりの正義
きょうぼうせいを
こめかみにただよわせ、
わがままを声にして吠える。そうすれば天地に潜む神様でさえ、だれもが俺を受け入れざるをえなくなる

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青色アクエリアスと小さなアルデバラン6

⑥きみは世界

(アクエリアスの場合)

長い夜のあとで訪れた朝

ゆっくりと流れる大きな時間の中で

そこにいるのは僕と世界

僕と世界だけ

学び続けた事柄が

行き着くこともなく沈殿してゆく

そんな毎日からとびだした

君が僕に呼び掛けるたびに

僕はちゃんとしたものになっていく

僕の情景、君の印象

君の世界から

僕にもっと投げかけてほしい

なつかしくて遠い記憶

伝える手段が欲し

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青色アクエリアスと小さなアルデバラン5

⑤夕暮れ、帰宅

(アルデバランの場合)

夕暮れ時になるとやっと、帰るべき家があるのだということを思い出す。

ぱたぱたと小鳥が降りる場所を見定めるかのような動きで皆が家へ戻っていく

男の子は孤独を抱えている

怖いものが沢山ある

父親が母親を殴るときのこと

父親がいつか家を壊してしまわないかということ

母親が目の前から去っていくこと

それからそれを誰にも言う術を持たないこと

娘はた

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青色アクエリアスと小さなアルデバラン4

④僕と、生きるためのもの全て

(アクエリアスの場合)
僕はきっといつか箱舟を作るだろうな
それに乗るのは僕の家族、友達、恋人、それからよく知っている人たち
みな善人である
それからその箱舟を見やり
それに「愛」という名を付けて
一人で笑ってしまう。
僕には愛ってものがよくわからない
それは構造か
それとも欲求か
家でほそぼそとお婆ちゃんが編んでいるものか
僕の命はいつだって零れ落ちまいとして

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青色アクエリアスと小さなアルデバラン3

③夢の中の男女

(アルデバランの場合)
目の前から、一人の男が歩いてきた。
男は、普通の背くらいで、若い男だった。
とくに特徴のない見た目だったけれど何か、歩き方が若い馬みたいだった。
わたしは、「あっ」と思った。
わたしは、つい自分の父親を思い出した。わたしの父親は、わたしが小さい頃からずっと、毎日ポロシャツを着ていた。お母さんが買ってきたノーブランドの紺色のやつで、わたしと姉とそれを見て、

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青色アクエリアスと小さなアルデバラン

①両面で恋する

(アルデバランの場合)
犬になりたいなあ、と思う。
そうすればいろんな心配をして見えることや、人を待ち続けることもおかしく思えたりしないのに。
わたしは、あなたが来るまでの間じゅう、風景の中でゆっくり夢を見てるみたいな気持ちでいる。音は降り積もる幸福に似ている。

一人でいても、完ぺきなわたしは犬だ。一緒にいる時は、走ったりして思い切り体のパワーを感じる。あとは、飽きて仕舞えばし

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