YunaPark

エディター/ライター。主にローカライゼーション、ブランディング、コンテンツ開発の3領域…

YunaPark

エディター/ライター。主にローカライゼーション、ブランディング、コンテンツ開発の3領域でテキスト分野を担当。色んな価値観が認められる多様な世の中の実現を目指しています。 www.inc-work.com

マガジン

  • 日々雑感

    日々のちょっとしたことを徒然と

  • 川下り型キャリアを実践する女の話

    大企業正社員、専業主婦、パート主婦、海外インターン、海外中小企業の管理職、フリーランスと、様々なポジションで、編集、企画、事業推進、秘書、マーケ、ライターと様々な職種を経験した自分のこれまでのキャリアのストーリーを綴ったエッセイ。全10話。

  • 本や映画、ドラマの感想つれづれ

  • 100% Me.

    • 26本

    誰もが100%自分らしく生きられる社会を目指して、主にダイバーシティ(多様性)について発信。国内外でマーケター•ライター経験のある3人で運営します。

  • もがく女子

    たとえまだ成功していなくても、人生がこれでよいのかわからなくても、結果ではなくその過程にこそ、人生の価値があるはずだ。

最近の記事

無知でいられる特権

4年ほど前、知り合ったばかりの女性に、私がエスニックマイノリティゆえに受けたマイクロアグレッション経験について話したとき、「ねえ、それいつまで引きずるの?」と言われたことがある。その人は女性のエンパワメントに熱心で実際に活動もしていたので、正直そのコメントには面喰った。差別に対する意識は高いと思っていたからだ。しかもそれまでに私がその人と話したのは2回しかなかった。そしてその頃私はまだ、自分の体験について発信し始めたばかりで、何度も繰り返し訴えていた類の話ではない(別に繰り返

    • 人生のなかでやり過ごしてはいけないもの

      去年の11月末から今年の8月末の9か月間に、3人の身内を亡くした。 まず昨年11月末に母方の叔父が突然亡くなった。家のなかでひとり倒れていて、発見されたのは3日後である。6歳のときに父方の祖母が亡くなって以来、実に35年ぶりに起こった近い親族の死だった。 とはいえ生前も数年に一度会うか会わないかという距離感だったため、悲しいのは確かだけれど号泣というわけでもない。ただ、人生が突然終わってしまう可能性を目の当たりにしたショック、そしてひとりで死んで3日間も見つけられなかった

      • フリーランスを卒業、新たな岸へ

        相変わらず直感と勢いだけでキャリアの川を下っているが、次にたどり着いた岸が「会社設立」とは自分でも予想していなかった。これで新卒以来私の経歴は、国内大企業社員→専業主婦→大学のパート職員→海外インターン→海外中小企業の管理職→日本でフリーランス→会社役員となった。実にバラエティ豊かである。 それまでも法人化した方がよいというアドバイスは方々からもらっていた。しかしまったく気分が乗らず気楽なフリーランス生活を送っていたわけだが、師走真っ只中に急にスイッチが入り、年明け早々に登

        • 異国の風景を見る意義

          特段イタリア好きというわけでもないのだが、またイタリアに行ってきた。4年ぶり、4度目である。 開国したとはいえ未だ続くコロナ禍、円安、燃油サーチャージ高、さらにはロシア上空を飛べず迂回ルートを行くしかないこの状況でわざわざヨーロッパにまで行ったのは、ひとえに両親の希望である。 70代の両親はもともと旅行が好きだ。前は最低でも年に1度は海外に出かけていた彼らはコロナ禍の間、『世界ふれあい街歩き』の再放送やYoutubeの旅行動画を見て「次はイタリアのシチリア島へ」と狙いを定

        無知でいられる特権

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        • 日々雑感
          4本
        • 川下り型キャリアを実践する女の話
          12本
        • 本や映画、ドラマの感想つれづれ
          8本
        • 100% Me.
          26本
        • もがく女子
          11本
        • 自分の国がない私のストーリー
          9本
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        記事

          脱「みんな同じ人間なのだから」思考

          物心ついたときから私はほかの子との違いを意識していた。我が家では七五三はなかったし、お正月にお雑煮も出ない。母をオンマと呼び、チェサと呼ばれる法事を1年に何度も行う。父は祖父が興したスクラップ工場で働き、身内に勤め人はいない。そんな家庭だった。 友達の前ではそんな違いなどないかのように振る舞った。七五三の話になると覚えていないと言い、お雑煮は食べたと嘘をついた。 周りも特に疑問に思わなかったようだ。パクユナという明らかに韓国の名前を持つ私に違いを尋ねてきた人はいない。名前

          脱「みんな同じ人間なのだから」思考

          ダメ出しされて落ち込むばかりでもなくなった

          仕事で色々とダメ出しをされてちょっと落ち込んでいる。その一方でなんだかちょっとポジティブな気持ちもあり、そんな自分が意外である。 私はいいフィードバックと悪いフィードバックがあったら悪い方しか頭に残らないタイプである。インポスター症候群気味なのだろう、うまくいっているときも「過大評価されている。いつか失望されるに違いない」と密かに怯えている。だから今回のようなことがあると、「やっぱりうまくいくはずがない。私の能力のなさがついにバレた」と落ち込み、恥ずかしくなるのである。その

          ダメ出しされて落ち込むばかりでもなくなった

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          3度目の東京生活に1年4か月で見切りをつけ、故郷の京都に戻ってきたのは6月のことである。案の定東京に比べると蒸し暑さは段違いで不快と言っても差し支えないレベルだが、それでも思った以上に居心地がいい。 なんというか、ものすごく気楽なのだ。図々しくいられると言う方が正しいかもしれない。そして振り返れば東京では知らぬ間にずっと緊張して暮らしてたのだと気づいた。 20代や30代の頃はむしろその緊張を楽しんでいたように思う。東京という都会生活が板につく大人になろうと背伸びをし、高級

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          40歳と365日

          夏に突破口が開ける。これが私のパターンである。 私は普段、スピリチュアル関連は全然信じない(むしろ苦手)であるが、自分の体験を振り返るときだけは都合よく気だの運だの縁だのを持ち出す。で、その代表的なのが「梅雨に煮詰まり、夏に突破口が見える」である。仕事などの転機を迎えるのも夏が多い。そしてこれは、夏の終わりに年を取るのが理由なのではないかと密かに思っている。まあ、私が片頭痛持ちで単に梅雨の時期がしんどいだけなのかもしれないが。 そして今年の梅雨時期も例年に漏れず煮詰まって

          40歳と365日

          『THIS IS US』が描く弱さと豊かさ

          ついにドラマ『THIS IS US』が終わってしまい、放心状態である。 このドラマがアメリカで始まったのは2016年9月で、私はちょうどその頃アメリカに渡った。最初はテレビなど見る余裕も設備もなかったため、実際にシーズン1をNBCの配信で一気に見たのはその約1年後、ちょうど私が主人公たちの設定年齢の36歳になったばかりの頃である。シーズン2からは毎週火曜にリアルタイムで見ていたが、2019年にシーズン3が始まってまもなく日本に帰ることになり、その後は日本のAmazonでの配

          『THIS IS US』が描く弱さと豊かさ

          「悩んでもしょうがない」こともない

          去年の日記を読み返してみると、感情のジェットコースターぶりに驚く。5月には孤独感に苛まれ、9月には色んなことにやる気満々である。 日記と言っても毎日つけているわけではない。私の場合、モヤモヤや吐き出したい感情があると書く。そのため日記の内容は極端になりやすく、ジェットコースターになっても不思議ではないのだが、改めてそれを目の当たりにするとなんだかもうお腹いっぱいである。 日記を取り出したのは実に5ヶ月ぶりだった。ここのところ私は色々と比較的順調で、だからこそ仕事以外で書く

          「悩んでもしょうがない」こともない

          持続的な働き方のための自分の軸

          国土交通省が話題である。 この「総勢25名の講師陣」の属性が偏りすぎているとして批判を集めているのだ。 これで思い出したのが、以前仕事相手だった企業だ。短くない付き合いだったが、続けているうちに違和感を抱く出来事が増えていった。しかしフリーランスの身、頂いたお仕事(しかも報酬がいい)はありがたく続けるべきではないのか。そう思って我慢していた。 そんななか、その企業が主催するイベントの告知をたまたま目にした。そこではさまざまな登壇者の名前と顔写真が掲載されていたが、国土交

          持続的な働き方のための自分の軸

          『愛という名の支配』

          ドイツの精神学者エーリッヒ・フロムによると、愛とは「愛する者の生命と成長を積極的に気にかけること」であり、その要素は「配慮、責任、尊重、知」だという。しかし本書のタイトルにある「愛」とは、それとはまったく別物の、なんとなく幻想として漂っている概念としての「愛」である。 それは抑圧者にとっては都合のよい隠れ蓑になり、被抑圧者にとってはその立場で満足するための言い訳になり、両者にとって他人または自分を大切に扱わない事実から目を逸らすための緩衝材となる。 本書を読み終えて一番頭

          『愛という名の支配』

          ストーリーを紡ぐ意義

          人間の特徴の1つは複雑な思考や感情を持てること、そして何よりもそれを他人に伝える能力だ。しかし日常生活のコミュニケーションでは考えるまま話したり、あるいはチャット形式のテキストで伝えることが多い。 だからこそ、思考や感情の背景情報とともにストーリーという塊で提示されると、知っている話でもまったく異なるインパクトを持つ。それについてある人は、表情やしぐさ、その場の雰囲気などの背景に邪魔されず否応なしにストーリーに没頭させられるからと言っていたが、それだけでなく曖昧だった感情や

          ストーリーを紡ぐ意義

          カヨの話④:ユニコーンに導かれし場所

          30歳のとき、カヨはWeWork Japanに入社した。初めてのグローバル企業であり、世界的に注目されていたユニコーン(評価額10億ドル以上の非上場企業)である。自己肯定感が下がり切っていたカヨはそんな華やかな場所で果たして自分が通用するのかと心配していたが、その不安はすぐに飛んでいった。 前職で当たり前のようにやって評価されなかったことが、WeWorkでは高く評価されたのだ。目から鱗だった。ずっと自分が悪いのだと思っていたカヨだが、ここにきてようやく「場所が合っていなかっ

          カヨの話④:ユニコーンに導かれし場所

          カヨの話③:はまりこんだモラハラの沼

          オークランドに戻ったカヨには恋人ができた。同じレストランで働くニュージーランド人だ。付き合って間もないタイミングでカヨのビザが切れたため、ふたりはすぐに遠距離恋愛に突入した。 ハネムーンフェーズで離れ離れになったふたりの気持ちは燃えていた。カヨはニュージーランドに戻るために池袋のビジネスホテルでのバイトに励み、彼との関係も順調に育んだ。そんな付き合いのなかでふたりが将来を具体的に描き始めたのは自然な流れだった。共同名義の銀行口座を開設し、カヨは長期的なパートナーシップを築く

          カヨの話③:はまりこんだモラハラの沼

          カヨの話②:直面した格差と差別

          定時制高校、カナダでのホームステイ、専門学校、アラスカでのインターンシップと、カヨはすべて自分で決めて、自分の力でやってきた。人生とはそういうものだと思っていたし、自分がやりたいことをするのが当たり前だった。けれど10代の子が考えることには限界もある。 そのことを突き付けられたのが就活だ。カヨの希望する職種や企業ではどこも大卒が条件だった。このときになって初めて、専門卒のカヨには希望の仕事に応募する権利すらないことに気付いたのである。ようやく面接にこぎつけても、定時制高校卒

          カヨの話②:直面した格差と差別