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短歌まとめ

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短歌の投稿まとめました。 ちなみに「ついったー短歌」というのは毎回診断メーカーというサイトでお題をもらって、それを織り込んで詠む短歌をタイムラインで垂れ流している…というもので… もっと読む
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#小説

冬だ。鍋せんか?

翌朝の冷えたる鍋をこそげとるスプーンの柄かたき泣き笑いから

終日を鍋煮ゆることに費やせる後ろめたさとともに渋い茶

もうひとり自分が居ると華やいだ鍋の底覗く君の声して

煮ゆる鍋のかさ減ることをいとほしむ生まれ変わりも朝 冬の入り

最後まで…、口にせぬまま君の背に飼い犬来たりて朝はベル鳴る

寒いほど打ち明け話の弾みたるラーメンすする皆で前向き

煮凝りに差し掛かる話題川下に聞き流したれば今日

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短歌が面倒くさくなった

君にすべて合わせてみてもいいなはるけきブレイクファースト王国つくる

すべてを話してみたくなる よき理解者だったみたく感じ始めていた

むかしばなしがにおいたつふたりでもさびしいとき あるいはよる

理想の国 ぴんとこなかったな 何かが足りないもしくはあり過ぎていて

障害というゆずの歌みたいなのを彼は持ち、かけ上がるのを見る

ハムスターにえさをあげて過ごす晴天 それが毎日 こんな結婚

居るだ

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【短歌連作】ウラオモテ

向き合ったせいで挨拶はこぼれてくはろー、メリークリスマスというからだ

どうしようかなという感じで来ただけなのに明日も草生えているこのとこ

寂しいていう感じもないけど少しの心配で草を生えさす

悩みや欲求もないことないが、太陽があるそのせいで草生えてくる

一人称はおおかみのすがたいっぴきといっぴきが群れをなす草はら

愛しがたいのはなぜなのだろう田舎の草いきれを吸う胸のなか

土のにおいがする

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●In-sect【短歌連作】【詩】

●In-sect【短歌連作】【詩】

これから何になるの、と聞かれて明日seaになるかもと言う

切符の欠けを手が気にしていて、気にするたびに汽車は出ていく

写真こぞうがあざみを撮るリズムのなかわたしたち無人駅の駅内に居る

それは前景と言えるようだった初夏風の音 君の汗 その馴れ初め

似合わないシャツを着てどこかへ出向く美しいは心の内にある

英語をみんな片仮名に変えて行く心地季節のなかでもう羽化をする

(insect)

T

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12月短歌ー文庫本置く

ここのように見えないだろか皆の居るベンチの上に置く文庫本

朝人の靴と車の音ばかり五限目は皆が会ったっきりだ

存在が時に希薄になる夜雨待つと待たれるで人を統べる

濃紫の錨を鯨が吐くだろう君を思えるときの心持ち

電灯に大き未来が見えるかな私たちの方に根を張る赤ん坊

胃の中に降り積もる音ピーナッツひとつが眠る雪の最中に

小児科が内と外側を分けるなか上着を脱ぐ様に冬の雨降る

一時間は五十九分

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11月短歌〜幟はためくビークル犬

さようなら まだ今日のまま麦畑は雨後の意味なる旅客機の広み
口閉ざし色絨毯の上に待つビークル犬はたいようの温み
一片の折り紙の色の果てしなさクリスマスイブを知りきれぬひと
淡い酒飲む温度帯で肩を抱こ猫もいて猫以外も居る世に
まくらべに固きズボンを置いて寝る蒼い山さえあると信じて
ぱんだなる白黒の群れに遭遇すまた彩りを剥いでしまおか
秋雨は青の絵の具が擦り切れる幟はためくあたらしい町
向かい窓に君は

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(短歌)半径五メートル以内の視界

スローモーションをひとたびむすんだ僕たちが競技場内だけで満ちてゆき

結ばれたのは永遠の一部まじりけのないパスタ君とともにゆであげ

宙返りはいっしゅんでおわり飲みほし終えるまでの人生

入れ替わったり立ち回ったりこのところ太陽もさしあたってきてさびしい

なろうでつかさどる世界 かたまってしまった君を見ている

映し終わった朝きょりばかりなため花におはようと言う

どこか

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(短歌連作)さくら

夜のサイレンはしろかった窓のそと もうさくらがさき始めているのが見える

どうしてか見えないところでさくらさくあかりすこしずつかさまして行く

行けないだろう目の奥に輪郭結ぶとさくらわたしは川の一部をきいている

いくつかの防波防水防彩でぷつりとはじく春はわたしを

みづ そう思えばトラックも街を左右とわけへだてゆく

このひと 人のなかにある当たり前をへいきでわけもなく隔たりとして二人が似てきた

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《短歌》秋のしらなみ

両の手を塞いでしまえば愛のこと考えざるを得ない大きさ

のぞきこむその人が二卵性になる夜なら月が浮かぶだけの歌

ゆるくたつ逆さまにゆめのとりがくるしらなみ僕らがゼリーと呼んで

砂の上書いたものからさらわれて残照とあつい信頼を見る

したいだけの燃えているだけの蝋燭もその静寂の白い粘りけ

いくつかの種を真綿に並べ置きひと粒がミルク紅茶に沈む

みずうみの映しを期待とふれ回りその二度ともを澄み渡

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せんぱくのしょかんのもっともかそけき(短歌 七月分まとめ)

火は消せり 蕗の香の立てるキッチンできみどりのものひとつと数えて

からからにかわいたのどにせんぱくのしょかんのもっともかそけき波くる

うがいすれば未だ更新の頼りなさ洗面所の薄い影群に立つ

ぶらんこの足ふれぬままの地は救う すくわれぬも無くみどりが生えし

泡の下見すかすように臍見せたる僕等の若き誇りていふもの

止まらない吐気が僕を圧迫す孤独はおおきな月の腹なり

目瞑って大人となり

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あつい手–タクシーが留まる六月(短歌 六月七月詠みです)

若者の灰色のシャツの染みを見て猫達いくせんびきの濃き夏

恋愛の良いところ伸ばしゆく君もアボカドの種の綻びを持つ

なんとなく夏の海だねなんとなく小指立てれば人集まるとは

とりハムを作りし手のひら洗いおり塩と砂糖を摺りこみしとき

とりハムに声掛け違う例えればプール開きのあるという今日

生きること決めてから何もかも明るく可哀そうの歌うたえなくなりき

生きること決めたこ

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ついったー短歌⑧19.04〜

街中で涼しげ はねる前髪でひとん家のぬくみ知ってる僕ら

水を張る湯ぶねのひろい稜線が上下する舟を寄せない感情

雀色のコートひしめくバスの中空港を出た顔みな静か

はれの日に目が蛇の目ばかり映すふしぎけもの道外れ喉鳴らし行く

ねずみ算 増えることだけ示されて憚らずに死ね恋 あなたがたの

僕も狂ひたくなる座礁するだけで一日魚と呼ばるる魚

いまそらが君の目に入り目に見えない誰かの血

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