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【詩】空気が走る


ぼくが書く詩が
新しいものでなければ
それは一体何だというのだろう

風が吹いて 服がたなびく
剥き出しの岩に 空気が走る
視えなくても 伝導する
ぼくの詩で 海がヨレる
ふっ、と 世界が傾斜する

山から降りた寒気が霜を降ろし
街全体を冷やす
悲しいできごとを 希釈する雨
地表を濡らし 体温を下げる


ぼくの詩が 
あなたのこころを凍らせるものでなければ
それは一体何だというのだろう

時計台が 十二時を指す
傾いた分針に 空気が走る
ぼくの詩で 真夜中がヨレる
ふっ、と 世界が傾斜する

ぼくの詩は 今、ここを歌う
空気が走り、詩が通り抜けていく



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