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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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#創作

冬だ。鍋せんか?

翌朝の冷えたる鍋をこそげとるスプーンの柄かたき泣き笑いから

終日を鍋煮ゆることに費やせる後ろめたさとともに渋い茶

もうひとり自分が居ると華やいだ鍋の底覗く君の声して

煮ゆる鍋のかさ減ることをいとほしむ生まれ変わりも朝 冬の入り

最後まで…、口にせぬまま君の背に飼い犬来たりて朝はベル鳴る

寒いほど打ち明け話の弾みたるラーメンすする皆で前向き

煮凝りに差し掛かる話題川下に聞き流したれば今日

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短歌が面倒くさくなった

君にすべて合わせてみてもいいなはるけきブレイクファースト王国つくる

すべてを話してみたくなる よき理解者だったみたく感じ始めていた

むかしばなしがにおいたつふたりでもさびしいとき あるいはよる

理想の国 ぴんとこなかったな 何かが足りないもしくはあり過ぎていて

障害というゆずの歌みたいなのを彼は持ち、かけ上がるのを見る

ハムスターにえさをあげて過ごす晴天 それが毎日 こんな結婚

居るだ

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【短歌連作】ウラオモテ

向き合ったせいで挨拶はこぼれてくはろー、メリークリスマスというからだ

どうしようかなという感じで来ただけなのに明日も草生えているこのとこ

寂しいていう感じもないけど少しの心配で草を生えさす

悩みや欲求もないことないが、太陽があるそのせいで草生えてくる

一人称はおおかみのすがたいっぴきといっぴきが群れをなす草はら

愛しがたいのはなぜなのだろう田舎の草いきれを吸う胸のなか

土のにおいがする

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11月短歌〜幟はためくビークル犬

さようなら まだ今日のまま麦畑は雨後の意味なる旅客機の広み
口閉ざし色絨毯の上に待つビークル犬はたいようの温み
一片の折り紙の色の果てしなさクリスマスイブを知りきれぬひと
淡い酒飲む温度帯で肩を抱こ猫もいて猫以外も居る世に
まくらべに固きズボンを置いて寝る蒼い山さえあると信じて
ぱんだなる白黒の群れに遭遇すまた彩りを剥いでしまおか
秋雨は青の絵の具が擦り切れる幟はためくあたらしい町
向かい窓に君は

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(短歌)半径五メートル以内の視界

スローモーションをひとたびむすんだ僕たちが競技場内だけで満ちてゆき

結ばれたのは永遠の一部まじりけのないパスタ君とともにゆであげ

宙返りはいっしゅんでおわり飲みほし終えるまでの人生

入れ替わったり立ち回ったりこのところ太陽もさしあたってきてさびしい

なろうでつかさどる世界 かたまってしまった君を見ている

映し終わった朝きょりばかりなため花におはようと言う

どこか

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(短歌連作)さくら

夜のサイレンはしろかった窓のそと もうさくらがさき始めているのが見える

どうしてか見えないところでさくらさくあかりすこしずつかさまして行く

行けないだろう目の奥に輪郭結ぶとさくらわたしは川の一部をきいている

いくつかの防波防水防彩でぷつりとはじく春はわたしを

みづ そう思えばトラックも街を左右とわけへだてゆく

このひと 人のなかにある当たり前をへいきでわけもなく隔たりとして二人が似てきた

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《短歌》秋のしらなみ

両の手を塞いでしまえば愛のこと考えざるを得ない大きさ

のぞきこむその人が二卵性になる夜なら月が浮かぶだけの歌

ゆるくたつ逆さまにゆめのとりがくるしらなみ僕らがゼリーと呼んで

砂の上書いたものからさらわれて残照とあつい信頼を見る

したいだけの燃えているだけの蝋燭もその静寂の白い粘りけ

いくつかの種を真綿に並べ置きひと粒がミルク紅茶に沈む

みずうみの映しを期待とふれ回りその二度ともを澄み渡

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(短歌)描くひと、君の背中

大木の群生の中で白樺の夢見のようなアルファ派を追う

地下鉄へゆく入り口を探しては描く背中ならもう何処にもない

触れられない程を真中と呼ぶならば寂しさは真中分からぬ広さ

とっぷりは身ひとつのあやこの夜の真中にたてば水音立てる

風が吹くそのふたたびに顔見せる草はらが装った再会

炊飯器の目盛り手測りしてるまま起こされ秋のはじまりはみず

風邪菌の(ねむりなさい)という声

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(短歌)思い出のない八月

夏の窓 東の騒ぎに耳寄せてくぐもる声吐き朝の挨拶

屋根の上の淡色の布巾 かぜも無く間も無く一日が翌日を知る

月から金隣の国にも足掛けて表面アイスクリーム溶けてく

点在する穴に目を向け夜を聞き出でる時には放射状の人

夜行バスもあさがほの鉢もここにあり放射状の穴ひっそりと伸びる

ここ数日晴れてばかりの平坦にさらなる晴れ間のようなあじさい

殊勝なる最も消えないこの消しゴム立ち尽く

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(短歌)教育論・たまごやき数個入りのあたたか

うしろ指さしてときどき褒めてくるやわらかい色教育は絹

ダースベイダーも一人で並ぶレジ前のたまごやき数個入りのあたたか

ぐんじょうのビー玉のぞき込む子ども 申し訳ない外側の世界

提出をはかった皆んなも初めてはしたたかな飛翔 来てくれそうか

どたんばの自己紹介を覚えてる花束埋もれそうあのはつはる

上糸と下糸の織り下等なる生き物も食うひかりのなにか

水道の業者はシールにされてしまいこの本心が

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せんぱくのしょかんのもっともかそけき(短歌 七月分まとめ)

火は消せり 蕗の香の立てるキッチンできみどりのものひとつと数えて

からからにかわいたのどにせんぱくのしょかんのもっともかそけき波くる

うがいすれば未だ更新の頼りなさ洗面所の薄い影群に立つ

ぶらんこの足ふれぬままの地は救う すくわれぬも無くみどりが生えし

泡の下見すかすように臍見せたる僕等の若き誇りていふもの

止まらない吐気が僕を圧迫す孤独はおおきな月の腹なり

目瞑って大人となり

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あつい手–タクシーが留まる六月(短歌 六月七月詠みです)

若者の灰色のシャツの染みを見て猫達いくせんびきの濃き夏

恋愛の良いところ伸ばしゆく君もアボカドの種の綻びを持つ

なんとなく夏の海だねなんとなく小指立てれば人集まるとは

とりハムを作りし手のひら洗いおり塩と砂糖を摺りこみしとき

とりハムに声掛け違う例えればプール開きのあるという今日

生きること決めてから何もかも明るく可哀そうの歌うたえなくなりき

生きること決めたこ

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(短歌)連作「嘘それからにおい」

当然と思うのが日々 さよならは後ろからくる速度 かみなり

みんなして咲くなんて嘘 いちめんの香りは春のカモフラージュで

ばれてるのかなあ 這い出て見た朝に空を映すの昨日の雨が

独白も滑走もなく鳥たちは空に心を奪われて飛ぶ

せきばくの わたつみの深い青の中小さく尖る白い灯台

二足歩行 鉄のかたまり 寄る辺ない感情曲線テノールな船

風がくる 星も来ている 濡れている死んでく者を抱き

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(短歌)あみもの短歌出詠「真剣な話の後で、全部嘘だよ」

折り合えないのも娯楽なんだ味気なくなる皮肉吐く人が人なら

意識してないのにまいにち遠巻きになってく君なら上目指すさかな

なじまない他人も飲もうか引き出しに骨があるような現世であれば

背表紙は此処にいたことを物語る息つぎ、日の目を見るものがたり

職場ってふたつ目のわが身おく場所か西日射す山田さん見て思へり

見おろすよ無責任のまま職場内席替えさせる世話係の群れ

わたしたち繋がる

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