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モノもヒトも消えていく未来〜豊富な食の終焉〜【八百屋からみた“食”no.24】

先日、意見交換する機会がありました(単なる飲み会という)

職業&経歴上、製造・販売・農漁業・流通・輸出入・飲食店といった食品関連産業の友人が(業態/国内外問わず)多くいます。

今回会ったのは年に数回会う顔ぶれ。肩肘張らない会話が続くのが嬉しく、知見も蓄積し、各分野の最新情報や動向も得られます。酒量も健康的。
対面機会の少ない最近は、人と会うとしゃべってしまいます。カラミ酒と思われていないかやや心配です。
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そこで出た(私が一方的に話しただけかもしれない)お題。
これまでの【八百屋から見た“食”】各号でも書きましたが、
ここのところずっと考えているのは
食の無関心/鈍感さは、5年経たずに大きな竹箆返しが来る】という未来。

『誰か』が作って届けて支える都市生活の“食”。
見えない『誰か』が、日本中&世界中からかき集めて年中豊富&満足&安定&安価な食料を供給していたのは過去の話です。製造原価が上がり続ける中でも、供給過剰で値がつかなくても、気象災害で復旧に心が折れそうになっても、乱獲で原料がなくなっても、輸入がショートしても、陳列棚がガラガラでも、長時間ブラック労働でも、時給が上がらない雇用でも、実際なにかがすでに破綻していたとしても、供給の底が抜けないよう必死に目貼りしているのが2023年現在の食品流通です。

小売も製造も物流も農業も乳業も水産業も、大なり小なり解決できないまま臨終を迎えそうな課題で溢れています。
コロナのせいでも戦争のせいでもありません。キッカケに過ぎません。
衰退/縮小/需要減を認めないうちに、やがて資源も経営体も人もいなくなる近未来。満足な食が都市に届かなくなる近未来。それだけです。

生産の現場・物流の現場・小売の現場・買い物し消費するヒト。
2023年の各現場では現役かもしれない(年齢別で一番人口の多い)団塊の世代が5年後には現場から居なくなります。おそらく皆さんや私が想像する以上に、その“下り坂”は早く急傾斜で進むのでしょう。

続けてこそ。小さな持ち場でもできることをやる。先手を打つ。
個人商店は『誰か』の幸せのための仕事です。

周りから“こだわりの店”と評価されることもありますが、
昔も今も“現状を正しく伝え、食に関心を少しでも持ってもらう”しか考えていません。“何言ってんだこの人?”くらいのニュアンスでも正しく現状を伝える。店という場を通じ、モノ・カネ・知見・判断力を提供して、お客さんの“食べて美味しいという幸せ”に貢献する。農家さんの“出荷してよかった・提示価格通り売れたという幸せ”に貢献する。

『誰か』の絶対数が減り続ける近未来であっても、
『誰か≒相手』を想い、絶対数を増やす(or維持する)ことが求められます。
ファン・理解者が増えるよう、持ち場でできることをぜひ。

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