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短編小説

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あなたはどのように料理するか?

あなたはどのように料理するか?

料理を始めてみようと思う。

理由は特にないのだが、強いて言えば、環境が変わったからだろうか。

ここ一年で私の環境、すなわち身の回りが激変した。

友人が手の届かない遠くへ行ってしまったり、
就活が終わり暇になったり、
猫を飼って癒されたり・・・

そんな小さな出来事と大きな出来事が、

私のライフスタイルを変えた。

今は10月が始まってから1週間がたった日。

夏の気配は静かに消え失せ、秋の

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涙の理由は一つじゃない それが夏なら尚更だ

涙の理由は一つじゃない それが夏なら尚更だ

今年も夏がやってきた。

夏が来れば冬がいい。
冬が来れば夏がいい。

そんな思考がこの先ずっと続けばいなと思う。

その思考はとても有難いことで、夏から冬、冬から夏の6か月間を

楽しく過ごさせてくれる。

何事も、楽しみがないとやっていけないのが僕の性格。

逆に言うと、楽しみがあればどんなことも乗り超えられる。

僕の楽しみはいろいろあるけれど、

やはり大切な人に会えることが僕の幸せなのだ

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いつか見た星

いつか見た星

小学校の時だったろうか。

立山かどこかの大きな山に、学校で登らされた。

野球をしていたから体力には自信があった。でも山を登るのは億劫になる。

ましてや何千メートルもの山を登るのは。

「頑張ったら報われる」

なんて言葉は、小学校の私は信じることができなかったけれど、先生にそう言われて頑張っていたことを覚えている。

ああ、なんて純粋なんだろう。何周りも年上の先生の言うことだから、その時の私

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レンズ越しの世界に描く夢

レンズ越しの世界に描く夢

楽しい夏休みが終わり、暑さも次第に和らぎ始めた9月下旬のことである。

大学生になって初めての夏休みを終えた私の足は、重い。この長い休みの間に何かに取り組んだわけでもなく、プールや海で青春を謳歌したわけでもない私の足は、とにかく重かった。

大学生になって、何か自分の人生に変化をつけたかったのだが、サークルに入るでもなく、バイトをして貯めたお金で1人、旅をすることもなかった。

ここまでの私を例え

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その葉がどこまでも高くあらんことを

その葉がどこまでも高くあらんことを

こんな神話が、確かあった。

世界樹という世界を体現する、巨大な木の話。

生命の象徴であるこの木は、なにかとよくアニメやゲームに登場してきては、その魅力をいかんなく発揮している。

やはり位置づけは神秘的な立場に置かれている。

こういう神話には人々を引き付ける力が確かにあるのだと、私は以前から思っていた。

木はとてつもない長い時間を経て、種から形を変える。

そいていつか、私たちの目の前にそ

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あなたの輝きを忘れない

あなたの輝きを忘れない

「灯籠流し」

その始まりは、故人の霊を弔う供養のために行われたそうだ。灯籠は川を下り、あの世へと流れていく。

今は初夏の風物詩に行われるのが一般的だ。なんとも幻想的で、見る人々に感動であったり、心の平穏を与えてくれる。

時代は変われど、人の心に何かを与える効果をこの灯籠流しは持っていることは間違いないだろう。少しだけ、与えるものの種類は違うが。

灯籠の火が川に写り、キラキラと輝きを放ってい

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桜が散るように

桜が散るように

まだ4月になったばかりだが、この公園の桜はよく咲いている。

公園と言ってもここは庭園みたいなもので、この季節になると県外からも多くの人が桜を見に来る。うちの県にとっては観光地みたいなもので、それを紹介できる私は鼻が高い。

そんなちっぽけな自己満足に浸りながら、桜を横目に見ながら、私は歩みを進める。

もう日は暮れ、桜もライトアップされている。人も多くなってきた。

人混みが少し鬱陶しくなってき

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世界の広さに比べたら

世界の広さに比べたら

「海の広さに比べたら、なんて私は小さいのだろう」

小説やドラマ、演劇でよく使われている言葉だ。

この言葉を実際に使ったことはないが、海は確かに広い。僕なんかを寄せ付けないくらいに。

高校生の時に水泳部だった僕は、学校の小さいプールで泳いでいた。そのプールを何往復しても、海の広さに比べたら、到底敵わない。

海という自然の産物に広さで勝負を挑んでも、荒唐無稽、お門違いこの上ない。

だが、やは

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打ち上げ花火

打ち上げ花火

夏を題材にした映画や小説は、なぜ心をこんなにも揺らすのだろうか。

僕は夏を題材にした小説をよく購入する。春や秋や冬より、圧倒的に。

タイトルから夏を感じる小説もよく買うのだが、やはり表紙が夏模様だと、つい手に取ってしまう。内容もよくは読まずに、そのままレジに並ぶことが、よくある。

近頃は、そんなジャケ買いが増えている。

小説家に知られたら怒られてしまいそうだ。

家に帰って自分の部屋で買っ

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