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徒然なるままに

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学生生活、本、人との出会いなど、日常生活で感じたことを書くシリーズです。(photo by hiroki yoshitomi)
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#エッセイ

東京という街に救われた

東京という街に救われた

 羽田空港の第1ターミナルに降り注ぐ朝日に照らされた東京の高層ビル群がまぶしい。僕は伊丹空港行きの飛行機の搭乗を待っている。東京という街との別れを象徴するかのように、朝日がしみる。

(新しい街に行きたいって思ってたけど、東京にまだいたいなぁ……)

 僕は4月から新社会人として兵庫県豊岡市で働く。僕がこれまで屋台や地域診断などの地域活動を行ってきた街であり、知っている人もたくさんいるし、愛着もあ

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家族と家族じゃない人の違いはなんだ

家族と家族じゃない人の違いはなんだ

家族ってなんだろう。

ふとした瞬間に、いつも頭をよぎる。

先日、大学の友人の結婚式があった。赤の他人の二人が家族になる。不思議だ。亡くなった母を思い出すときもそうだ。僕たちはいい家族だっただろうか。

「家族とは何か」僕はずっと考えているが答えが出ない。あなたにとって家族とはなんだろう?

大切な人?

血が繋がっている人?

一緒に暮らしている人?

どれも正解だし、どれも間違いだ。血が繋が

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社会を変える文章に共通することは…

社会を変える文章に共通することは…

「おかげ様で研修医が集まりました。ありがとうございます」

僕が来年度、医師として、そして、社会人として初めて赴任する病院の事務からメールが来た。病院に来年度勤める研修医が募集定員に達していなかったので、僕がnoteで病院を紹介したところ、2日で定員を超える医学生が応募してくれたらしい。

医師国家試験の過去問を積み上げ、スタバで勉強していた僕は、思わず飛び上がった。それほど、嬉しかった。来年から

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もう社会は急に変わらない

もう社会は急に変わらない

うーん。難しいなあ。

思わず声が漏れる。医師国家試験まであと1ヶ月に迫り、僕は昨年度の国家試験の問題を解きながら、頭をひねる。

医師国家試験は9割が受かる試験なので、世間では、簡単だと思われている。でも、実は、思っている以上に医師国家試験は難しい。医師国家試験の受験資格は医学部の卒業生のみなので、医学部6年間の試験地獄を経て、生き残った勇者しかいない。つまり、国家試験に受かる可能性の低い学生は

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偶然性が世界をつなげる

偶然性が世界をつなげる

僕は頻繁にiPhoneを見る。

電車に乗ったとき、授業を聞いているとき、布団に入っているとき。ふと時間ができたときにiPhoneを見ないと落ち着かない。僕にとってiPhoneは体と一部と言ってもいいくらいだ。きっと僕以外の現代人も似たような状況だろう。iPhoneを開いてまず見るのは、Twitter、instagram、facebookなどのSNSだ。

SNSを見ていると、世界は自分側に近づい

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移住フェアは動物園ではなかった

移住フェアは動物園ではなかった

「ぜひうちの町への移住を考えてみてください!」

若手の自治体職員が威勢良く声を張り上げる。

都内某所での移住フェアには、移住者を心待ちにする全国各地の地方自治体と、移住を考える多くの人々でごった返していた。

地方自治体の各ブースには、のぼりやステッカーはもちろん、空き家情報や補助金情報など、あらゆる武器を使って、移住者を確保しようと必死そうなのが、自治体職員のビジネス笑顔から伝わってくる。

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近頃、自慢できる場所がない

近頃、自慢できる場所がない

電車に乗っているときに、僕は立ち上がった。

届いていたメールが嬉しかったのだ。

周囲の目を気にして、また座る。

メールはこうだ。

件名:優秀演題のお知らせ

差出人:〇〇学会事務局

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〇〇様

 平素よりお世話になっております。事務局〇〇です。

〇〇様の学会でのご発表が優秀演題になりましたので、お知らせ致します。

どうやら夏に学会発

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