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基礎演習

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早稲田大学国際教養学部「基礎演習」で学生と教員の間で重ねられる対話集
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書評『どうすれば争いを止められるのか』

書評『どうすれば争いを止められるのか』

成蹊大学にて平和学特別講義Bを受講した学生に書評をお願いしました。書評とともに私の返答を記します。上杉勇司『どうすれば争いを止められるのか 17歳からの紛争解決学』(WAVE出版、2023年)https://amzn.asia/d/73eVJ1l

紛争と正義:暴力と平和の葛藤 本の要約をすると、まず紛争とは「個人や集団が両立不可能な目標を、武力を使ってまで達成しようとしている状態」を指す。この場

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第3回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第3回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第三回 争いの「正義」とは何か 今回の授業では、教科書で紹介された次の5点を起点に、学生たちに自由に議論してもらった。(1)紛争の当事者はなぜ正義を必要とするの?(2)正義は法律で定められているの?(3)なぜ宗教が関わる紛争はこじれるの?(4)テロをなくすための暴力は許される?(5)「報復」は本当に有効なの?

学生 国際連合の機能と課題

 私たちのグループでは、大きくまとめてなぜ世界的な問題を

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第2回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第2回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第二回 争いは暴力で解決できるのか 今回の授業では、教科書を批判的に読んでみた。教科書で提示された主張に対する批判ではなく、筆者が議論の前提としている考えを批判してもらった。前提であるので、必ずしも教科書内に言語化されていない。議論の前提を推測し、その前提に対して「ツッコミ」を入れるようお願いした。

学生A 紛争と暴力についての議論:大衆心理とリーダーの心理が紛争を長引かせる

・紛争は終わらな

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学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第一回目:番外編ChatGPTに前回の記事を読ませたところ、次のような返事がありました。結構、私が強調したかったことが書かれています。役に立つと思いましたので、Bingのチャットの結果と合わせて共有します。

ChatGPT

 記事は、「学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇」というタイトルで、早稲田大学国際教養学部の基礎演習の授業で行われた平和に関する対話集の内容が掲載されて

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第1回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

第1回◇学生との平和の対話集◇早稲田大学国際教養学部 基礎演習◇

学生との対話とはこんにちは。上杉勇司と申します。私は早稲田大学国際教養学部で教鞭をとっています。この学部は英語ではSchool of International Liberal Studies 、略してSILSと呼びます。ここでは、私がSILSで担当している基礎演習(First Year Seminar A)で、私が受講生たちと交わした対話を書き留めていきます。毎週、受講生たちは、授業中の議論のな

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