記事一覧
投資が社会を形づくるわけ
資本主義はどこに向かうのか2022年、米国の日本銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)議長を務めたベン・バーナンキ氏ら3人がノーベル経済学賞に選ばれました。同氏の受賞は、1930年代の世界恐慌の研究から、銀行の経営破綻がいかに金融危機を深刻化させるかなどの分析が評価されたものです。
バーナンキ氏は、FRB議長在任中に起きた2008年のリーマンショックの時、この研究をもとに、事実上のゼロ金利政策
静かに進む鎌倉投信の挑戦
鎌倉投信が日本株にしか投資しない理由鎌倉投信は、いまのところ日本の会社にしか投資をしていません。その理由は、遠く離れた海外の会社を調査することの難しさもありますが、それ以上に、日本のポテンシャルを感じているからです。さらには、そのポテンシャルを伸ばし、日本を豊かな国にしていきたいと強く願っているからです。
日本の「いい会社」のなかには、日本のなかで新たな事業領域を創造したり、これから世界に展開
あなたは投資の先にどんな景色を見るか
お金を増やすだけではなく、「自分にいい投資」とは鎌倉投信では、運用報告の一環として、様々な形で投資先のいい会社とお客様をつなぐ「場」を設けています。たとえば、投資先の経営者や社員にお客様の前で講演してもらったり、お客様と一緒に投資先を訪問する機会も多くあります。そのなかで、最も大きな取り組みが、年に一度、お客様、投資する会社が1000人規模で集う「場」、受益者総会®です。
金融商品は、着るものや
Death Valleyのどん底で見た投資の風景
東日本大震災に見た投資の風景大手の外資系運用会社を離れ、鎌倉投信を設立してからは、いろいろな想いをもった個人の投資家と関わる機会が随分と増えました。とにかく効率的に高いリターンを求める年金基金などの機関投資家と違い、個人の運用に対する考え方は幅広く柔軟です。そこから今まで考えたこともなかった投資の可能性に気づく瞬間がありました。そうした観点で僕自身に強い影響を与えた二つの出来事を紹介させてください
もっとみる「結い 2101」の投資の着眼点「共生」 ~自然・地球環境との対話~
さて、前回のnoteでは、鎌倉投信が投資先として「いい会社」を選ぶときに着目している「人」「共生」「匠」の三つの要素のうち、「共生」について書きました。共生には、大きく「誰と共にいい社会をつくるか」という視点と、「自然・地球環境との対話」という視点とがあります。そのいずれも年を追うごとに重要性が増していることを実感しています。
今回は、「自然・地球環境との対話」について考えてみようと思います。
誰と共にいい社会をつくるか
個社単体で成長する時代から共に価値を共創する時代に
「共生」を量る着眼点として、鎌倉投信は主に、「顧客・取引先」との関係、「地域社会」との関係、「自然・地球環境」との関係が重要だと考えてきました。10年前は、どちらかというと会社が、顧客や取引先、地域社会に一方的に貢献するという印象がありましたが、ここにきて価値を共創するパートナーといった関係に変わってきたように感じます。
会社と自然・地球環
「いい会社」ってどんな会社?
「いい会社」とは?
鎌倉投信が運用する公募型の投資信託「結い 2101(ゆいにいいちぜろいち)」では、独自の視点で「いい会社」に投資しています。「いい会社」とは、一言でいえば、本業を通じて社会に貢献する会社であり、会社に関る全ての人の幸福を追求しようと努力している会社です。
社会に貢献するとは、決して事業性や収益性を犠牲にするものではありません。社員の成長や社会をいかによくするといった視点を
「いい会社」への投資がいい未来をつくるわけ
なぜ日本の未来に希望を感じない人が多いのか
僕は、長年投資に関わる仕事をする中で、会社と投資、会社と金融との相互関係が、こうした状況を生み出してきたと感じています。一言でいえば、経済や社会の中核を担う会社やそれを支える金融が、人の“生きがい”や“働きがい”をつくってこれなかったのです。
日本では、1990年に不動産・金融バブルが崩壊して以降、金融機関は10年以上にわたって不良債権処理に追われ
なぜ「公募型」「投資信託」「直販」だったのか…鎌倉投信の事業戦略を立てた時の想いとは
2008年11月に鎌倉投信を設立する前、僕の声掛けで集まってくれた創業メンバーは、約半年かけて議論を繰り返しながら、創業の目的や事業の戦略を練り上げました。前のnoteでも触れましたが、当時のメモをみると、運用会社を自ら立ち上げる目的について、このように記されています。
「個人投資家が一生涯安心して預けられる運用商品の提供と長期投資の考え方に根差した資産運用を社会に広めることを通じて、金融的な
金融の常識から外れた鎌倉の地、しかも築100年の日本家屋で創業したわけ
鎌倉で資産運用会社は成立しない?
鎌倉投信は、JR鎌倉駅から20分ほど歩いた住宅街の隅にあります。かつて源頼朝が父義朝の菩提を弔うために建立した勝長寿院(当時、鶴岡八幡宮、永福寺と共に鎌倉の三大寺社とされた)があった地域で、大御堂ともよばれる場所です。
日本では、運用会社といえば東京に拠点をおくのが常識です。当時、同業者からは、投資家が集う都心から離れた場所で資産運用ビジネスは成り立たないと言
人生を左右した空白の9ヶ月
想いだけでは事業は成立しない2008年2月、大きなプロジェクトの終了を見届けて外資系運用会社を離れました。その時は、「本当に社会に必要とされる運用会社」、「人と未来社会を豊かにする投資を実践する運用会社」を自ら立ち上げてみたいと漠然と思ったものの、想いだけで事業が成立するほど人の大切なお金を預かる資産運用ビジネスは甘くはありません。
運用会社というと、ファンドマネージャーと呼ばれる運用者に注目